週に6時間しか勉強していなかったツイ廃のVRChatterが一年本気で難関大学を目指した話


何故この記事を書こうと思ったのか?

わたしことらいぷり(以下、筆者)はタイトル通り、高校の二年次であった2022年まで本当に勉強をしてきませんでした。
そんな状態からTwitter、VRChat、APEX、エトセトラ……そういったものの誘惑を振り切り、ときには利用しながら、一年間勉強をどうにかこうにか継続し、フレンドの皆さんの支えもありいわゆる「難関大学」を受験しました。
このときの情報を自らの記憶整理や支えてくれた皆さんへの感謝、そしてちょっとだけ「自分はSNSに依存しているから長時間勉強したりできない、無理だ」と思っている人たち(それがどんなものであれ!)が自分でもできるかも?と思ってくれるかもしれないな、という期待もあります。
偏差値が30上がったわけでもなく、ギャルでもなく、超難関というほどの大学でもなく、周囲の人間や環境に恵まれ、また少しは才能や運のおかげもあったと思います。もっと頑張った人もたくさんいたでしょう。
それでも、ツイ廃のVRChatterがいかにして大学受験という人生の大事件に立ち向かえたのか、曲がりなりにも前進できたのか というのを読者の皆さんに読んでいただきたいのです。勉強パートは読みたくないよって方は高2の終わりごろ~12月くらいの内容をすっ飛ばしてください。
文章が冗長になってしまうとは思いますが、生暖かい目で見守ってくださるとうれしいです。

前提条件

難関大学とは

名前の通り入学試験が難しい大学です。読者の皆さんがどう思われているかわかりませんが、インターネットにある多くの情報では国公立・私立大学ともに偏差値60以上の大学・学部が「難関大学」とされていますので、今回はこれを以て難関大学とします。筆者が進学予定の大学は河合塾偏差値で60、ギリギリ難関大学ですね。この記事のタイトルに「難関大学」と付けたかっただけなので、あまり気にしないでください。

筆者の状況(高校二年生時点)

在籍する高校:首都圏にある私立の中高一貫校、高校入試は行っていないので偏差値は不明だが某東京の大学に毎年一桁人を進学させるような学校。進路指導は「行きたいところに行け」の一点張りだが、進路について相談すると生徒に合っていそうな大学を複数提示してくれたりするらしい。知らんけど

教科ごとの状況:数学が苦手、英語も苦手、国語は勉強しないが定期テストで平均を割ることはない。他の科目も別にできない。何も考えていないからいっちょ前に国公立志望を気取っていたので、数学に勉強時間の大部分を吸われている。
定期テスト順位は110/150あればいい方。
高二アドバンストというそれなりの進学校の生徒だけが受けるはずの模試で英国数偏差値45程度。

塾とか:あまりにも勉強せずゲームばかりしているので、個別指導の塾にいれられていた。しかし課題は直前に答えを写す、予習復習はなにそれ美味しいのという感じ と学ぶ姿勢は皆無。週に3回ほど2時間授業が入っていたはずなので、このときの時間が一週間の最低勉強時間だった。

精神状態:長続きすることがなく、今までろくに成功体験を積んでいないので自己肯定感ゼロに近い。下記のような状況で、学生としての本分を完全に無視している自分に嫌気がさしているが、それを打開できるような自信もなく、かといってこのままダラダラしていると現状維持すら難しくなるということをうすうす勘づいている。

では勉強せずに何をしていたのか?

まずはTwitter(現在のX)でした。学校でスマホを持ち歩くことは規制されていなかったので、授業中以外は基本的に現実の友人と話す、もしくはインターネットの片隅につれづれなるままに鳴き声をまき散らす というような感じでした。家に帰ったら家に帰ったでゲーム三昧です。
3人一組で銃を撃って戦うバトルロワイアル、「APEX Legends」 やVRヘッドセットをかぶって仮想空間でさまざまな人と交流する、いわゆるメタバースである「VRChat」を狂ったようにやっていました。Steamのプレイ時間を確認すると、前者が2022年の50%、後者が40%を占めていました。
とくにVRChatは、美少女の姿になって同じような状態のさまざまな境遇の人たちとお話できるのでとても貴重な経験でした。何より、人に迷惑をかけない限りは性別・年齢など現実の立場に縛られず”ありたい状態”でいることができること、それがとても居心地の良い空間でした。ありがたいことに私の周りには優しくて可愛いヒトビトが集まっていたため、筆者はすぐに沼に沈んでしまい……気づいたら平日の朝二時までやっている、なんてことも。授業はほとんど寝て過ごしていました。最悪ですね

