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スーパーでの出来事

妻に頼まれた夕飯の食材を買いに、近所の大型スーパーへ。
ここは、平日の日中でも、いつも混雑している。
僕は、妻に託されたメモを片手に、カートを押しながら食品通路を彷徨っていると、
2歳くらいの女の子が裸足であるいている。
迷子かなとも思ったが、泣いているわけでもないし、お菓子売り場の付近だったため、
そのままにしておいた。
そして、僕は、メモにされた食材をすべてカゴに納めたので、レジに向かう。
すると、レジ付近で
「みゆちゃーん、どこー?」
と、呼び掛ける若いお母さんらしき姿が。
僕は「ハッ!さっきのあの女の子・・・」
と思い、そのお母さんに声をかけようと考えたが、
僕とそのお母さんの間には10メートルほどの距離があり、しかも、
カイロやらマスクやらが安売りされているワゴンが爺さん婆さんたちを群がらせ、僕は安易にその若いお母さんのもとにはたどり着けそうにない。
そこで僕は、先ほど女の子がいた辺りまで
戻ることにした。
女の子をお母さんのもとにつれていく方が早いと思ったからだ。
僕は自分の買い物カートを通路の端に寄せ、お菓子売り場の辺りへ。
女の子は居た。まだ、裸足でうろうろしている。
僕は、
「お母さんがあっちで呼んでいるよ、おいで。おじちゃんとお母さんのところへ行こう」
と、誘拐犯の模範のような口上で女の子に声をかけた。
すると、意外にも女の子はすんなりと僕の方に近寄ってきた。
抱っこしようかなとも思ったが、さすがにそれはこのご時世、色々弊害もあるので、僕は女の子の手を引いて、堂々とレジ付近にいるであろうこの女の子のお母さんのもとへ急いだ。
堂々としていないと、なんとなく後ろめたい感じがするからだ。
お母さんは、先ほどとは少し離れた場所ではあるが、依然として我が子を捜している。
僕は、
「あ、すみません、娘さん、いましたよ」
と、声をかけた。
お母さんらしき女性は
「え?!」
といって、僕の横に立っている女の子を見るや否や、
「うちの娘じゃありませんけど・・・」
「へ!!?」
絶句した。
じゃあ、この子は?!
しまった。関係ない子供を連れてきてしまった。
呆然と立ち尽くす僕を尻目に、
そのお母さんの娘らしき女の子が
「ママー!」
と走りよってきた。
「みゆちゃん!どこ行ってたの!?」
見るとみゆちゃんは、小学5年生くらいである。
僕のつれてきたみゆちゃんではない子は2歳くらい。
見当違いも甚だしい。
僕は、その子の手を取り、再びお菓子売場へ。
ひょっとしたら、
「そこにいなさいよ!」
といわれて、お菓子売り場付近に居たのかもしれない。
だとしたら、この子の親御さんは今頃心配しているはずだ。
そう思い、お菓子売り場辺りに戻ったのだが、
小さい子供を探している大人は居ない。
5分ほどその場に居たが、それらしき人は出てこなかった。
「お嬢ちゃんは、誰とお買い物に来たの?」
と尋ねてみると
「アウアウアー」
と答えた。解読不能である。
致し方なく、近くで商品陳列をしているおばさん店員に、どうやら迷子ではないかと、その女の子を託した。
おばさん店員は面倒くさそうに、
「は?ああ、迷子、わかりました・・・」
とだけいい、インカムでぼそぼそ喋っている。
その間、女の子の手を繋ぐ訳でもなく、
女の子の方を見るわけでもない。
「あのさあ、俺、もう行くんだけど、あんたがさあ、ちゃんと見てないとまたどっかいっちゃうぞ、この女の子・・・」
とおばさん店員にいうと、
「え!?なんですぅ?」
というので、
「だからさあ・・・」
とごちゃごちゃやり取りしていると
浅黒い肌をした外国人の女性が近寄ってきて
「○△□#*◆*=?・・・」
と、外国語で女の子に話しかける。
「ドコイッテタノ?」
と、多分言ったと思う。想像だが。
「あんたの子供か?」
と、少々荒い口調で問いかける。なぜなら、気の効かないおばさん店員相手にイライラしていたからだ。
外国人の女性は、
「スミマセン、アリガト」 
と言った。
その女の子、確かに目がクリクリしていて
日本人離れした顔をしている。
さきほどの 
「アウアウアー」
も、納得だ。
そんなこんなで、とても疲れる買い物になった。
迷子の扱いが良くないとスーパーに投書したい気持ちを胸に家路についた。
卵を買い忘れているなんて知る由もなかった。



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