人生を「シンプル」に。頭の中で鳴り止まない音が、静まるようなそんな一冊であった。

　今私たちには多くの課題が山積し、また多くの選択肢があるのではないか。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと毎日身を削って生活をしている。果たしてそれは人生を豊かにするものなのだろうか。本書に登場する著名人は、いわゆる「エッセンシャル思考」を持ち合わせ、多くのことより少ないこと、かつその少ないことの質をぐんとあげている。我々は多くのことに集中力を分散し、本来重要なことに気づかずに日々を過ごしている。「エッセンシャル思考」を実践するなら、今あなたが本当にやらなきゃいけないこと・やりたいことを一つだけ見つけて、ただひたすらにそれを追い求める。簡単なようで簡単ではない。しかし、集中力を一転集中させることは、人生をシンプルにできる。現代の世の中において非常に大切な考え方であると思う。

　シンプルを追い求めようとも、今あるものを捨てるのには覚悟を要する。まるでクローゼットの衣服を整理するよう。だが捨てることに躊躇はいらない。その服を今着ないなら、要らない洋服。心の底から必要だと思わないものは全て捨て去ろう。そうすることでシンプルに磨きがかかる。

　シンプルな生き方は人生を豊かにする。必要ないものに決別を。追い求めることに命を燃やす。人生は一度きり、本当に自分がやりたいことを実行するためにエッセンシャル思考でいることは己を強くする。