筆者が当時使っていたアバター。あまとうさぎさん販売のカリンちゃんを髪色などであっさり改変したものである。

大学受験について真面目に考えたきっかけ

ありがたいことにVRChat各所に居場所を頂き、いろんな方とお話したりして遅くまで毎日過ごしていました。そんな中で、ご縁があってお砂糖(VRChat内での特定の関係を指す。この言葉の解釈は人それぞれだが、お相手も自分も便宜上「恋人」と呼称することがあったので筆者的にはそういう解釈です)となっていた相手にさまざまな、特にメンタル面で大きな支えになっていただきました。
自己に否定的なことを言うと叱ってくれて、頑張ったらたくさん褒めてくれる。そんな幸福な状況の中、高校三年生は近づいてくる。募る焦りとこの世界にもっと長くいたいという愛着、お砂糖相手から頂いたたくさんの肯定から生まれる決心。それは一つの決断でした。

VRChatを辞めて一年間勉強に専念し、この決断の力になってくれた人たちに大学で学ぶ知識を還元したい

そんな思いから、志望校選定が始まりました。まず一定以上のレベルの大学に進学した方がさまざまな面で良い、という安直な考えから、自分の苦手な数学を捨てて進学が可能な私立大学一本に絞り、いわゆるMARCH(首都圏に本部を置く、先ほどの基準で言うところの難関大学群)以上の大学で、さまざまな分野を学ぶことができる人文系学部を探し当て、併願校に関しても(ほぼ)一つの大学に志望を絞ることでガッツリ対策をすることにしました。
(大学名は一応伏せますが、今後の内容を見てもし分かってしまったら黙っておいてね)

立ちはだかる大きな壁

上記の通り決心はしたものの、どうやってTwitterとVRChatを生活から排除しようかという大きな問題が残っています。どうやら長い怠惰の日々は、筆者を簡単には立ち上がらせてくれないようです。
筆者の最もアクティブなTwitterアカウント(@Rqiprii_VR)はVRChat関連のアカウントをフォローし、VRChat関連のツイートをしていました。今でもそうですが……
すると大きな問題が二つあります。
・TwitterをしてVRCを辞めると絶対にVRCがやりたくなる。
・VRCをしながらTwitterがないと非常に不便
早い話が、この二つは密接にかかわっているため、切り離すことが難しいので、同時に絶つしか方法はありませんでした。しかも、筆者はその精神状態から孤独な状態で長時間いることができるかとても不安でした。

SNSを絶つために

短期的な負荷テストを行う

この状況を打開するため、高校二年生最後から一個前の定期テスト直前の2週間、TwitterとVRChatを一切禁止して勉強してみました。
かなり寂しい時間を過ごしながら勉強していたのですが、最後の数日でいろいろあってギブアップしてしまいました。
高校最後の定期テストのときは一か月間の禁止期間を設けてみると、2週間を超えたあたりから「あれ?いける?」といった感じになり、孤独感を強く感じながらも自制心をもって行動できたのでとても自信がわきました。
SNSを絶つ場合は、まず自分がどれくらいで音を上げるのか、それを耐えたらどれくらいでそれが習慣になるのか、ということを主に考えて実行前から何回か負荷テストをするとよいかもしれません。あくまで筆者個人はこうだったというだけなので悪しからず、ですが。

