わきの下から考えるZOZOオーダースーツ

ゾゾスーツで採寸し、注文したオーダーメイドスーツが届きました。

このスーツをどう視るか?
私は、ひとりの技術者として向き合います。

この投稿では、目に見えるデザインには迫りません。
言葉では表しにくい抽象的な感覚を言語化し、この投稿をもって読む人に「着心地」を体感してもらうのが目的です。

私が技術者としてゾゾのオーダーメイドスーツに最も期待したのは「わきの下がピタリとはまっているか?」という点です。

わきの下なんて滅多に見えませんし、多くの人にとってそれは気にも留めないことです。
しかし、私は知っています。

わきの下がはまったジャケットは、腕を自由自在に動かすことができ着用によるストレスが少ないことを。

わきの下がはまったジャケットをつくるには、正確な採寸と緻密なパターン設計が必要なことを。

この機会に、いつもとは違った視点から洋服を見てみませんか?

もし、ゾゾスーツの採寸でわきの下がはまったジャケットがつくれるのであれば、それは私にとって非常に興味深いことです。

しかし届いたジャケットのわきの下は、多くの既製服と同様に、はまってはいませんでした。(他友人3名のスーツも同様の結果でした)

そもそも「わきの下がはまっていない」とはどのような状態か?
わかりやすいように「茨城のヤンキーの腰パン」を例に解説をします。

私は平成元年生まれ。茨城県の片田舎で育ちました。
「短ラン・ボンタン」という伝統的様式を貫く友人もいましたが、大半は「セミ短・腰パン」に落ち着いていました。

この「腰パン」という状態がまさに、ジャケットの「わきの下」で起きているのです。


もし、貴方が現在腰パンできる環境にいるならば是非、ズボンをずり下げて歩いてみてください。


「腰パンしていない状態」と「腰パンした状態」では、どちらが楽に歩けるでしょう?

如何でしょうか。

腰パンした状態では歩く・足を開くといった動作に、大きなストレスがかかったはずです。
(ジーンズやスラックスなど、伸縮性のないズボンで試すとより効果が実感できます)

歩きづらい理由は腰パンをすることにより「ズボンが股にはまっていない」「人間の動きにズボンがついていけない」からです。

この腰パンをわきの下に当てはめると下記のようになります。

わきの下がはまっていない = 動きづらい
腰パン = 動きづらい
わきの下がはまっていない = わきの下が腰パンと同じ状態

わきの下がはまっていないジャケットでは、荷物を持ち上げる、吊皮をつかむ、キーボードを打つといった「人間の動きに洋服がついていけない」つまり「人間の可動域より布の距離が短い」状態なのです。

その結果、動くと余計な布が引っ張られ、着ているうちに疲れたり首や肩が凝ったりする原因となります。
これを「わきの下腰パン現象」と言います。

では、私が着目するわきの下がピタリとはまった着心地とはどんな状態か?
わかりやすいように「茨城のヤンキーに胸ぐらを掴まれる」ことを例に解説します。

私の故郷、茨城県では目と目が合えば試合開始。胸ぐらを掴み合いスキンシップが始まります。

この「胸ぐらを掴まれる」ということがまさに「わきの下がはまる」状態なのです。


では、これから貴方に「ひとり胸ぐら掴み」をしていただき、わきの下がはまった状態を体感してもらいましょう。

まずは普通に、利き腕を上げてみてください。
そして、突っ張るストレスを感じたところで腕を止めます。

ゾゾのオーダーメイドスーツでは、この位置まで楽に腕を上げられました。ここより更に上げようと思うと、わきの下や背中に突っ張る感じがします。

では「ひとり胸ぐらを掴み」をしてみましょう。

まずは、ひとりで胸ぐらを掴み、顎のほうにジャケットを引きます。

顎まで引けたら、再度、利き腕を上げてみてください。

いかがでしょうか?
胸ぐらを掴んで腕を上げた方が、可動域が大きくなったはずです。
(伸縮性のないジャケットで試すと、より効果が実感できます)

わきの下がはまっているジャケットは「人間の動きに洋服が追従できる」状態なのです。

その結果、腕を自由自在に動かすことができ着用によるストレスが少なくなります。
これを「わきの下胸ぐら掴み現象」と言います。

私はゾゾのオーダーメイドスーツの「わきの下」に着目しました。
その理由は、ここまで貴方が体感した通りです。


「わきの下がはまっているジャケット」と「わきの下がはまっていないジャケット」では、着心地に劇的な違いが生じるのです。

今回の投稿は以上です。
「着心地」という抽象的な感覚を、私のものさしで計り、断片的に言語化してみました。もちろん、わきの下のみで着心地が決まるわけではありません。

「わきの下腰パン現象」や「わきの下胸ぐら掴み現象」という言葉は、私が説明の為につくった造語です。ご注意ください。

次回の更新は「既製服の歴史=わきの下がはまっていない」というテーマで、わきの下がはまっていない最大のメリットを既製服の歴史から読み解きます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この投稿が興味深いと感じた方は是非「半・分解展」に足をお運びください。

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