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#81 「セルロースナノファイバー」と「ゴム」の融合でCO2削減!

この番組では、様々な切り口から、これからの紙の価値を考えたり、紙にまつわる情報、たまに紙に全く関係ない情報を発信しています。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。

本日は、皆さんおなじみの「セルロースナノファイバー(CNF)」の回です。
この番組でも数々取り上げてきました。
さて、本日は、「セルロースナノファイバー」と「ゴム」の融合でCO2削減!というテーマでお送りいたします。
よろしくお願いいたします!

セルロースナノファイバーと言えば、もう詳しい説明は不要ですね。
植物の主成分であるセルロースを、めっっっちゃくちゃ細かくしたものです。
先行き不透明な製紙業界における、将来有望な素材です。
今年史上最年少の三冠王を獲得して、愛称の「村神様」が流行語大賞になった、ヤクルトの村上宗隆選手のような存在です。
いや、言いすぎました。
とにかく、セルロースナノファイバーは、いろんな分野での応用が期待されている素材であることは間違いありません。

さて、そんなセルロースナノファイバーがゴムと融合した、という話をしていきたいと思います。
ゴムと言えば、いろんなところで使われていますよね。例えば、車のタイヤがそうです。それから、水道のホースとか、ベルトなんかにも使われています。
伸縮性や耐摩耗適性に優れ、かつ柔らかい特性を持っており、重宝されている素材です。
ゴムは、ゴムノキの樹液(ラテックス)によって作られる天然ゴムと、人工的に合成される合成ゴムに分けられますが、今回は、天然ゴムに絞って話をしていきたいと思います。
そんな天然ゴム、世界中で、年間にして約1,400万トンも生産されているそうです。
これは、横綱・照ノ富士がおよそ77,000人と同じ重さです。半端ないですね!

さて、この天然ゴムの製造方法、知っている方いますか?
知っている方は、業界の方か、すげぇ人のどちらかです。
僕は、一ミリも知らないので、いつものようにWikipedia先生に聞いてみたいと思います。
“天然ゴムは、素練り → 混練り → 成形 → 加硫 などの加工工程を経て製造される。”(by Wikipedia先生)とのことです。

不明な言語が並んでいましたね。
まず、「素練り」。これは、天然ゴムをミキサーで練って、分子を分断する工程です。後加工をしやすくするために行うそうです。
次に、「混練り」。これは、素練りした天然ゴムに色んな材料とか薬剤を混ぜる工程です。
こうしてできたゴムを、「成形」します。タイヤなら、タイヤの形にする、ということですね。
最後の工程、「加硫」。もうすぐ海!の川(下流)のことではありませんよ。これは、ゴムを硫黄などで化学反応を起こすことによって、弾性限界を高める工程です。弾性限界については、僕も分かっていないので、一旦無視してください。
このような工程を経て、ゴム製品は出来上がります。

さて、今回のセルロースナノファイバーがどこで活躍するかというと、2番目の工程「混練り」の時です。
これまでは、素練りしたゴムに、「カーボンブラック」という炭素の微粒子を混ぜていました。
この「カーボンブラック」、化学業界では「カー黒」と呼ばれているそうです。

何のために混ぜるかというと、強度を高めるためです。
はい、ここで手を挙げたのが、「セルロースナノファイバー」です。
「はい!それ、私にも出来そうです!」といって出来たのが、セルロースナノファイバー配合の天然ゴムです。
王子製紙が今年10月にリリースした他、日本製紙も12月にリリースしました。

日本製紙によると、従来のカーボンブラックを使用したものに比べて、エネルギーロスが約2割削減できるとのことです。
強度も従来のものと同等を保っているとのことです。

はい、という訳で今回は、セルロースナノファイバーを混ぜた天然ゴムをご紹介しました。
コスト面が気になりますが、従来の強度を保ちつつ、環境にいいということで、期待できる事例ですね。
今後も、セルロースナノファイバーから目を離せません!
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
最後までご視聴いただきありがとうございました。

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