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『稲盛和夫一日一言』 3月5日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月5日(火)は、「リーダーの自信」です。

ポイント:リーダーシップを発揮するには、「自分はいつも公明正大だ」と言えるだけの迫力が必要。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)の中で、公明正大な企業風土を確立することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は京セラ創業以来、「心をベースにした経営」を心がけてきたつもりです。また、社員との信頼関係を構築するために、経営が「透明」なものでなければならないと考えてきました。

 そのためには、会社を取り巻く状況を踏まえ、トップが今何を考え、何をめざしているのかを正確に社員に伝えることが大切になってきます。
 会社の現況、遭遇している課題、そしてめざすべき方向について正しく知らせることで、社員のベクトルを合わせ、その持てる力を結集していかなければ、高い目標を達成することも、困難を乗り切っていくこともできません。

 受注がどれほどあり、計画からどれくらい遅れているのか、利益がどれくらい出て、それがどのように使われているのかなど、会社の置かれている現況について、幹部だけでなく末端の社員にもよく見えるような「ガラス張り経営」をめざしてきました。
 現在、日本航空でもさまざまな工夫をして、経営数字を全社員と共有するよう努めているのも、そのためです。

 この「ガラス張り経営」で大切なことは、トップ自らが率先垂範、公明正大な姿勢を貫くということです。

 経営トップによる会社経費の流用や無分別な接待などは、決して許されるべきものではありません。もしそのようなことが行われるならば、社員の離反を招き、モラルの崩壊は野火のごとく拡大して、企業経営を根幹から揺るがすことにもなりかねません。

 その意味では、会計が果たす役割はきわめて大きいのです。企業会計において、「ガラス張り経営」に基づいた公明正大な管理システムが構築されていれば、人をして不正を起こさせませんし、また万が一不正が発生しても、最小限のレベルにとどめることができます。

 そのための経理システムは、決して複雑なものである必要はありません。人間として普遍的に正しいことを追求するという経営哲学をベースとして、「ガラス張り経営」が貫かれ、社内に風通しのよい職場がつくられているかどうかが大切なのだと思っています。

 京セラが道を誤ることなく順調に発展してきたのも、日本航空が現在、好決算を続けているのも、確固たる経営哲学をベースとした会計の考え方とシステムを構築し、公明正大な社風を拡充することができたからだと、私は考えています。(要約)

 今日の一言には、「経営者が『一切不正なことはしていない』と言い切れるところに迫力は生じるし、その公明正大さが経営者に自信を与え、困難な局面に立ち向かう勇気を沸き立たせてくれる」とあります。

 ここに示した「ガラス張り経営」は、「京セラ会計学」七つの原則のうちのひとつです。

 2015年発刊の『「稲盛和夫の実学」を語る』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部・経理部編/非売品)の中で、透明な経営ができるかどうかは最終的にはトップの持つ経営哲学いかんにかかっているとして、名誉会長は次のように説かれています。

 いくら経理部門が正しく仕事をしていたとしても、他の部門が原則を無視していては、経理部門がまとめる数字も信頼性のないものになってしまいます。ですから経理部門だけでなく、社内のすべての部門が公明正大であることが必要なのです。

 それが実現するかどうかは、経営トップがどのような経営哲学を持ち、社内に浸透させていくかにかかっています。経営トップがすべての従業員に対して、経営の実態を分かるようにしたいと思わなければ、経営トップと従業員が固い絆で結ばれることはありません。しかし、そうできなければ社内のベクトルは揃わず、他社との厳しい競争に打ち勝っていくこともできないでしょう。

 経営トップ自らが、京セラフィロソフィにある「公明正大に利益を追求する」「フェアプレイ精神を貫く」を率先垂範し、社内のすべての組織に浸透させていかなければなりません。(要約)

 公明正大の意味は、「私心をはさまず平等であるさま」「良心に恥じることなく正しいさま」です。

 経営トップに限らず、私たち一人一人が「公明正大」に生きようと努めること自体が、今の世の中を少しでも善き方向へと導く力になっていくものと信じています。


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