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『稲盛和夫一日一言』 3月15日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月15日(金)は、『「プラス方向」の考え方』です。

ポイント:「プラス方向」の正しい考え方を持つことは、仕事や人生を実り多きものにしてくれる。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、正しい考え方を持ち続けることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私が現実に仕事や経営に携わる中から学びとってきた真理や経験則、つまり、人間として守るべきシンプルな原理原則は、そのいずれもが易しい平凡な言葉ですが、その平凡さ、単純さというものが「普遍性」に通底していると、私は考えています。

 しかし、何事も「言うは易く行うは難(かた)し」で、それを実行していくのは容易なことではありません。それだけに原理原則は、それを強い意志で貫いていかなくては意味がないのです。

 つまり、原理原則というものは、正しさや強さの源泉である一方、絶えず戒めていないと、つい忘れがちなもろいものでもあります。だからこそ、いつも反省する心を忘れず、自分の行いを自省自戒すること。また、そうすることさえも原理原則に組み入れていくことが大切なのです。

 先に紹介した人生方程式、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式で表される法則ですが、この式の中でもっとも重要なのは、「考え方」というファクターです。

 考え方がもっとも重要なのは、それが方向性も表しているからです。つまり、考え方にはいい考えもあれば悪い考えもある。プラスの方向に向かって持てる熱意や能力を発揮する生き方もあれば、マイナスの方向に向けてその熱意や能力を使う人もいるわけです。

 したがって、この考え方という要素にだけはマイナス点も存在し、熱意や能力の点数が高くても、この考え方がマイナスであったら、掛け算の答え(=人生・仕事の結果)もマイナスになってしまいます。
 才能に恵まれた人が情熱を傾けて、詐欺や窃盗などといった犯罪という「仕事」に励んだとしても、そもそも考え方がマイナス方向に働いていますから、決してよい結果は得られないということです。

 考え方が正しい方向に発揮されなければ、どれほど優れた能力を持ち、強い熱意を抱こうとも、それは宝の持ち腐れどころか、かえって社会に害をなすことにもなりかねないのです。(要約)

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「良い心=プラス方向の考え方」として、名誉会長は次のように述べられています。

 人生方程式は、「人生・仕事の結果=良い心×熱意×能力(才能)」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。「良い心」とは、「プラス方向」の考え方のことです。

 では、「良い心」とは何なのか。きちんとした定義は示されていませんが、私が勝手に考えている「良い心」とは次のようなものです。

 「常に前向きで、建設的であること。皆と一緒に仕事をしようと考える協調性を持っていること。明るいこと。肯定的であること。善意に満ちていること。思いやりがあって、優しいこと。真面目で、正直で、謙虚で、努力家であること。利己的ではなく、強欲ではないこと。『足る』を知っていること。そして、感謝の心を持っていること」
 良い心とは、今あげたようなことを全部持っている心だと考えています。

 私がフィロソフィを説く中でお話ししている内容こそが、考え方の基準となる良い考え方です。
 さきほどあげた良い心の中で、自分にあてはまると思うものにマルをつけていってください。これもマル、あれもマルというふうに、全部にマルがつくようであれば、あなたの考え方はプラス百点と考えてもいいでしょう。
 自分の心がどのような状態にあるのかを知る手段として、誰にも分かりやすい方法ではないかと思います。
(要約)

 今日の一言には、「将来を担うべき若い人々が、このような『プラス方向』の考え方を持って一生懸命に働くことを通じ、素晴らしい人生を歩まれることを心から願っています」というメッセージが添えられています。

 「悪い心」「マイナス方向の考え方」とは、「良い心」「プラス方向の考え方」の対極にくるものです。
 つまり、「否定的、非強調的。暗く、悪意に満ちて、意地が悪く、他人を陥れようとする。不真面目で、嘘つきで、傲慢で、怠け者。利己的で、強欲で、不平不満ばかり。人を恨み、人を妬む」といった心、考え方です。

 「六つの精進」にある「反省ある毎日を送る」とは、その日一日を振り返って、「良い心」「悪い心」を基準に自分の言動を採点してみるということではないでしょうか。
 少しも反省する点がないという日はまれかもしれませんが、そうした百点満点の日が少しでも増えるようにと、日々心掛けを新たにしようとする行為こそが尊いのだと、私は信じています。


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