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目を奪われる文章について

末遠いパノラマのなかで、花火は星水母(ほしくらげ)ほどのさやけさに光っては消えた。

城のある町にて/梶井基次郎



渓の風景は朝遅くまでは日影のなかに澄んでいる。やっと十時ごろ渓向こうの山にせきとめられていた日光が閃々(せんせん)と私の窓を射はじめる。

冬の蠅/梶井基次郎



なぜだかそのころ私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている。風景にしても壊れかかった街だとか、その街にしても表通りを歩くより裏通りをあるくのが好きだったのだ。

瀬山の話/梶井基次郎



あのびいどろの味ほど幽かな涼しい味があるものか。

檸檬/梶井基次郎

梶井基次郎の書く文章が好きです。

小説すべてが詩でできているようで、美しい響きのものばかり。

文章に見とれてしまう。

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