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『稲盛和夫一日一言』 12月23日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月23日(土)は、「誰よりも働く」です。

ポイント:社長は会社の中で誰よりも一番働く人でなければならない。「社長は誰よりも頑張っていてかわいそうだ」と思われるほどでなければ、下の者はついてきてくれない。

 2005年発刊の『【実学・経営問答】高収益企業のつくり方』(稲盛和夫著 日本経済新聞社)「トップとして何を優先課題に取り組むべきか」の項で、現場に出て、泥まみれになって仕事に精通することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 あなたは今、「自分がやりたかったわけではないが、親から事業を引き継いでみたものの、何から先にやればよいのか分からず、大変困っている」とおっしゃいました。

 私は専門家ではありませんが、あなたがやられているビジネスはたいへん魅力あるビジネスだと思います。では、そうした魅力あるビジネスを引き継いでおられながら、なぜ経営がうまくいっていないのか。それは、あなた自身が事業をよく理解していない、つまり漠然と仕事を続けておられるからだと思います。

 まずは現状を正しく把握することが必要です。採算単位を細分化し、経営の実態を詳細に把握するところから始められるべきです。例えば、各事業を独立採算で管理することにより、各々の採算を向上させることができます。
 そして採算が向上し、それぞれの部門で利益が出るようになれば、売上も利益もどんどん増えてきますから、経営は一段と面白くなるはずです。

 あなたの課題は、二代目としていろいろと勉強はされているものの、次々と打ち出される新しいアイデアが的を射ていないことです。ですから、今は新しいことを次々考える必要はありません。今の事業に徹するべきです。
 そのためには、まず自分の仕事をよく知ることです。難しいことをすることが立派なことではありません。単純な仕事でいいから、狙いを絞って、それに打ち込むべきです。それにはまず、あなた自身が現場を知ることです。実際に自分で現場に入って、どういう装置や道具を使って、どうすればうまくいくのか、どうすれば効率が上がるのか、身をもって体験してください。

 あなたの場合、今まで管理職を中心にやってこられたので、現場の末端の仕事をよくご存知ないと思います。もっとスマートな経営をしたいというので、そんなことばかり考えて打ち出しておられる。しかし、本当の経営は、そんなきれいごとではなく、もっと泥臭いものなのです。

 数か月でいいから、現場をつぶさに見て歩いてください。現場を知らずに、「ああせい、こうせい」と言っても、誰も話を聞きません。あなた自身が仕事の要点を把握し、業務内容からコストまですべて見ることができて、初めて核心を突いた指導ができるようになるのです。

 頭でっかちになるのではなく、本当にお客様に喜んでもらい、利益が出せるような経営をしてください。利益が出ないことには、働いている従業員も経営者も元気が出ません。
 自分の仕事に誇りを持って働けば、それが天職です。そう思って、あなた自身がもっと現場に入り、従業員と一緒になって創意工夫に取り組み、素晴らしい会社にしていってほしいと思います。
(要約)

 今日の一言には、「社長が従業員よりも先に帰って、『ガンバレ、ガンバレ』とだけ言っている社長の下で、従業員が働くわけがありません。上に立つ者が誰よりも一生懸命働いて、下の者から『かわいそうだ』と思われるほどでなければなりません」とあります。

 京セラで初めてアメーバリーダーを任されたとき、「誰よりも早く出勤して、自分のところのメンバーがどんな様子で出勤してくるのか、一人一人の顔色や目線、挨拶するときの声の強さといったところまで確認して、適切にケア、フォローすることも、リーダーがやるべき重要な仕事のひとつだ」と上司から指導されたことを思い出しました。

 誰よりも早く会社に来て、誰よりも遅く帰る。ただ長時間仕事をすることだけが「誰よりも頑張る」「誰にも負けない努力をする」ことではありませんが、考え方と熱意が同じレベルであれば、足りない能力を時間を使うことでカバーして、成果につなげていくというやり方は「是」であろうと思います。

 「頑張っているかどうか」は自分が決めるものではなく、まわりの人が判定してくれると思っていれば、息切れすることなく、踏ん張り続けることもできるのではないでしょうか。


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