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透明な衣装ケースの蓋をこじ開けた。ビビッドに腐ったスパンコールを取り外す。どれくらい夢を見ていたのだろうか。書きたい曲は無くなった。歌いたい歌もとうに鮮やかではない。でも心は?心はどこにある?心は左心房に宿らなくなった。心は生活に。こころは眼差しに。心は唇の端に、君の後ろ髪に。心は?心は確かめ方がわからないんだ。人に触れて、人の心に触れて、その心から漏れ出る自我をわたしと思うことしかできない。その自我が時に美しいものであって欲しかったと願いながら、たとえそれが醜く見えたとして、包み込む勇気がなくてはならない。君の人生は一度しかないからね。天才にならなくて良いんだ、そこに生きている実感さえあれば。

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