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『稲盛和夫一日一言』 2月13日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月13日(火)は、「もっといいやり方はないか ①」です。

ポイント:どんなに小さなことにも、工夫改良の気持ちを持って取り組んだ人とそうでない人とでは、長い目で見ると驚くほどの差がついてくる。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、日々改良改善を行うことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 改良改善を行っていくうえで最初に意識すべきは、やはり「なぜ」という疑問を持つことだと思います。
 「なぜこうでなければならないのか?」というように、すべてに疑問符を打つことによって、改良改善が始まっていくと、私は考えています。

 何の批判もしないで、唯々諾々とすべてを受け入れていくというようなことでは、改良改善は絶対にできません。何事に対しても、「なぜ」という「クエスチョン」を必ず打っていかなければならないのです。

 経営においても日々の仕事においても、そうした改良改善を綿々と続けていくことが一番大事なことだと思います。
 どんなにささいなことでもいいから、毎日毎日改良改善を続けていけるような企業であれば、必ず発展していきます。

 その改良改善というものは、一人ひとりの人間が行うものです。例えば企業に一万人の従業員がいれば、その一万人が毎日毎日改良改善をやっていったら、膨大な変化が起こるはずです。それが企業を大きく成長させていくもとになるのです。

 物事を改良改善していくには、まずそれを遂行する人の心の中に、「改善することは可能である」と信ずる気持ちがなければなりません。「必ずできる」と信じる、その心が改良改善の糸口を見つけ出していくのです。
 
 それにはまず、従来から持っている固定概念を否定するところから始めるべきです。「なぜ、なぜ」と疑問符を打ちながら、「どうすれば、こうなるのだろう」と、日々改良改善をしていくことが大切です。

 全社員が毎日毎日、小さな改良改善も含め、絶え間なく改良改善を続けていけるような企業でありたいものです。
 そうすれば、京セラという企業は、どんな不況がこようとも、それを乗り越え、今後とも成長発展していけるはずだと、私は考えています。
(要約)

 今日の一言には、「私は技術者あがりのせいもあって、これでいいのか、もっといいやり方はないかという疑問を、いつも自分に投げかけることを習い性としてきました。そういう目で見れば、雑用ひとつとっても、そこに工夫の余地は無数にあるものです」とあります。

 「なぜなぜ?」で有名なものに、トヨタ生産方式から生まれた「なぜなぜ分析」があります。なぜなぜ分析とは、問題やトラブルが発生した際に「なぜ?」を繰り返すことで、原因を徹底的に追究、洗い出し、再発防止や改善策を見つける分析方法のことです。
 なぜなぜ分析では、問題が発生した場合、「なぜ?」を5回繰り返します。その理由は、「なぜ?」を5回ほど繰り返せば、大体の原因が突き止められるからです。

 1978年発刊の『トヨタ生産方式 ー脱規模の経営をめざしてー 」(大野耐一著 ダイヤモンド社)の中で、トヨタ自動車元副社長の大野耐一氏は次のようなステップでその有効性を説明されています。

『トヨタ生産方式 ー脱規模の経営をめざして』より引用

 「もっといいやり方はないか?」という眼で日々改良改善を繰り返していく。これは製造業に限らず、あらゆる分野においても有効なことではないでしょうか。

 よく「現状に甘んじることなく、更なる高みを!」とか、「現状維持は衰退の始まり」「組織はできた瞬間から腐り始める」などと言われたりしていますが、今ある状態のままでいることは、退歩以外のなにものでもありません。

 新たな変化を起こそうとすると、そこにはエネルギーが必要になります。しかし、今ある状態から一歩踏み出して、次のフェイズを目指そうとしても、単発的なわずかばかりの改善ではとても届きません。

 決してあせることなく、日々改良改善を積み重ねていくこと。長い目でみれば、それが自らを次のフェイズへと押し上げる原動力となってくれるはずです。


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