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『稲盛和夫一日一言』 5月7日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月7日(火)は、「渦の中心に立つ」です。

ポイント:自分から積極的に周囲に働きかけ、仕事をダイナミックに進めるために中心的な役割を果たしてくれる人のことを「渦の中心で仕事をしている人」という。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「渦の中心になる」の項で、積極的に仕事に取り組むことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人間が一人でできることには限界があります。仕事においては、上司、部下、同僚など、周囲の人々と協力することが必要です。そこでは、周囲の人たちがすすんで協力してくれるよう、自分から積極的に仕事を求めていかなければなりません。それが「渦の中心で仕事をする」ということです。

 しかし気をつけておかないと、誰か他の人が中心になっている渦の外側で一生を終わることになりかねません。
 会社では、あちこちで渦を巻く急流のように、たくさんのビジネスの渦が巻いています。もしその周りを漫然と漂っているだけであれば、どこかの渦に飲み込まれてしまうでしょう。

 仕事の本当の喜びと醍醐味を味わうためには、自ら渦の中心となって、周囲の人たちを巻き込むくらい、積極的に仕事に取り組まなくてはなりません。
 自分の渦を作り出せるほど考え方が主体的かつ積極的であるか否かが、仕事の結果だけでなく、人生の結果をも決定するのです。
(要約)

 今日の一言には、「会社などの集団の中で仕事を円滑に進めていくには、それがどんな仕事であれ必ず、エネルギッシュに中心的役割を果たしてくれる人が必要になる」とあります。

 そのような人を中心に、あたかも上昇気流が湧き起こるかのように、全員を巻き込んで組織が大きく動いていく。それが仕事をダイナミックに進めていくための推進力となります。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)「渦の中心で仕事をする」の項で、どのように「渦」を巻き起こすのかということについて、名誉会長は次のように説かれています。

 では、どのようにして「渦」を巻き起こせばいいのか。
 組織の中には、頼まれてもいないのに何かやろうと自分から言い出す、いわゆる「言い出しっぺ」が必ずいるものです。
 それは、幹部や先輩に限りません。歳は若くても、先輩たちを集めて、そう切り出す者がいます。

 例えば、「今月の売上を伸ばす」というテーマがあるとします。
 そのとき、まだ入社したばかりの社員であっても、「先輩、社長が売上を伸ばそうと言っておられますが、今日の定時後にみんなで集まって、どうすれば売上を伸ばすことができるかということについて、勉強会を開いて検討してみませんか」と言い出したとすれば、もうその人間が「渦の中心にいる人」であり、その集団のリーダーなのです。

 それは「いい恰好をしたい」から切り出すということではなくて、仕事が好きで、純粋な「問題意識を持っている」からそうできるだけのことです。

 仕事を好きになることで、指示に従って動くのではなく、自分から主体的に「渦をつくっていく」という気持ちになる。
 つまり、自燃性の人になることで、仕事で素晴らしい成果を収めることができるだけでなく、人生をも豊かなものにすることができるのです。
(要約)

 会議をしていても、単に存在感を示したいからとか、目立ちたいからといった理由で発言してみたものの、内容がプアで、皆から一斉にブーイングを浴びるといった人がいます。
 一方、「皆さんはどうして黙っていられるのですか!」と止むに止まらず立ち上がって、思いの丈をしゃべり始める熱い人がいます。

 京セラでは「言い出しっぺ」にその仕事を任せるという習慣があります。
 何か新しい提案をしたら、それを具体化するためのアクションは今やっている仕事にプラスして進めなければならなくなりますから、客観的にみれば、自分が「割を食う」ことになります。

 それでも、新しいことを言い出した者が、最もエネルギッシュに取り組めるだろうということも、容易に想像できます。

 名誉会長がその再生に関与された日本航空の『JALフィロソフィ』の中にも、「渦の中心になれ」という項目が盛り込まれています。
 JALでは「渦中(うずちゅう)」と略され、フィロソフィ用語として社内に定着していると聞いています。 

 「渦の中心に立つ」ことについては、何の制約も条件もありません。
 己の心の求めるままに有言実行し、あらゆる境界を乗り越えながら、驚くほど大きな渦の中心に我が身を置いて踏ん張ってみる。
 そうした経験は、仕事の範疇にとどまらず、必ずや人生の醍醐味を味わせてくれる得難い経験となるはずです。


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