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『稲盛和夫一日一言』 3月14日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月14日(木)は、「雄弁家」です。

ポイント:雄弁な人は、往々にして言葉をもてあそぶ。変に技巧に走らず、全身全霊を傾けて誠実に話す。その誠実さこそが、聞き手と話し手を結びつける。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「心を込めて語りかける」の項で、誠実に話すことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 雄弁な人は、往々にして言葉をもてあそびがちです。話し上手で、一見好感が持てるものですが、よくよく話を聞いてみると、綿菓子のように少しも中身がない場合が多いのです。

 流暢に話す方が説得力があると錯覚する人もいます。しかし、私は少しも魅力を感じません。むしろ、そういう薄っぺらな人間性の人とは、話す気がしなくなります。

 若い人たちには、こうしたうわべだけの話し上手をまねるようなことはしてほしくないと思います。トツトツとした語り口であっても、魂から奔(はし)り出た言葉でしゃべってほしいと思うのです。

 一生懸命、なんとか相手にわかってほしいという思いを込めて、自分の言葉で心の底から話すとき、訴える力が強くなり、相手の感動を呼び起こすのです。流暢さや雄弁さには欠けるかもしれませんが、これに勝る方法はないのです。

 相手に本当に自分のことを理解してもらいたいのであれば、感情を分かち合うことです。変に技巧に走らず全身全霊を傾けて、誠実に話すのです。
 その誠実さが、聞き手と話し手を結びつけるのです。
(要約)

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)「魂を込めて語りかける」の項で、魂を込めて話すことの大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。

 人に自分の思いを伝えたいと思えば、真剣に魂を込め、一生懸命に話をすることです。巧みな話術でとうとうと、うわべだけの話をしても、「思い」は伝わりません。

 それよりは、トツトツとした語り口でもいいから、魂からほとばしり出た言葉で話すことが大切です。後でぐったりと疲れてしまうくらい、全身全霊を傾け、訴え続けるのです。そうすると、言葉とともに、その言葉を超えた強烈な「思い」が相手に届き、その心を動かしていくはずです。

 「何としてもやり遂げたい」という自らの強烈な思いと同じくらいにまで周囲の士気を高めることができれば、仕事は必ずうまくいくはずです。(要約)

 「魂を込めて語りかける」とは、「精魂込めて、必死になって相手を説得しようと思って話をする」ことです。
 名誉会長はよく、「思いが『言霊(ことだま)』として伝わっていくような話し方をしなければならない」「みんなにわかってもらおうと、魂をほとばしらせるように話をするから、いつもクタクタになってしまう」と言われていました。

 また、2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、「リーダーは語り部たれ」として、伊藤元京セラ会長は次のように述べられています。

 リーダーは、ものをつくると同時に、語り部でなければなりません。私はよく、「リーダーは語り部たれ」と言ってきました。

 朝礼や会議などで、1回話をしたから、みんなわかってくれているだろうなどと考えるのではなく、聞いている相手の顔色が変わるまで、何度でも繰り返し繰り返し話し続けなければならないのです。

 話がうまくなくても構いませんが、一生懸命、魂を込めて話すようにすることです。それを続けていくことで、最初はわかっていないような顔つきで聞いていた人でも、いろいろな切り口で工夫しながら話を重ねていくにしたがって、目つきや顔色までもが変化してくるはずです。
 もちろん、そこまでいくにはある程度の時間はかかりますが、話し込むことで、伝えたいことがわかってもらえるようになるのだと、私は思っています。

 リーダーが、フィロソフィを踏まえて自分の言葉で熱く語っていくことで、部下にもそのエネルギーが伝わりますから、現場の士気は大いに高まっていくはずです。全員が、リーダーの思いと同じになるまで徹底して繰り返し繰り返し語りかけていくことが必要です。
 リーダーの思いがメンバーの心に浸透し、現場のベクトルを一つに合わせることができれば、必ず目標を達成することができるようになるはずです。
(要約)

 聞き手に、自分のエネルギーを注入して、自分の思いと同じレベルにまで励起してもらえるほど、魂を込めて熱く語りかけること。

 私も、フィロソフィの体現者、伝道者の一人として、今後とも「魂を込めて、誠実に語り合う」ことを心がけていきたいと思っています。


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