撤退できる環境づくり

逃げ場がなくなった状態でずっと戦える人はそんなにいないと思います。筆者の周りにいる優秀な人たちも基本的には何らかの楽しみを持っていて、それをやるときは全力で楽しんでいる。勉強をすることが「楽しい」と語る彼らですらそうなのですから、筆者のような怠惰な人間が背水の陣を敷いたりしたら一年ももつはずがありませんでした。
しかし一度始めてしまったらズルズル続けてしまいそう(実際そうなった時もありました)なので、基本的にはやらない形が望ましい。
結局VRChatは絶対やらないにしてもときどきはTwitterに現れたり、Discordで通話したりすること自体を何らかの形でブロックすることはありませんでした。不安と緊張で精神が押しつぶされそうなとき、嫌なことがあった時はいつでもふらっとTwitterに顔を出せるようにはなっていました。
しかし、そういう「異常事態」に緊急避難的に顔を出すとしても、それは「日常」ではない。よって朝起きたらTwitterを開いて…….みたいな(受験生としては)悪しき習慣を破壊しつつ、逃げ道を確保することができました。この方法の問題点は共通テストが終わった1月後半に露呈してゆきますが、それまでは破綻なく習慣づけられたのでまあ成功だと思います。

敵を知り、己を知れば

さて、最大の障害であったSNSやらを片付ける決心を付け、ほかにもさまざまな活動を店じまいしたりして、"終活"的なことが終わりました。そうこうしているうちに1/14、共通テスト一年前になっていました。毎年河合塾などが、高校1・2年生向けにその年に出題された共通テストの問題を模試形式で出題し、結果を出してくれる「共通テストチャレンジ」というようなものを開催しています。オンラインですが3教科(国語・英語・日本史)を解いてみました。2023年度の結果の閲覧はもうできませんし、結果の具体的な数字は覚えていませんが、こんな感じだったと思います。

国語 現代文 60/100
   古漢文 60/100
英語 リーディング 50/100
   リスニング    80/100
日本史 75/100

この年の共通テストの問題とたまたま相性が良かったのもあるのですが、一年前でいっさい勉強をしていない状態でこの成績は絶望的、というほどでもありませんでした。その他分かったこととしては
・国語は半分ほどの時間で解き終わってしまったのでまだ見直しの余地はある
・英語リーディングは長い、長文読めなくて適当に流し見てしまう
・日本史は知識より思考力

また、駿台予備校が実施している「共通テスト解説授業」も受けることにしました。共通テストの国語・英語を効率的に解く方法を講義していただき、今後の方針を決める契機になってくれました。

高2の終わりごろからの話

1/20付でTwitterからもログアウトしました。ここまで来たらもうやるしかないので勉強をぼちぼち開始するわけですが、全く身が入らない。いままでTwitterやVRChatで一日中ぐだぐだしていたわけで、当然と言えば当然なのですがかなりキツかったです。ただ以前の負荷テストがあったので、これくらい耐えれば習慣化するというようなことが分かっていたのでとりあえずSNSを絶ち切りました。
3月あたりまでは「お勉強鯖カスタム」というAPEXの大会の企画をしていたり校外学習のプログラムでフィールドワークしたりコンクールに出場したりしていたので勉強という勉強はそんなにできていませんでした。実際に勉強に本腰が入ったのはこれらのゴチャゴチャしたあれこれが終わってからなので、3月の終わりごろからだったと記憶しています。予備校は解説授業がとても分かりやすかったということで駿台に通うことにし、春期講習で超進学校の生徒にボコボコにされながら受験に使う3教科をどのように仕上げていくかという指針を作り始めました。

