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『稲盛和夫一日一言』 9月6日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月6日(水)は、「企業経営の根幹」です。

ポイント:私にとっての企業経営とは、開発した製品を、製造に移管し、販売し、売り上げを上げる。そして、その売り上げと費やした経費との差額が損益という、たったそれだけのこと。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 PHP研究所)の中で、企業経営のあり方について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 経営とは、多くの物を売り、経費をなるべくかけないようにするという、その一点でのお互いの知恵の出し合いである。そう考えれば、企業経営というのは、もっともっと伸びる可能性があるはずだ。(要約)

 また2005年発刊の『【実学・経営問答】高収益企業のつくり方』(稲盛和夫著 日本経済新聞社)の中で、「高収益体質をつくる」として、次のように述べられています。

 京セラ創業1年目の売上高に対する税引前利益率は約10%でした。当時、大手製造業の利益率は数%程度でしたが、それでは経営環境が大きく変化している中で安定した経営はできないと考え、本来、製造業の利益率はどのくらいあればいいのかと、考えるようになりました。

 そこで着目したのが、銀行の金利でした。当時の銀行は、まるで鵜飼のように、お金にヒモを付けて泳がせておき、そのヒモを年1回たぐり寄せれば、5%を超える金利がついてくるといった具合で、貸し出したお金は、何もしなくても勝手に金利を稼いでくれたわけです。

 一方、製造業はと言えば、ヒト、モノ、カネを総動員し、朝から晩まで額に汗して働き、やっと儲けを得ることができる。もちろん、銀行が何もしていないわけではありませんが、それにしても、製造業が必死に努力しても、銀行の金利よりも低い利益率しか稼げないというのでは、あまりに情けないと思いました。

 そこで私は、「我々は知的財産を駆使して、従業員の匠の技を用い、額に汗して製品をつくっているのに、銀行の金利程度の利益率しか儲からないのであればばかばかしい。せめて金利の倍ぐらいの利益率、つまり10%以上の価値を創造すべきである」と考えるようになったのです。

 公正な市場競争の下では、価格は市場原理によって決まります。ですから、独占的事業でもない限り、自分勝手に高い値段をつけることはできません。したがって、同じ商品を市場価格で販売し、高収益をあげようとすれば、徹底的にコストを引き下げるしかありません。それには、高い利益率を目標として、懸命に努力していくしか方法はありません。

 事業によって得られる利益は、額に汗して努力した人間の知恵と労働の結晶です。公正な競争の下、高収益をあげることは、経営者の勲章でこそあれ、非難されるべきことではないのです。(要約)

 「ごく簡単に言えば、売上から費用を引いた残りが利益だから、売上を最大にして、経費を最小にすればいいのだ」
 これが、名誉会長が「売上最大、経費最小」こそが経営の原点であると認識されたときの思いであり、その後一貫して経営学の根本に据えてこられた考え方です。

 付加価値の高い、魅力的な商品を開発し、それを仕様を守って製造できる生産体制を整え、そして喜んで購入していただけるお客様に、確実にしかもタイムリーにお届けできる営業・販売ルートを整備し、安定して供給し続けることで売上を伸ばしていく。そうしたサイクルを無限に繰り返していくことで、企業としての高収益体質がつくられていきます。


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