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ファイナル・ファンタジーのようなRPGをAIが作れるわけない、とFFの世界にどっぷり浸かるGW

とうとうやってしまった。
1987年12月18日に産声をあげた「ファイナル・ファンタジー」。
そのシリーズ3作目をダウンロード。
今やスマホのアプリで伝説のRPGが楽しめるという、衝撃。
いままでは、「やっぱファミコンじゃないとね。雰囲気がね。」などとイキっていたが、なるほど、2Dリメイク版はスマホでも当時の興奮と感動が普通に蘇ってくる秀作である。

「ファイナル・ファンタジー」3作目は、その後続いていくシリーズの基礎を作り上げたと言われる。
したがって、まずは手始めに「3」から。
次にシリーズ史上最難関と言われる「2」を。
その後は「4」「5」、そして2D最後の作品となる「6」。
最後に、全シリーズの中で「名作中の名作」と評価が最も高い「7」に臨む予定。

なぜ突然懐かしの名作ゲームに手を出したのか?
自分でもよくわからないが、ただ、ふと「ファイナル・ファンタジー」の世界観をAIはゼロから作れただろうか?と思ったことがきっかけと言えばきっかけである。

こんな幻想的で感情揺さぶる世界、AIにはとてもじゃないけど無理だ。というのが、私の個人的な願望であり、結論である。
AIは、まあうまく曲も作るし、絵も描ける。
ただ、我々人間は「感情」というものに突き動かされ、時に理論崩壊した名作を生み出し、後世に語り継がれる伝説を作り出してきた。
心を強くえぐられるような物語は、過去の産物の最適化によって生まれてはならないんじゃないか。
私たち人間がAIと勝負できるところは、この「直観」「感情」「非規則的」な「人間臭い」ところから生まれる不細工なものだと思うのだ。

そんなことを考えていたら、「ゲームしよ。GWだし。」と、ノリでダウンロードしてしまったというわけ。

今回は、今もシリーズが続く「ファイナル・ファンタジー」のモノづくりについて、思いを馳せてみたい。

スマホで生成AIに「ファイナル・ファンタジー」のおすすめを聞く

生成AIの進化は、本当に早い。
私のお気に入りだった生成AI「BingAI」は、「Copilot」と名前を変え、スマホ対応のアプリまでできていた。

早速アプリをダウンロード。
「ファイナル・ファンタジー」のおすすめシリーズを聞いてみることに。

「Copilot」は「10」が一番良いと言っている。
続いて「7」「6」と続く。

私が参考にしたレビュー記事はこちら↓

この記事によると、「10」の人気の理由は、「グラフィック演出の向上」と「完成度の高いシナリオ」だという。
また、「ザナルカンドにて」というオリジナルサウンドトラックが、涙を誘うと人気なのだ。

「ファイナル・ファンタジー」を語る上で外せないのが、心に余韻を残すサウンドトラックの数々である。

この「ゲーム音楽は名曲になりえる」と世に証明してみせたのが、植松伸夫氏である。
植松氏は「ファイナル・ファンタジー」をはじめ、平成の名作ゲーム「クロノトリガー」などの音楽も担当した名手。
彼の作曲舞台裏に迫るインタビュー記事を見つけたので、名作がいかにして生まれたが詳しく見ていきたい。

たった3音で表現する荘厳な世界

現在プレー中の「3」は「オープニング」のBGMが印象深い。

ただ、全シリーズを象徴するテーマといえば、何と言っても「プレリュード」。
幻想的な雰囲気を演出するアルペジオが聞こえてきたら、もう「ファイナル・ファンタジー」の世界のはじまりである。

今回、「ファイナル・ファンタジー」の音楽担当・植松氏について、私が読んだ記事はこちら↓
https://natalie.mu/music/pp/modulation

その中で、まず着目したいのがこのくだり。

当時の音が必要なんですよ。ファミコン時代の曲だったら、PSG音源が鳴ってないといけなかった。今聴き返すと、ファミコン時代の音は3音しか使えなかったし、容量も限られていたから、やっぱり稚拙に聞こえてしまうところはある。でも今の自分なら、この3音のPSG音源を踏まえたうえで面白い音楽にできると思ったんだよね。

「植松伸夫が「FF」音楽を再構築した理由」(音楽ナタリー)

そう、かつてゲーム音楽は、同時に鳴らせる「たった3音」での表現だった。
しかもパイプオルガンのように音の伸びが直線的。
そこで作曲家たちは「分散和音」や「同音の連打」「オクターブの分散」などといった細かい工夫を積み重ね、音楽をダイナミックに見せていたのだ。
これが「ゲーム音楽」の凄さ。

時代を追うごとに、通常のCDなどと同等の音楽を搭載できるようになり、この極めて限定的な表現手法は必要とならなくなっていった。

私がここで言いたいのは、「第四次産業革命」といわれる「AI社会」において、この「限られた条件下での驚異的な創造性」こそ、これから人間が必要とする能力になっていくのではないか、ということである。