高3の4月~GWまで

さて、春休みが終わるととうとう高校3年生になってしまいました。
引き続き通期も駿台予備校に通うことになり、英国社3科目を週に1日ずつ、1回3時間取ることになりました。単純に勉強時間が伸びたこと、駿台の優秀なカリキュラムによって成績がみるみるうちに向上し(回し者)、とくにもともとそこまで苦手ではないという意識があった国語は幼少期の読書習慣がいまさら奏功したのか、4月開催の初めて受けた河合共テ模試では国語の偏差値が71.4、順位がいきなり5000/200000を突破しました。現役生だけが計上された成績もあるので浪人生が自分の上に何人いるのかというのもわかるのですが、1000人程度しかいませんでした。国語ができる受験生はおそらく他の科目にも活かせる読解力を持っているので、ほとんどが一年目で志望校に合格して消えていくのだと思います。
そして優秀な現役生のほとんどがこれから国語の解き方を学んで成績を上げてくる。実際にこの後国語の点数は上がっているのに成績がゆるやかに後退してくるのは、まあそういうことなんだろうなぁと思いました。リスニングもまあよかったのですがリーディングと日本史の偏差値が50代前半とあまり振るいませんでした。それでも偏差値は59.6と、真面目に勉強するようになって一か月の身としては好調な滑り出しです。滑るとかいうのは縁起が悪いですが。
5月の駿台模試も似たような感じでしたので割愛します。
さて、駿台の授業では単純に文法や読解といったテクニックだけでなく、どのように勉強していくかという方法論も教えてもらえました。これが結構有用です。たとえば英語のGW前の授業で聞いた内容を大まかに言うと、
・夏にとにかく勉強しなければならない、なぜなら最もまとまった時間を余裕をもって取れる機会はここしかないから
・やることとして、英語に限って言うと文法と語法。長文の技術はこれらの基礎がなければ無意味である
・夏に一日10時間、合計でおよそ400時間勉強するためにGWに一度それを試して練習しておくべし
・思っているほどできないもので、計画段階で用意した分の6割が終わればいいと思え。8割終わったら上出来。
記憶は不確かなのですがだいたいこんな感じでした。こういった指針を与えられれば、頭の使い方が下手な筆者もいろいろ効果的に頭を動かせます。
GWの間は結局最大一日6時間までしか勉強できませんでしたが、一日10時間やるつもりで用意していたタスクのほとんどが終わりました。どれにどれくらい時間がかかるかというところがよく分かっていない筆者なのでした。

アツい夏にするために

GWの練習がうまくいかないままいわゆる「受験の天王山」とか言われる夏が近づいてきました。
夏休みに入る前に学習計画を建てなければいけません。GWの反省から、今度は最終的にここまでをやり切る、だいたい一日これくらいやればOK というふわふわした計画しか建てないようにしました。高校で教師に聞いたり同級生が使っているものをパクったりして、参考書の情報収集を行い、よさげなものを見繕いました。
春のパートで書きそびれていましたが、古典文法に関しては既に「古文上達 基礎編 読解と演習45(Z回出版)」という大変分かりやすい参考書を持っていたため、これの発展版である「読解と演習56」を併用しながら進めていくことにしました。
現代文は、より共通テストの問題への対応力を高めようと予想問題集を何冊か用意し、息抜きとして解いていました。
日本史は「日本史基礎問題精講」と山川の教科書を用いて少しづつ知識を付けていこうと試みましたが、これは筆者が暗記が極端に下手なため覚えきれずに終わりました。
そして最も大事な英語は「Vintage 3rd edition(いいずな商店)」の文法・語法のパートすべてと「TARGET 1900(旺文社)」の単語1000語までを完璧にするべく、一度間違えたところにマーカーで印をつけつつ新規のものをVintageなら一日12ページ、TARGETは一日40単語を目標に覚えながら適当に開いた過去のページの印がついている項目を復習する、という方法をとることにしました。
夏の間にガタガタな基礎を改築し、9月からインプットの時間を増やして10月に過去問演習を開始する、というふんわりとしたプランを進めます。

人生で一番アツかった夏

この時期に聞いていた音楽を聴くと、いまだにすこし動悸がして気分が悪くなります。というのも、後になって考えてみると今までの、そしてその後の
自分では想像もつかないくらいの勉強量をこなしていたのです。
一週間に6時間程度しか勉強していなかった怠惰な筆者が、4か月ほどですこしづつ勉強習慣をつけ、気づいたら(夏期講習授業時間・休憩時間を含めれば)10時間勉強を30日間耐え、夏休みの残り期間ダウンしてしまったとはいえ、夏休みの寝る・食べる以外の時間の70%を勉強時間に充てることができた、というのはかなりの進歩だと思います。
当然もっと上を目指している人たちが何倍もの質・量をそつなくこなしているのも見て、「これは自分には無理だ」と思っていました。
予備校の夏期講習も自分に必要だと思う講義をたくさんとらせてもらいました。そのうち必修と言われていた日本史の講義で癖の強い講師にメンタルをボロボロにされたりもしましたが。
基本は午前8時に予備校の自習室に到着して缶コーヒーを片手に英文法か日本史を復習しはじめる。そして帰るのは午後8時です。お昼を食べに外出したり、休憩する時間以外は基本勉強をしていました。
もちろんこれだけではつぶれてしまうので、夏休み期間はTwitterのログインを解禁してその日の講習授業の愚痴や感情の吐露、仲の良いフレンドさんへのダル絡みを通じて精神を安定させて疲れを癒していました。
30日ほど経過したある日、夏期講習の全日程が終了して家族で食事をした次の日に事件は起こりました。

そんなアツさは求めてない!

