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書評 Fallout: Disasters, Lies, and the Legacy of the Nuclear Age Fred Pearce

拙い英語力でKindleに落として読んでいるうちに、「世界の核被災地で起きたこと」という日本語訳も出版されたようだ。この本は環境ジャーナリストの著者が、核をテーマに世界各地を訪問した1冊である。

広島・長崎、ビキニ環礁、チェルノブイリ、スリーマイル、福島、といった原爆や原子力事故にとっては有名な場所から、冷戦時代には核実験で知られたセミパラチンスクやアメリカのネバダなど、世界各地を訪れたなかで各地の現状が伝えられている。

賛成・反対論には抜きにして、ファクトに忠実であるのが本書の特徴で、核開発から原子力利用まで、人類がどのように関わってきたのかを余すところなく伝えているのが特徴である。アマゾンのレビューでも書いている人がいたのだが、惜しむらくは核保有国の中国についての記述がないことだ。原子力発電は、福島事故以降、逆風が吹いているが、大気汚染の環境問題を抱える中国では今後、拡大に力を入れている。今後も、エネルギー原子力がカギを握る世界は変わらない。また、安保面から核の問題も変わらないだろう。これからの核・原子力を考えるうえでも重要な1冊と言える。

#書評 #エネルギー #安保 #核 #原子力