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『稲盛和夫一日一言』 10月1日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月1日(日)は、「闘魂」です。

ポイント:経営者は、一国一城の主として、「誰にも負けるものか」という気概、激しい格闘技にも似た闘魂を持って社員を率いていくべき。

 2022年発刊の『経営12ヵ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著 日経BP/日本経済新聞出版)の第8条 燃える闘魂の項で、「経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 経営にも、格闘技などの世界で必要とされる「闘魂」が不可欠である、と私は考えています。人がよすぎてケンカもしたことがないなどという人は、早い時期に社長の座をもっと闘争心のある人に譲るべきです。

 いくらきれいごとを言っても、はやり経営には、激しい企業間競争が伴います。たとえ従業員が2~3人しかいない小さな企業であっても、経営者は従業員を守るために凄まじい闘魂や闘志を持って企業間競争に臨むべきです。そうしないと勝負になりません。

 経営者であるならば、「絶対に負けるものか」という激しい思いが不可欠なのです。それは、厳しい市場競争に負けそうになった社員に向かって「逃げて帰ってくるなら、私が後ろから撃ってやる。帰ってきても死ぬなら、死ぬ気で前に進め」と言うように激烈なものです。

 しかし私が言う「闘争心」とは、競合他社に負けまいとするものばかりではありません。経営においては、いくら企業間競争に打ち勝ち、万全な経営に努めても、円高などの経済変動や国際紛争、さらには自然災害と、思わぬ変動要因がいろいろと湧き起こってきます。

 それら経済変動や天変地異は、経営者の責任ではありません。しかしそうしたことを口実にして、安易に業績の下降を許してはならないのです。予期せぬ事態をも超えて事業の拡大を目指していかなければ、企業が成長発展することはありません。

 京セラもそうでした。それは、私自身が、また私の後を継いだ京セラの経営陣が、「絶対に負けるものか」という強い思い、いわば燃える闘魂を持って経営にあたり、いかなる景気変動にも負けることなく、努力と創意工夫を重ね、成長発展を目指してきたからに他なりません。

 景気や経済変動に一喜一憂せず、どのような経営環境であれ、闘争心を持って誰にも負けない努力を続けていきさえすれば、必ず道は開けます。(要約)

 この章の最後で、名誉会長は次のように述べられています。

 もちろん、人を思いやる美しい心は必要です。しかし、それだけでは、企業は市場競争に敗れ、淘汰されてしまいます。時代は大きく変化し、経営環境は急速に変動している。そのような混沌とした状況のなかだからこそ、状況に流されず、環境に負けない「なにくそ」という強い精神、つまり「闘争心」が必要だと、私は考えています。

 経営において、美しい心の必要性を知り、それを身につけるべく日々努めていれば、たとえそのように激しく猛々しい闘争心を持って経営や人生に臨んでも、決して誤った方向には行きません。美しい心が羅針盤となり、まっすぐに正しい方向へと進んでいくことができると、私は信じています。

 京セラフィロソフィに「闘争心を燃やす」という項があります。
 そこには、困難や圧力をはねのけていくエネルギーのもとは、その人が持つ不屈の闘争心です。どんなに苦しくても、「絶対に負けない、必ずやり遂げてみせる」という激しい闘志を燃やすことが大事です。
 私たちが持つべき闘争心とは、相手を倒すためのものではなく、自分が精一杯に生きていくためのものでなければならない、と説かれています。

 「精一杯生きることを諦めない」
 いくつになっても、自分の気持ちをモチベートしてくれる言葉ではないでしょうか。


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