その日は気分を変えて学校で勉強しようと思い、校門の前まで来たところで異変に気付きました。熱があるのです。筆者は「これは勉強をしすぎたから知恵熱が出たのだ」と判断しました。保健室に駆け込んで休めばよいと思ったのですが、あいにくその日は日曜日で学校すら開いていません。何しに来たんだ。
そんな感じでバスもほとんどなく、熱がある中脱水気味で駅まで歩き、どうにかこうにか家にたどり着きました。
アイスノンと熱さまシートに挟まれて10時間気絶し、起きた時には熱が下がっていました。やろうと思っていたタスクは気づいたら大体終わっていたので、残りの一週間ほどはゆっくりと復習をしながら過ごしました。

夏休み明けの模試

最後は失速してしまったもののかなり充実した夏休みが明けると、いきなり模試が2個入ってきます。駿台ベネッセ共通テスト模試と駿台全国模試です。夏前にもひとつ駿台共テ模試を受けていて、こちらはリスニングで30問マークをズラしたせいで偏差値が40を割ってしまい、大きなトラウマを与えられたうえ自分の実力を偏差値として測れないという大失態を演じていました。今回は絶対に負けられない……!と意気込んで臨みました。
共テ模試の結果としては、全体の偏差値がはじめて70を超えていました。
共通テスト対策系の勉強をメインに基礎をとにかく伸ばそうという方針ではじめた夏休みの勉強の集大成です。
記述(英作文、国語の記述系問題)に関しては一切ノータッチだったのでボロボロでした。この後もほとんど記述系の勉強をすることはありません。
模試のあとに同級生たちとご飯を食べに行ったり、そういうところから同じようなレベル帯の大学の文系学部を受けるメンバーが集まったLINEグループが発生して情報共有・励ましあい・相互の苦手科目サポートができる体制が整ったりしました。

過去問対策をする話

世の中には「MARCH3か月」「早慶半年」という言説が飛び交っています。これを声高に叫んでいる方々は、きっと高校3年間、あるいはそれ以降の学習でたゆまぬ努力を繰り返し、結果得たものがちっぽけであると感じてしまったことから自分の得たものをそのように貶して自分がラクショーだったぜ!おれはすごい!と言いたいのだと思います。そんなことしなくても、一年しか頑張れなかった筆者はすごいと思っています。
学習の基礎がある優秀な方ならこの言説を実践することができるのかもしれませんが、凡人には無理な話です。どれだけ完璧な勉強計画を立てても「量」と「継続」が必要です。勉強の「総量」を担保しながら本番まで「継続」させるには、やはり時間がたくさん必要です。時間が多ければ多いほど、同じ総量の勉強をする負担は減ってきますから。
さて、そうはいっても学校ごとの個別試験の対策は3か月で仕上げる必要がありました。基礎は最速でも夏終わりまでアウトプットに移れるほどまで到達しません。
基本的には夏で基礎をある程度完成させ、9月に少しインターバル的にゆっくりアウトプットを増やしていく。筆者の夏前に立てた勉強プランがかなり実現できています。
同級生の中には夏にサボりすぎたせいで基礎固めをしながら過去問演習をせざるを得なくなった子もいましたが、筆者はススっと過去問演習やその他アウトプットに興じることができました。
もっとも、夏に生まれたこの余裕にかまけて、のちのち成績が伸び悩むことになるのですが。
詳しいことは言いませんが、受験した大学(の一部)は共通テストによってチャンスが大きくなるという少し不思議な形式だったので、共通テスト対策のことも考えつつの過去問演習となりました。

