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『稲盛和夫一日一言』 2月9日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月9日(金)は、「仕事の中に喜びを感じる」です。

ポイント:人間がほんとうに心からの喜びを得られる対象は、仕事の中にこそある。真面目に一生懸命仕事に打ち込み、つらさや苦しさを超えて何かを成し遂げたときの達成感に代わる喜びはない。

 2004年発刊の『君の思いは必ず実現する 二十一世紀の子供たちへ 』(稲盛和夫著 財界研究所)の中で、一つのことを継続していくために大切なこととして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 一つのことを長い間継続していくためには、どういう工夫が必要なのだろうか、ということを私なりに考えてみました。

 まず最初に大切なのは、「好きになる」ことです。
 例えば、学校を卒業して就職したとしても、最初から自分が好きな仕事に就ける幸運な人は少なく、多くの人は自分の好きな仕事に就くことはできないだろうと思います。
 つまり、多くの人は、たまたま就いた今の仕事を心から好きになれるよう、自分自身で努力するしか方法はありません。それが、一つのことを長く継続していくために最も大事なことです。

 二番目に大切なのは、「日々、創意工夫を重ねる」ことです。
 継続するといっても、漠然と、漫然と続けていたのでは意味がありません。大事なのは、今日よりは明日、明日よりは明後日と、少しでも進歩するように心がけることです。そのような絶え間のない創意工夫が、素晴らしい成果を生むのです。

 そして三番目に大切なのは、「素直に喜ぶ」ことです。
 勉強でもそうですが、仕事や研究に打ち込んで努力をしていくことは、あたかも修行僧が修行に打ち込むような厳しいものです。しかし、それが苦しいだけのものであっては、長く続けていくことは難しい。
 そこで必要なのが、仕事や勉強の合間に喜びや楽しみを見い出す、ということです。

 私の場合には、貧しい会社で研究をしていく中で、いい研究成果が出ると、それを喜び、上司にほめられるとさらに喜ぶ、というように、仕事の中で楽しみを見い出しながら研究を続けていました。特に、予測した通りの結果が出たときなどは、跳び上がって体全体でその喜びを表現していました。

 そうした日々の小さな感動は、私に新たな情熱を吹き込み、さらに生きる勇気をも与えてくれるものでした。
 「研究に打ち込み、研究を続けていくには、感動こそが大事だ。ならば、周囲からいくら軽薄だと言われようが、たとえささやかな成功であっても、心の底から素直に喜ぶことのできる明るい人生を送っていきたい」、私はそう思っていたのです。

 その後の人生においても、さまざまなことを体験する中で、ささやかな成功さえも心から素直に喜ぶことにしました。それこそが、生きる勇気を与えてくれる「人生の栄養素」だという気がしていたからです。

 自分の人生を、前向きに明るく見ることができるのか、はたまた悲観的に見てしまうのか、その姿勢によって皆さんの人生は大きく変わってくるはずです。(要約)

 今日の一言には、「仕事をおろそかにして、趣味や遊びの世界に喜びを見い出そうとしても、一時的には楽しいかもしれないが、決して心から湧き上がるような喜びを味わうことはできないはずだ」とあります。

 1981年、京セラに入社した私は、配属先の研究所で新しいセラミック材料の研究開発を担当することになりました。大学で専攻した有機合成とは異なる分野ではありましたが、すぐに「世の中にないものを創る」という仕事に夢中になっていきました。

 しかし、毎日夜遅くまで実験を繰り返しても、なかなか目標をクリアできない日々が続きました。「心から湧き上がるような喜びを味わう」までには、実に数年が経過していました。
 事業部に製造移管するための製造仕様書を作成し、研究完了報告書をまとめて受理されたときの達成感、喜びは、今でも忘れることができません。

 「真面目に一生懸命仕事に打ち込み、つらさや苦しさを超えて何かを成し遂げたときの達成感。それに代わる喜びはこの世にはない」

 これは、名誉会長が若いころ実際に経験されたことがベースとなっている言葉ですが、私も同じような仕事をしてきただけに、身に沁みるものがあります。

 たとえささやかではあっても、「心から湧き上がるような喜びを味わう」ことができるよう、これからも目の前のことに一生懸命打ち込んでいきたいと思っています。


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