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『稲盛和夫一日一言』 4月21日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4月21日(日)は、「自己犠牲を払う」です。

ポイント:自分の部下を優先し、彼らが働きやすいと感じる環境を、リーダーが自己犠牲を払って築いてこそ、部下をして奮い立たせ、部下の信頼と尊敬、職場の協調と規律、発展が得られる。

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす 素晴らしい人生をおくるためにー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「自己犠牲が信頼をもたらす」の項で、リーダーが自己犠牲を払う勇気を持つことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 リーダーは、自己犠牲を払う勇気を持っていなければなりません。
 集団として何かをなさんとすれば、必ずそのためのエネルギーが必要です。つまり代償が必要なわけですが、それはリーダーが率先して払うべきものです。リーダー自らが、自己犠牲を払う勇気を示すことによって、部下をして信頼せしめ、奮い立たせるのです。

 職場を少しでも働きやすいものにしていこうとする場合、それはリーダーが働きやすい環境ではなく、職場の大多数が働きやすい環境でなければなりません。そのためには、リーダーがいくらかは自己犠牲を強いられることもあるでしょう。しかし、リーダーのこの勇気なくして、職場の改革、改善などできるはずがありません。

 リーダーにとってのみ都合の良い職場を望むなら、部下は誰もついてこないでしょう。集団のマジョリティが働きやすいと感じる環境を、リーダーが自己犠牲を払って築いてこそ、部下の信頼、尊敬、職場の協調と規律、そして発展が得られるのです。(要約)

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)「自己犠牲を払う」の項で、名誉会長は次のように説かれています。
 
 物事を成し遂げるには、代償が必要です。京セラの今日の発展も、創業当時から、全従業員が「誰にも負けない努力」を続けてきた、その成果なのです。

 遊びたい盛りの若いころから、仕事一筋の生き方をしてきた。その代償として、今日の発展がある。いわば自分の遊びたいという欲望を犠牲にすることで、それに見合う成功を勝ち取ることができたのです。もし成功できないとなれば、自己犠牲をしていないからです。

 「大きな成功を望むなら大きな犠牲を、小さな成功を望むなら小さな自己犠牲を」(ジャーズム・アレン)というように、人生で成功を願うなら、それ相当に自分の欲望を犠牲にしなければなりません。(要約)

 今朝の朝刊に、「地方公務員の退職状況調査」に関する記事が出ていました。見出しは「退職者10年で2倍超 若手顕著、待遇不満か」。
 教員や警察などを除く一般行政職のうち、主に自己都合で仕事を辞めた人が、直近の約10年で2.2倍になったという内容です。(総務省集計)

 非効率な業務が多く残る組織風土や長時間勤務が退職の引き金になっているのではとの解説とともに、①「あと30年近く、非効率な仕事を続けるのは不可能」(30代男性)、②「窓口で怒鳴りつける住民もいて疲れ果てた」(20代男性)、③「超過勤務が月200時間を超えたとき、心身が持たないと思った」(20代女性)といった退職者の声が取り上げられていました。

 それぞれ、①前例踏襲、予定調和といった旧態依然とした体制への不信感とあきらめ、②住民によるクレームや過剰要求などといったカスタマーハラスメントに対して、上司や同僚がまったくかばってくれないことに対する絶望、③コロナ禍対応で休日出勤が当たり前といった状況に対する不安と恐怖、といった補足コメントが示されています。

 それでは、大多数の人が働きやすいと感じる環境をつくるために、リーダーはどのような振る舞いをすべきなのでしょうか。

「真の強さとは、正しいことを行う勇気を持つことである」(稲盛和夫)

 「事なかれ主義」では、何の変化も起こりません。
 リーダーが、組織のために善かれと信じる理想の姿を、自己犠牲を払うことをも厭わない真の勇気を持って、率先して築いていこうと自ら行動を起こしていかなければ、現状維持はおろか、退歩あるのみという厳しい現実を突きつけられることになるだけではないでしょうか。

 岸田総理を筆頭に、政治家の面々には、ぜひとも自問自答いただきたい内容ではないかと思っています。


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