冬もアツくいきたい

模試を受けたり過去問を解いたり、ここら辺はかなりアウトプットに比重が置かれていました。学校行事も一通り終わったので、あとは勉強だけをやる学校生活です。もちろん友人たちとのおしゃべりや食事、GodFieldという短時間でできる対戦ゲームなどの精神的休養も欠かせません。GodField最高!みんなでGodFieldをしよう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
さて、秋が終われば冬が来ますね。冬が完全に明けたら春ですが、これがなかなか明けてくれませんね。この記事のこの部分を書いているのは3月頭なのですが、いまだに寒いです。
冬といえばクリスマス、お正月、そんなものは我々受験生には関係ありません。「共通テストn日前」以外に必要な数字は存在しない。そんな気持ちでした。
共通テストを前に、夏にほぼほぼ放置しそのままずるずるここまで来てしまった「日本史」が筆者に襲い掛かります。この科目、共通テスト模試では知識不足を読解力・論理で誤魔化してしまいまったく困った点数ではなかったのですが、過去問演習で足を引っ張りすぎて英国のカバーが間に合わない。
私大の日本史は教科書の重箱の隅をつつくような問題からどこにも書いてないけど覚えなきゃいけないことまで(!)、とんでもない深度で襲い掛かってくるのです。もちろんそんな問題はほかの受験生も解けないので一部は無視してよいのですが、その他の基本事項が抜けていると本当に点数が取れないんですよね。英語と国語は今まで通りの演習を続け、日本史に関しては夏の失敗を活かして自分に合っていそうな講師の方の授業を受けるために他校舎まで遠征したりすることにしました。

すべてを捨ててアツくなろうとした冬

ここからはすべてを捨てて生き残らなければならない受験戦争のお話をしていきます。プライド、自由な時間、精神の安寧、自信、体力、そして最後のほうの学校の授業を捨てました。冬期講習でみっちり詰めた予定のはじめのほうが、学校が冬休み~自由登校期間に入る前最後の一週間とかぶっていたことが親にお金を振り込んでもらってから判明しました。学費を二重に払ってしまう期間ができたことを親に深く謝罪して了承を得、結局予備校の冬期講習のほうに主として顔を出すことにしました。
ターゲット層の志望校のレベルが明らかに自分のそれより低い授業を取ってしまっていたり共通テストプレ模試の結果が大爆死だったりと散々な目に遭いながら、どうにかいままでの勉強を活かして冬期・直前期講習を戦います。
駿台の共通テスト対策系の講座で使われる問題は、えてして本番より圧倒的に難しいものが多い。とくに国語は難易度の調整が難しいらしく、とんでもない難問をたくさん解かされたのでもっとも得意だった国語だけ大いに自信を失ってしまいました。
逆に英語は、どんどん実力を上げてリーディングで8割は当たり前、リスニングは満点を十分狙える!と思えるほどに強化されていました(本番で取れるとは言ってない)。
日本史は……まあ。とりあえずほかの科目でカバーできるくらいの場所まで来ていただこうとさまざまな策を講じました。ただひたすらに時系列順に起きたことを簡潔な説明で並べる、であるとか、家系図をたどる、だとか、そういったことをして短時間で少しでも多くの知識を吸収しようとしました。

年明け、追い込みどころか追い込まれる筆者

直前期は「追い込み期」とも言われます。個人的には飲むヨーグルトR-1のCMなどで1月2月によく聞いた言葉なのですが、私は逆に精神的にだいぶ追い込まれていました。先述の国語の自信喪失、数回の慣れない環境での講座、そもそも近づいてくる本番への恐れ、etc。さまざまな要因が筆者を極限状態にしました。勉強していないと情緒がおかしくなる、お風呂に入るのが面倒になる(でも毎日入った)、DIscordのVC中に奇声を上げベッドにダイブする、等といった最悪な行動をはじめました。
これが頂点に達したのは年末年始の数日間でした。
12/31、この日は講義が午後からだったので同級生数人とお昼ご飯を食べに行き、そのお店になぜかまあまあな額のお金を置き忘れて戻った時にはなくなっていたり、1/1に駿台御茶ノ水校で行われた英語の特別講座を受けに行き、帰りにイヤホンと筆記用具セット、そして日本史の教科書という命より大事な3つの道具を東京駅に置き忘れ、結局出てこなかったり、1/3に受けた日本史の共通テスト形式の問題演習では文章が全く読めなくなったりうつ病の初期症状のような状態になったりしました。
もう限界だったので、Twitterでフレンドに助けを求めました。ひとりのフレンドが画面共有で頭を撫でて励ましてくれて、完全とは言わないまでも多少の回復を遂げることができました。本当に感謝しています。それ以外の皆さんも心配してくださったり、声をかけてくださったり、応援を頂いたりして本当にうれしかったし励みになりました。

