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『稲盛和夫一日一言』 10月18日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月18日(水)は、「社長の五条件」です。

ポイント:社長に求められる五つの条件:①公私の区別を峻厳(しゅんげん)として設けること、②企業に対して無限大の責任を持つこと、③自分の人格、意志をすべて企業に注入すること、④誰よりも努力する存在であること、⑤従業員から尊敬される存在となれるよう、心を高め、哲学を究めること。

 2013年発刊の『稲盛和夫 経営問答集 第六巻 心を高める 経営哲学編』(稲盛和夫著 盛和塾事務局)の中で、「社長に求められる五つのこと」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「社長業として何が大事か、稲盛塾長のコメントがほしい」という質問内容かと思います。社長業として気をつけなければならないことはたくさんありますが、いくつか重要なことをあげてみたいと思います。

 社長とは、その企業の最終判断をする、最終決断をする、つまり物事を決める最終の地位にいる人です。ですから、社長には一番目に「判断・決断の基準を心の中に持つ」ことが大事だろうと思います。その基準は「人間として何が正しいのか」ということ。そして、利己を抑えて利他の心で物事を判断するようにしてください。
 社長は誰にも頼れず、自分だけに頼らなければならないため、孤独感が非常に増してきます。「トップは孤独だ」と言われる所以です。ですから、ナンバー2の人が社長になったとたんに恐れおののいてしまう。トップがそれまでとは比べ物にならないくらい厳しい存在だと瞬時に分かるからです。

 二番目は、「企業の全責任は自分にあるのだ」というくらい、企業に対する無限大の責任を持つことです。なぜなら、もし社長が一個人に返り企業から離れてしまえば、企業は無生物と化してしまうからです。
 
 三番目は、自分の持っているすべての人格と意志を企業に注入しなければなりません。企業は無生物ですが、少なくとも社長が存在しているかぎり生命体となりますから、そこに全人格と意志を注入するのが社長なのです。

 四番目は、社長は会社のためにというよりは、全従業員の物心両面の幸福の追求のために、他の誰よりも頑張る、よく働くことが必要です。働きもしない社長が偉そうぶって指示を出しても誰もついてきません。

 五番目は、社長は従業員から尊敬される存在でなければなりません。そのためには、素晴らしい人格、見識を持った人でなければならないのです。そうなるためには、心を高めることが必要です。(要約)

 以下、一番目の「公私の区別を峻厳として設ける」の補足です。
 人間誰しも、「自分だけよければいい」という利己心が発現することがあります。それを抑えて、利他の心で物事を判断する。利他とは他を利する思いやりの心、愛のことです。
 小さな会社、組織であっても、えこひいきは厳禁です。人事においては「公正」が最優先されるべきで、決して感情的な判断が行なわれてはなりません。そのためには、トップは公私の区別を峻厳と設ける必要があります。つまり、公私混同しないということです。

 一般的に、社長に求められる資質としては、次のような項目があげられています。
  ①会社の財務・経理に関する知識
  ②コミュニケーション能力
  ③将来を読む先見性
  ④判断力・決断力
  ⑤向上心

 社長に限らず、組織のトップ、リーダーという立場にある人には、「人間として何が正しいのか」を判断の基準として、すべての物事を利他の心で判断しようとする心構え、心がけが求められているのではないでしょうか。



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