植松氏は、最も好きな「ファイナル・ファンタジー」シリーズの質問に対して、こう答えている。

全タイトルで全力投球をしていたので、全部に思い入れがありますが、強いて言うなら「FF6」かなあ。一番印象に残っているのが「6」の制作が終わったときの打ち上げで、坂口(博信。「FF」シリーズの生みの親であるゲームクリエイター)さんが「銀河一、素晴らしいソフトができました」と言ったんですよ。これまでそこまで大きなことを言ってた記憶がなかったから、相当やりきったんだろうな、と思って僕もうれしかった。あの言葉が忘れられないから、どれか1つと言われたら「6」ですね。

「植松伸夫が「FF」音楽を再構築した理由」(音楽ナタリー)

「FF」って、ある意味洗練されていないタイトルだったんですよね(笑)。例えばエニックスさんの「ドラゴンクエスト」はプロ集団の仕事というイメージがあったけど、スクウェアの「FF」は若い人間が集まって力技で作っていく感じ。「何年もこの世界でやってます」みたいなプロフェッショナルは、イメージイラストを描かれていた天野(喜孝)さんくらい。初期の頃はシナリオを書いてる人間も、音楽を作ってる人間もみんな20代でしたから。

「植松伸夫が「FF」音楽を再構築した理由」(音楽ナタリー)

──その“坂口イズム”というのを具体的に言うと?

まず自分が無茶をするんですよ。で、誰1人としてサボることを許さない(笑)。やらせるからには自分にも負荷をかけて、それを見て下の人たちがついてくる、みたいな泥臭いやり方が坂口さんのイズムでした。僕はもうスクエニを離れてしばらく経つから、坂口イズムがどこまで継承されているかわからないけど、ああいう精神が当時の現場には必要だったんじゃないかな。

「植松伸夫が「FF」音楽を再構築した理由」(音楽ナタリー)

「本当にこれは面白いのか?」
何度も何度も自問自答しながら、やっぱり心が動かないとなったらイチからやり直し。
チーム全員が「とにかく面白いもの」「とにかく感動するもの」「とにかく心揺さぶられるもの」をと、這いつくばって手を動かし続けるモノづくり。
こうして生まれた作品には、なぜか確固たるメッセージ性が色濃く残っているものなのだ。

私がeスポーツの競技シーンが大好きで、崇拝し、執着している理由は、このような「人間にしか生み出せないドラマ」があるからである。
決まり切った筋書きに、人間は感動なんてしない。
勝つか負けるか。
ギリギリの状況下から強引に勝利をもぎ取る、選手たちの美しさ。
こうした「感動」を共有できるのが、eスポーツの競技シーンだと思う。
お金では買えない、何にも代えがたい、「人生最高の贅沢な瞬間」。
これを私はこれからの人生で堪能したいと思うのである。

「原点回帰」にこそ人間の真髄が

──植松さんはこれまでいろんなインタビューの中で「ゲーム音楽はもっと面白くなったほうがいい」とおっしゃってきました。今回のアルバムは植松さんなりの面白さの提示だとも感じましたが。

意外と本人は無責任に作ってしまいました(笑)。面白さの提示とか、若い世代に背中を見せるとかじゃなくて、自分が楽しくなっちゃったから自由に作ったのが今回のアルバムかな。でもこれも音楽の楽しみ方の1つですから、そういう切り口でのサンプルにはなったんじゃないかな。

「植松伸夫が「FF」音楽を再構築した理由」(音楽ナタリー)

「How To」などに頼って、表面上をさらっと撫でるようなモノづくりしかしてこなかった人間と、心の底から「楽しむ」モノづくりをしてきた人間とで、今後明確な「差別化」が進むと思う。


「ファイナル・ファンタジー3」が発売されたのは、1990年の4月27日。
今年で33周年を迎えた。

今でもそのストーリーには引き込まれる魅力があるし、何よりもメッセージ性が濃厚なのである。

これは、オープニングで流れるコメント。

4にんは ひかりのなかで
そのいしを そのこころを かんじとり
たびだつ けついをした

さあ やみをふりはらい
ふたたび
このせかいに ひかりをとりもどすのだ

クリスタルのひかりを きぼうにかえて・・・

あの印象的なテーマ曲に合わせて、まず制作者たちの名前が流れる。
その中にはもちろん、植松氏、坂口氏の名前もある。
そのあとに流れる、このメッセージ。
当時小学3、4年生だった私は、一気に物語に魅せられていった。

「これから誰も知らない冒険が始まる」

今思えば、ゲーム制作者たちが本気でこの世で生きるための哲学を、子どもたちにぶつけていたのだと感じる。

クリスタルのひかりを きぼうにかえて・・・

新年度がスタートし、早1か月が過ぎた。
「負け」「失敗」「挫折」。
すでにいろいろな「ドラマ」が繰り広げられている、この世の中。
「人間の付加価値とは何か?」「日本人の付加価値とは何か?」

そんな小難しいことをあれこれ考えつつも、今年のGWは、もう一度幼少期の青春を取り戻しに、「童心へ帰る連休」にしようかと思う。


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