共通テストに向き合って

共通テスト直前まで勉強計画はみっちり詰まっていましたが、メンタルがこれ以上削られるのを防ぐために(文章が読めなくなる方がまずいので)残る講義の予習復習・軽い復習以外にハードな勉強は避け、残り少ない時間で少しでもメンタルヘルスと学力の維持に努めました。
少し学力面での不安が残る中、共通テスト本番は実際にすぐそこまで来ています。前日は寝れるか不安でしたがどうにか寝れたようです。
本番前に一度下見に行っていたので会場へはスムーズに到着しました。不動産屋さんやその他の営業の方から大量のカイロやティッシュを渡され、いまだに部屋の隅に置いてあります。

一科目目:地理歴史・公民(日本史)

一科目目はいきなり日本史です。地歴公民はすべての問題用紙がパッケージングされた束を渡されて試験開始前に開けるのですが、これがなかなかの曲者でまったく開かない。爪を立ててようやく引き裂くことができました。ここで自分の受ける科目は「日本史B」だったので、日本史Aを選んでないかな?とか、それくらいしか懸念事項がありませんでした。去年のものに比べて知識を求められる問題が多くなったようには感じました(つまりできなかった)がよくわかりません。周囲の日本史が得意な同級生が「難化した」と頭を抱えていたので難化したんだと思います。

二科目目:国語(現古漢)

昼食をとって体力を回復し、ここからは冬の自信喪失を試験会場まで引きずってきてしまった国語の時間です。次が国語だと意識した瞬間から、終わるまで生きた心地がしませんでした。
まず古文→漢文→現代文1→2 という順番で解くというのが筆者の基本方針です。古文はとりあえず読んで書いてあることを答えるだけなので時間をかけつつも処理し、漢文に移ります。ここでいきなり漢詩1つ、短文が3つほど出てきて気が遠くなりました。「人口に膾炙する」をど忘れしながらもカンで思い出してとりもあえず片付け、本題の現代文です。これも持てるすべての力を総動員して片づけました。5分ほど余ったので古漢を見返してみると、漢文の中に独特な言い回しに騙されて間違えている問題を発見してしまいました。気づいたときには残り30秒、鉛筆から行くか消しゴムから行くかという一瞬の躊躇によって筆者の貴重な8点は「回答やめ!」の指示の前に泡沫と帰しました。

三科目目:外国語(英語リーディング)

先ほどの国語での失敗、極度の緊張、そしてリーディングそのものの難化傾向……すべてが悪いように嚙み合ってまったく集中できない地獄のリーディングが幕を開けます。時系列がぐちゃぐちゃの連鎖回想問題、書いていないことを対比でとらえて書くしかない問題、頭にまったく文章が入ってこない自分、あーもうめちゃくちゃだよ。
筆者は思いました。「ああ、これで終わりだ」と。ここまでの手ごたえはかなりの大爆死を予想させました。しかし、まだ試験はおわっていないのでした。最後くらいは気持ちよく終わらせたい、という思いから気分をリフレッシュして最後のリスニングに臨みます。

四科目目:リスニング

共通テストリスニングは、支給のICプレイヤーに各自がSDカードを差し込んで配られたイヤホンを用いて音声を聞くという形で行われます。このイヤホンとかいうやつが音が出るだけ、みたいなやつで、全く耳に密着しなくて集中できないのです。そこでイヤホンをぐりっと回転させることで固いところを耳たぶに固定し、無理やり密着状態を作ることでよく聞こえ、かつ付け心地がよい状態にしました。
問題も比較的簡単だったのでかなり完璧に近い結果に仕上げられたように感じました。結果がどうあれリスニングで気持ちよくなれたので結果オーライです。

