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『稲盛和夫一日一言』11/22(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11/22(火)は、「不易なるもの」です。

ポイント:世の中がどのように変わっても、善を追求するという人間の本質は変わらない。

『京セラものづくりの心得手帳』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)の「『不易流行』のものづくり」という項で、伊藤謙介京セラ元会長は次のように述べられています。

 変えてはならないものを守りつつ、新しいことに果敢に挑戦していくことを「不易流行」といいます。
 古来続く陶磁器の窯元では、代々継承されてきた家訓とともに、土や火に向かう「心」を伝えることに歴代の当主が命を懸けています。一方、時代の風を採り入れることにも懸命に努めています。だからこそ、歴史を越えて高い評価を受け続けることができるのです。
 現在の製造現場においてもこのことが必要です。変えてはならない、それぞれの現場でものづくりに携わる心構えを基軸とした上で、新技術の導入に積極的に努めていかなければなりません。そのような「不易流行」に基づいたものづくりこそが、新しい時代を切り開いていくのです。

 「不易流行」とは、俳人松尾芭蕉が提唱した俳諧理念のひとつです。芭蕉の弟子がまとめた俳句論の書には、「不易とは、永遠に変わらない伝統や芸術の精神のことであり、流行とは、新しみを求めて時代とともに変化するもの」、また「俳諧の永遠なる本質は、新しさを求めて常に変化する流行の中にこそある」と記されています。
 
 企業において、経営理念やフィロソフィは変えてはならないものですが、技術などは時代とともに変遷を重ねながら常に進化していかなければならないものの一つです。変えるべきものを積極的に変えていかなければ、世の中の流れに対応できなくなります。
 一つの企業が創業され、幾多の年輪を刻みつつ成長発展を重ねていきます。同時に、そこにかかわる人々も集まり散じて、世代交代を繰り返していきます。しかし、いくら時代を重ねようとも、次の世代へ確実に手渡していかなければならないものがあるはずです。それが経営理念、フィロソフィです。つまり、その企業が何を目指すのかという目的や目標、そしてそれを実現するための考え方、哲学は変えてはならないということです。

 このことは、企業経営に限らず、人生においても当てはまるのではないでしょうか。今日の一言では、不易なるものとして「世の中がどのように変わっても、善を追求することが人間の本質であり、仕事に打ち込んで、世の中に役立ち、自分自身も幸せだったと感じられる生き方が、時代がどう変わろうと、最終的にはみんなが求めているものではないかと思います」と言われています。

 最近よく思うことですが、人間とは、年齢を重ねるにつれて「頑ななるものを増やしていく生き物」なのではないでしょうか。すでに『断捨離』という言葉が広く認知されるようになっていますが、「物」に限らず、自身の「心の中」「意識」といったものも整理整頓してみる必要があります。
 自分なりの「こだわり」ぐらいは許容されるかもしれませんが、「意固地」や「横柄」といった『我欲』が先行してしまえば、限度を超えて反発や非難の対象となります。

 昨今、高齢者が引き起こしているアクセル・ブレーキの踏み間違いによる悲惨な事故や高速道路の逆走トラブルなどは卑近な事例のひとつですが、ふんぞり返っているとしかお見受けできない政財界の高齢のお歴々を見るにつけ、自分の中の「不易なるもの」が善なるもので満たされるよう、せめて残りの人生だけでも、心を高める努力を続けていきたいと思っています。


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