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『稲盛和夫一日一言』11/14(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11/14(月)は、「撤退の決断をする」です。

ポイント:物質的な要素はともかく、情熱がなければ新しい事業や開発などできない。根の限り戦うことが前提だが、情熱が尽きるような状態まで追求してそれでも成功しないのであれば、満足して撤退するのが真の引き際。

 2013年発刊の『稲盛和夫 経営問答集 第一巻 経営を伸ばすⅠ 事業展開編』(稲盛和夫著 盛和塾事務局)で、事業撤退を決断する際の基準について、稲盛塾長は次のように述べられています。

【質問】
 以前、塾長から「新規事業は、やるからにはとことん粘って粘ってものになるまで粘り抜くんだ」「どうしても撤退するときは、それをやっている人間、あるいは現場が刀折れ矢尽きるという感じになったときだけだ」という話を聞かせていただきました。
 私どもの場合、そこまでやり抜いたとしたら、本業の方がえらいことになりかねません。しかし撤退の決断を下すのであれば、早いほどいいという気がするのも事実です。どのような基準で判断すべきでしょうか?
 (要約)

【回答】
 難しい質問で、一言でその基準みたいなものをお話しすることができません。私の場合には、本丸はしっかりしていて十分な補給も受けられる状態でしたから、とことん粘ってやらせることができました。また、すさまじい真剣勝負をしながら担当者を絶壁にまで追いつめていって、そこでどういう力が出てくるかを見るのが常でしたら、これ以上駄目だとなった場合は分かりました。
 そこまでやってもうまくいかないのであれば、すべてが思いどおりになるわけではないと考えて、勇気を持って決断すべきです。撤退するかどうかの判断は社長がしなければならない仕事ですから、トップが全部泥をかぶる覚悟を持って、逡巡することなく即決しなければなりません。
(要約)

 「成功するまで諦めない」という京セラフィロソフィからもわかるように、京セラではあらゆる事業に対して、目標達成に向かって粘って粘って最後まで諦めずにやり抜くという姿勢が大切にされています。

 うまくいかない理由が担当者本人の能力不足なのか、あるいは客観情勢に利あらずという状況なのか、それはケースバイケースでしょうが、いずれにしても、トップが勇気を持って引き際を判断することが必要です。
 なぜなら、これ以上やっては担当者が駄目になる、自滅してしまうという事態にまで至ってしまえば意味がないからです。その際は、トップ自らが撤退の決断をしなければなりません。

 今日の一言で稲盛名誉会長は、「情熱が尽きるような状態まで追求し、それでも成功しないようであれば、私は満足して撤退する」と述べられています。

 後々、あのときもっと別の選択肢があったのではないかと悔やむような場合もあるかもしれませんが、「後悔先に立たず」です。根の限り戦ったのでれば、きれいに引くこともまた修行なのではないでしょうか。


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