共通テスト終わりからの失策

共通テストが終わった瞬間から、なにか安心してしまったのでしょうか。ここから怒涛のツイ廃生活が始まります。メンタルの不調あたりからずっとTwitterはログインしっぱなしだったのでなんとなく惰性で常駐してしうまいました。
個別試験の勉強をしながらもTwitterに投稿し、周囲の人に面倒なDMを送ってしまったりつらい苦しいといった旨のツイートをし続けたりと、かなり長いこといろいろな方に迷惑をかけてしまったので本当に申し訳なく思っています。
一週間ほどして危機感を覚え、ここからドロップアウトして勉強に再び専念しようという決心をつけました。ここから入試が完全に終わるまではほとんど浮上しませんでしたが、大幅なタイムロスを受けてしまいました。

共通テストリサーチ、そして大きな不安

共通テストは点数の開示が5月あたりなので、自分で選択肢を問題用紙にメモしておいて点数を予想するしかありません。ただし文明の利器を利用してその時間と精神的負荷を軽減することができます。
それが「共通テストリサーチ」であります。
筆者の高校では、河合塾と駿台ベネッセの共通テストリサーチをその場で見て、東進の結果は後ほど配布されるという形式でした。
日本史わからん、国語自信ない、リーディング無理、と不安要素しかなかったので本当に怖くて、この日登校するのがとんでもなく怖かったです。
駿台ベネッセの鯖落ちによってこの日は河合塾にしか入力できませんでしたが、結果はこんな感じでした。

日本史 65/100(偏差値57)
国語 170/200(偏差値64)
英語R 72/100(偏差値59)
英語L 93/100(偏差値64)
SUM 400/500(偏差値62)

完全に希望をなくしていましたが、ほんっっっっとうにギリギリちょうど8割に届くことができました。志望大学の一部学部の共通テスト利用や併用型で十分望みがある程度の点数です。
しかしここで大きな不安が現れます。マークミス、消しミス、受験番号書き忘れ……何かうっかりミスをしているのでは?という得体のしれない不安感と、滑り止めの共通テスト利用の結果が出るまで不安な日々が続きました。

個別試験とその顛末

花粉が飛び始め、春の陽気より嫌な部分が少しづつ露になってくる2月でございます。そして、前半は私立大学受験の本番でもあります。
ここまでやってきたことの集大成として人生のかかった大一番。その前に滑り止めの大学を受けなければなりません。そのときは良かったのですが、入試が終わってからが大変でした。
そう、花粉です。鼻が詰まって眠れない、口呼吸になって喉が細菌感染する、と大変なことになってしまいました。そのせいで、とは言いませんがその数日後に試験が控えていた第一志望は不合格になってしまいました。
とある個別試験の会場に向かう途中、学生アパートのお知らせ的な広告を受け取った瞬間に受験票がどこかに飛んで行ってしまい、近くのセブンでネットプリントしなければならなかったりしましたが概ね元気に受験することができました。

結果としてどうだったのか

倍率が前年度から爆増した第一志望学部、チャレンジ校は不合格でしたが、第一志望大学の似た感じの学部に合格できました。少しふがいない結果となってしまいましたが一年間頑張った成果を出すことができたと思います。

さいごに

一年間の記録は大まかにこんな感じです。ずっと怠惰な生活を送っていた筆者が一年間VRChatを封印、Twitterもたまにしか動かさずに大学受験を生き延びることができたこと、学部はともかく世間的には「難関大学」といえる大学に入学することができるのは文字通り奇跡だと思いますし、周囲にいてくださった家族、フレンド、講師・教師の皆さんのおかげです。
そして、この拙い文章を最後まで読んでくださった皆様へ。
皆さんの中に「このオレンジ色の生き物を見ていなかった間何をしていたのか?」ということに興味を持っていた方も少しはいるでしょう。わかっていただけたでしょうか。
「自分はSNSに依存しているから長時間勉強したりできない、無理だ」と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。でもあなたは大丈夫です。こんな長い文章をとりあえず読めたということは、あなたには継続する力があります。そして、こんな場末の記事にたどり着いたということは、きっとあなたには背中を押して励ましてくれるお友達がたくさんいるはずです。その方々に思いを打ち明け、応援していただくのはいかがでしょうか。筆者のアカウントにメッセージを頂ければ、全力で応援します。

改めてお読みいただきありがとうございました。
2024年3月3日 Rqiprii 

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