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視点の持ち方

「西洋人とは骨格・体型が違うから、参考にならない」


このような意見を少なからずいただきました。

そのもう一歩先を提供することが叶わなかったのは、東京展での大きな反省です。


半・分解展に展示された衣服は、どれも個性的です。

現代を生きる私たち、それも服づくりの現場に携わる方には、ひときわ奇異に映ったと思います。


見た目よりも、袖を通した時に初めて知りえる「着心地」や「シルエット」

それらは感じたことのない、別次元の感覚だったはずです。

来場者の感想 その1 その2

静のスーツ と 動のスーツ

例えば、あの独特なシルエット。

私はそれを「抑揚のある服」と呼びます。


身頃は、正面からみるとAライン。しかし、後ろからみるとウエストはくびれています。フロント釦の開閉で表情は移り変わります。

袖は、正面からみるとペッタンコ。横からみると太く、後ろには三角の面があります。

現代の衣服は、正面からみても 横からみても 後からみても表情が変わることはありません。

常に一定のシルエットで形成されます。

この違いを生む最大の要因を、私は「補正の視点」を持って説明させていただきました。(と言っても極一部の方にのみ・・・)

反身設計 の タテ地の目が逃げる衣服 にしか表現できないシルエットがあります。

前身を寝かしてつくるAラインは、本当に美しいものです。

補正の視点で衣服を捉え、設計することは、現代の服づくりにも大いに活かすことができます。

半・分解展にあった衣服を「骨格が違うから」という視点で捨ててしまうのは勿体ないと思います。

私は、これらの衣服を骨格・体型による設計だとは捉えていません。

時代ごとに求められた「美意識」を構成する要素のひとつだと捉えています。

2019年に予定している 関西展 や 九州展 に向けて今一度、半・分解展が 伝えるべきもの/そうでないもの をより明確にします。

また、今年9月頃を目途に開講する私塾では、衣服の捉え方から始まり、その応用方法までを実践形式でレクチャーします。実際に一緒に服をつくりましょう。

半・分解展を凝縮した濃密な時間を提供します。

私塾会場は原宿になりそうです。


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