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鉄に直接塗らなかったから、ローバルを塗装したのに錆が発生してしまいました…。

(クレーム)「強力なさび止め効果があるはずのローバルを塗装したのに錆が発生しています。まだ1年程度しか経っていないのに、どうしてですか?」

上記のクレームを頂戴しました。塗り直そうと、錆発生塗膜を剥がしていたところ、塗装鋼板にローバルが塗られていたことがわかりました。
「塗装鋼板」は文字通り、塗装した鋼板です。塗装鋼板にローバルの防錆効果を付与するには、塗装鋼板の塗膜を除去してからローバルを塗る必要があります。
旧塗膜を除去せずに塗ると、今回のようにさびが発生してしまいます。ローバルを塗装する際には、鉄に直接塗ってください。


錆が発生した状況を確認します。

錆が発生した状況を確認。確かにさびています。

ローバル塗装面でさびが発生しているように見えます。

さびた原因は見ても、正直簡単にはわかりません。このまま放置しておくと、さびは進行してしていくので、とりあえず塗り直しします。

さびが発生した塗膜を剥離します。

錆が発生してしまった塗膜をスクレーパーで剥離していきます。剥離作業はなかなか大変な作業です。作業をしていると、おかしな点があることに気づきました。

スクレーパーによる塗膜剥離作業

上の写真も見ていて、お気づきになるでしょうか?


よく見ると、ローバルの下にもう1層何か塗膜があります。

ローバル塗膜の下から違う塗膜が出てくる。

ローバルは鉄に直接塗らないと、犠牲防食によるさび止め効果は発揮されませんので、これがさび発生の原因の様です。

顕微鏡で塗膜を観察。

原因は分かったのですが、よりはっきりさせたいので、もう少し観察してみます。

剥離した塗膜

剥離した大きな塗膜片を顕微鏡 (100倍) で観察してみます。
顕微鏡で見ても、2種類の塗膜があるのが確認できます。

ローバル塗膜には、白いものが出来ています。これは白さび(亜鉛由来の酸化物)です。2つの塗膜があるのは確認できますが、ローバル塗膜かどうかの判断はまだできません。

1,000倍まで拡大。

ローバル塗膜を1,000倍まで拡大してみると、何とか亜鉛粒子が見えてきます。

1,000倍にてローバル塗膜を観察

一方のローバルではない塗膜は、1,000倍まで拡大しても粒子状のものは見えてきません。

1,000倍にてローバルではない塗膜を観察

亜鉛を大量に含むローバル塗膜ではないことがわかります。

塗膜片を断面方向から観察してみても、明らかに2層あることがわかります。

塗膜断面観察

錆が発生してしまったのは、塗装鋼板にローバルを塗ったと推測。

これまでの観察により、ローバル塗膜の下に何か塗膜はあることは確認できました。ただこれが何の塗膜なのかは、後から調べるのはかなり難しいです。施工時の状況を聞いてみると、他の塗料は塗っていないそうです。どうも塗装された鋼板を使って、その塗膜を剥がすことなく、ローバルを塗ってしまったみたいです。

鋼材は何もしていなかったら錆びてしまうので、通常なんらかの防錆処置をしています。ローバルをお使いいただく際には、これらの防錆処置を除去して塗っていただく必要があります。除去して頂かないと、今回の様にさびが発生してしまうので、ご注意ください。

鉄に直接ローバルを塗る。

今回さびが発生していた上側はすべて塗膜を剥がし、ローバルを塗装しました。これで錆は発生しなくなります。

鉄面に直接ローバルを塗る

箱上部は水が溜まりさびやすい環境のため、錆が発生しました。錆が進行すると、塗膜だけでなく、錆を落とす作業も行わなければならなくなり、作業はより大変になります。

今回は軽微なさびだったので、塗膜剥離作業だけですみましたが、かなりの手間がかかりました。箱上面しかできませんでした。

当たり前の話で恐縮ですが、塗り直しは工数が増えてしまいます。最初からローバルを塗られる方が作業は少なくて済みます。鉄に直接塗ることはローバルにとって重要な事項ですので、施工時はローバルの使い方をよくご理解の上、正しくお使いください。

ローバル塗装 3つのポイント

ローバルを塗装する際のポイントは以下の通りです。

(記事担当:MTMTH)


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