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『稲盛和夫一日一言』 1月11日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月11日(木)は、「成功するまで諦めない」です。

ポイント:成功するかしないかは、その人の熱意と執念に強く関わっている。何かを成し遂げたいなら、成功するまで決して諦めないというような生き方が必要になる。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「成功するまで諦めない」の項で、稲盛名誉会長は次のように説かれています。

 成功するかしないかは、その人の持っている熱意と執念に強く関わっています。何をやっても成功しない人には、熱意と執念が欠けているのです。体裁のいい理由をつけ、自分を慰め、すぐに諦めてしまうのです。

 何かを成し遂げたいときには、狩猟民族が獲物を捕らえるときのような手法を取ることです。つまり、獲物の足跡を見つけると、槍一本を持って何日も何日も追い続け、どんなに雨風が吹こうと、強敵が現れようと、その住処(すみか)を見つけ、捕まえるまでは決して諦めないというような生き方です。

 私が「成功するまで諦めない」と言っていたころ、アフリカの原始民族が手作りの槍一本で獲物を捕らえにいくシーンをテレビか何かで目にしたことがありました。
 家族を飢えから救うため、槍一本を携えて狩りに出かけ、獲物である獣の足跡を目ざとく見つけては、どのくらい前に獲物がそこを通ったのかを推察し、追跡する。動物は移動の合間に必ず休憩をとりますから、そこまで追っていき、ついには槍で仕留める。


 その姿を見た私は、「成功するまで諦めない」とは、まさにこのことなのだと、我が意を得た思いがしました。そうした粘りがあれば、必ず目標は達成できるはずだと思ったのです。

 しかし経営においては、余裕のある経営ができていないと、「成功するまで諦めない」という手法は使えません。
 例えば、家族を当面養っていくために小さな獲物でも獲りに行こうと、大した準備もせずに出かけたとします。飲まず食わずではせいぜい一日か一日半ぐらいしか体力が持ちませんから、獲物の足跡を見つけても、結局は追いつけないまま、途中で自分の村に戻らざるを得なくなるでしょう。

 例えば、予め水を入れた竹筒と、以前獲った獲物の干し肉などを腰にぶら下げていれば、それを飲み食いしながら三日でも四日でも獲物の足跡を追いかけていくことができます。
 ごく最近の足跡を辿っていけば、獲物も不眠不休で動いているわけではありませんから、必ず体を休める住処にまで辿り着けるはずです。つまり、三、四日分の食料という、執拗に獲物を追いかけていくための余裕があれば、必ず目的は達せられるのです。

 研究開発にしても、やはり資金面に余裕がなければ、何年も続けていくことはできません。事業で利益を出し、研究開発費用を使っても会社は十分にやっていけるという余裕がどうしても要るのです。

 「成功するまで諦めない」ということは、成功するためのエッセンスと言っても過言ではありません。そして、それには、成功するまで粘ることのできる余裕を持っていることが前提となるということを理解していただきたいと思います。

 しかしながら、最後の最後に肝心なのは、たとえ身体一つしか残っていなくても諦めずに頑張り抜く、目標達成に向かって粘って粘って最後まで諦めずにやり抜く、「絶対に諦めない」という姿勢です。ぜひそのことを心に留めておいていただきたいと思います。(要約)

 1981年、京都セラミツク(現京セラ)総合研究所に配属された私は、新規セラミック材料の研究開発に従事することとなりました。その際、「研究開発は成功するまで続ける。それが基本姿勢だ」と教わりました。
 京セラでは、そうした考え方が、研究開発に限らず、あらゆる場面で大事にされています。

 誰にも弱いところはありますから、物事が自分の想定通りに進まないと、「状況は我に利あらず」とか「時勢には逆らえない」といった適当な理由を探してきて、自分がそれ以上痛い目を見ないよう、挑戦することを止めてしまいます。

 しかし、「成功するまで諦めない」と本人が強く思い、周囲もそれを肯定的に受け止めてくれる環境があれば、これ以上後には引けないという精神状態に自らを追い込みやすくなり、それが良い結果を生み出す原動力となっていきます。

 「成功するまで諦めない」
 「何が」、あるいは「どこが」成功なのかよくわからないといった事案も少なくありませんが、とにかく諦めよくならずに、粘って粘って粘り抜く。京セラ在籍40年の間に、その姿勢だけは体得できたのではと思っています。


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