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私は、一人で生きていけてしまう人間だ。誰かに相談しなくても、自分で行動できてしまう人間だ。でも、それでは満たされない。協力関係に在れない。人に相談したら大体失敗する。自分の勘以外を頼るとうまくいかない。自分が楽しそうにしていると、非難される。そんなような暮らしをしてきた。今日あった楽しかったことを話すと、私はこんなに辛いのに、と否定されてきた。自分に関係のないことで邪魔されてきた。人に関心を持たれたのは、私が心の調子を崩してからだった。私が可哀想であれば母は関心を持ってくれた。自分より可哀想なものしか愛せないとずっと口にされていた。人前で楽しそうにした後はいつも謝ったり、気分を暗くして帰宅するようにしてしまう。もう私は一人で生きていけるのに。

例えばそこに全ての言葉の海があったとして、その中の暖かい色をした澱みに腕を突っ込む。すると自分の深い藍色が鮮やかになって、そのオレンジから手を離すような。温いマーブルの跡が残る手を見て、離した温もりを暖かく思うような。不幸な人間を目にして、自分の幸福を覚える母親と似たような構造があったのかもしれない。まるで中庸を取るような感覚がそこにはあるけれど、相手を否定しているような心にもなって、まあとにかく考えすぎなんだよな、と思い、とりあえず眠りにつくことだけを考えることにした。

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