モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421 (417b)

00:00 I. Allegro moderato
05:27 II. Andante
11:42 III. Menuetto
15:45 IV. Allegretto ma non troppo

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421 (417b) は、彼の最も有名な弦楽四重奏曲の一つです。この作品は、モーツァルトがウィーンで作曲した6つの弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」として知られる作品群の中の第2番です。

この四重奏曲は、1783年に完成されました。モーツァルトは、このセットの曲を「父の友であり、私の友であるヨーゼフ・ハイドンに捧げる」と記しています。この曲は、モーツァルトがハイドンの影響を受けたことを示しており、モーツァルト自身が成長していく過程を見せています。

曲は4つの楽章で構成されています:

1. **Allegro Moderato** - この楽章は、情緒的で表情豊かな主題から始まります。対話形式のやり取りが特徴で、弦楽器それぞれが独自の役割を果たしています。

2. **Andante** - より緩やかで、歌うような旋律が特徴の楽章です。感情的な深みと静けさがあり、モーツァルトの感情表現の豊かさがよく表れています。

3. **Menuetto: Allegretto** - このメヌエットは、伝統的な舞曲形式を採用していますが、モーツァルト特有の創造性と洗練された対位法が見られます。

4. **Allegretto ma non troppo** - 最終楽章は、軽快で活気に満ちた音楽で、作品全体を効果的に締めくくっています。技巧的な要素と音楽的な対話が際立っています。

この四重奏曲は、モーツァルトの作品の中でも特に情感豊かで、彼の作曲技術の成熟を示しています。彼の内面的な感情と音楽的な洞察力が見事に結びついており、弦楽四重奏のレパートリーの中でも特に価値の高い作品とされています。

モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421についての補足情報

1. **モーツァルトの個人的な事情**:この四重奏曲が作曲された時期、モーツァルトは個人的に困難な時期を過ごしていました。彼の妻コンスタンツェは妊娠中であり、作曲中に彼女が出産の苦しみにあったと言われています。この経験が、曲の激しい感情表現に影響を与えた可能性があります。

2. **技術的特徴**:モーツァルトは、この四重奏曲で、特に第1ヴァイオリンとチェロの間の対話に重点を置いています。彼の対位法の技術はこの作品で非常に洗練されており、各楽器の独立したラインが複雑に絡み合いながらも、全体としての調和を保っています。

3. **受容と影響**:モーツァルトのこの四重奏曲は、当時から高く評価されており、特にハイドンはモーツァルトのこの作品群に深い感銘を受けました。ハイドンはモーツァルトの父レオポルドに対し、「あなたの息子はこの世界で最も偉大な作曲家である」と述べたと伝えられています。

4. **演奏歴史**:この四重奏曲は、時代を通じて頻繁に演奏され、録音されています。その複雑さと感情の深さから、弦楽四重奏のレパートリーの中でも特に挑戦的な作品と見なされています。

この四重奏曲は、モーツァルトが音楽を通じて自己表現する手段として使用していたことが明らかで、彼の感情的な深さと技術的な熟練度が顕著に表れている作品です。

モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番ニ短調 K.421についての補足情報 その2

1. **構成の革新性**:モーツァルトは、この四重奏曲で、特に第2楽章において変奏形式を採用しています。これは当時の四重奏曲の構成においては比較的珍しい選択であり、モーツァルトの創造的なアプローチを示しています。

2. **調性の特徴**:ニ短調はモーツァルトにとって特別な調性であり、彼はこの調で多くの感情的で深遠な作品を書いています。K.421もその例外ではなく、この調性は曲の感情的な強度を高めるのに一役買っています。

3. **表現の幅**:この四重奏曲は、モーツァルトの作曲スタイルの幅広さを示しています。彼は伝統的な形式を守りつつも、それに新しい息吹を吹き込んでいます。特に、各楽器の間の対話やテクスチャーの扱いにおいて、その革新性が顕著です。

4. **歴史的背景**:この四重奏曲は、モーツァルトが音楽的に成熟し、ウィーンでの地位を確立していた時期に作曲されました。この時期の作品は、彼の作曲キャリアの中でも特に重要な位置を占めています。

5. **評価と影響**:この四重奏曲は、モーツァルトの他の作品とともに、後の作曲家たちに大きな影響を与えました。特に、ロマン派の作曲家たちはモーツァルトの弦楽四重奏曲から多くのインスピレーションを受けています。

モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番は、彼の作品の中でも特に深い感情表現と技術的な洗練さを持つ作品であり、クラシック音楽の歴史において重要な位置を占めています。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K. 421 (417b) は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1783年に作曲した弦楽四重奏曲であり、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンに捧げられた全6曲ある『ハイドン・セット』のうちの2曲目である。

概要
本作は全6曲ある『ハイドン・セット』の中で唯一短調で書かれており、モーツァルトが作曲した全23曲ある弦楽四重奏曲のうち、短調で書かれたものは本作と第13番(K. 173)の2曲しかなく、その両方が「ニ短調」で作曲されている。

自筆譜に日付が記されていないため正確な完成時期はわかっていないが、1783年6月17日にウィーンのモーツァルト家に長男ライムント・レオポルトが誕生(ただし、この2ヶ月後の8月19日に死亡)した際に、ちょうど出産を迎えたときに本作の第3楽章が書かれたと妻コンスタンツェが証言していることから、前作の第14番『春』(K. 387)から約半年後の1783年6月中旬頃に完成したと考えられている。

また本作は、必ずしも同時代の音楽家に理解されたわけではなかったようであり、ジュゼッペ・サルティは本作に触れた後に、本作を作曲したモーツァルトについて「悪い耳を持ったクラヴィーア奏者以外の何者でもない」と評したと伝わっている。

曲の構成
全4楽章、演奏時間は約28~32分。

第1楽章 アレグロ・モデラート
ニ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。

第2楽章 アンダンテ
ヘ長調、8分の6拍子、三部形式。

第3楽章 メヌエット:アレグレット - トリオ
ニ短調 - ニ長調、4分の3拍子。

第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
ニ短調、8分の6拍子、変奏曲形式。

主題はシチリアーナのリズムで書かれているが、この旋律は本作を含む『ハイドン・セット』を作曲するきっかけとなった、ハイドンの『ロシア四重奏曲』に含まれる『弦楽四重奏曲第29番(旧第41番)ト長調』(作品33-5, Hob. III:41)の第4楽章と非常によく似ている。

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