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ミスミの営業活動

こんにちは、RtoRの井川です。

 

今日は、私が2社目に経験した株式会社ミスミの営業活動について書いてみたいと思います。

 

当時1社目のJAC Recruitmentでは若手営業職もかなり紹介していたので、営業職の仕事内容については大体把握していたつもりでしたが、ミスミの営業内容はその概念を超えるものでした。

 

 

「そもそもミスミって何をやっている会社なのか?」

 

そもそもミスミと言う会社は、FA部品や金型部品など製造業の現場では欠かせない部品をカタログ販売している会社です。

 

イメージしやすいのは『アスクル』とか『たのめーる』のようなオフィス文具を始めとしたカタログって必ずオフィスに1冊や2冊はありますよね?それの工場や技術部門版のようなものです。

 

しかも、FA部品、金型部品、エレクトロ関連部品など様々なジャンルに分かれおり、それぞれが電話帳の2倍程度の厚みがあります。

 

しかも、15年程前までは人事部門も営業部門も最低限の組織しか持たずに、商品開発などカタログ販売を徹底して磨いていた会社でした。

 

 

「ミスミの営業は半年単位のパラシュート部隊」

 

今はどのような営業をされているかわかりませんが、当時の営業はある特定の製品群、例えば、私が所属していたFA部品事業部の場合、FA部品のカタログの200ページから230ページに掲載中の『金属プレート』の拡販を行うと決めて、そのターゲットにのみ徹底して営業活動や宣伝活動を行います。

 

まずは最初に2泊3日で泊まり込み研修が行われ、その製品群の勉強会や営業時のプレゼン方法のレクチャーなどで、プレゼンはどこで何を言って、どの部分を手で指し示すのか?まで指定されます。最後は、知識レベルを確認するテストと、プレゼンテストを全員の前で行います。最終日は実際に金属プレートを作っている工場を見学して終わる怒涛の3日間でした。

 

その後、オフィスに戻りまずはミスミのカタログを置いてくれている企業や工場で、金属プレートを使うであろう先のアタックリストが数千件単位で渡されます。

 

最初の2週間はアポを入れずにそのリストに電話をしまくり、金属プレートの需要がどの程度あるのかを確認します。一日に200件ほど架電したように思います。

 

お客さんはミスミの営業に会ったことのない人も多く、『あんた本当にミスミの人間か?』とか、『とうちゃん、ミスミさんって言ってるけどあのカタログのミスミさんかな?』などとても面白いリアクションが返ってきたのは新鮮でした。

 

そして、電話で需要を確認して、ミスミが求める月間使用量に満たないお客さんには、電話でよろしくと伝えて終わり、ターゲット量を満たすお客さんにアポイントを入れます。

 

ミスミの場合、こちらがアポイントをお願いすれば9割程度はアポイントが取れました。

 

 

「ミスミの名刺には電話番号が書いていない」

 

2週間ほど電話しまくってアポイントを入れまくってからは、一日5~8アポくらい車で回って、空いた時間で車中から残りのリストに電話してアポイントを入れる日々です。

 

しかも、全てのアポイントの詳細や金属プレートの利用状況をレポート提出する必要があり、更に自分に営業活動の日報を10分単位で報告するなど、ダブルで報告義務がありました。

 

この辺の細かさは早期退職の引き金になったと分析しています。

 

そして、営業に行くと2日間で覚えた知識を武器に、いかにミスミの金属プレートをネット通販で購入するメリットがあるかという事を、パソコン画面とプレゼン資料を見せながら提案していきます。

 

よくできた資料なので、すぐにうまくいくのですが、いかんせん他の商材については全くの無知です。それは私だけでなく、他の2-3年目の営業マンでも何万点もある中からお客さんに質問をされてもほとんど応えられません。


その他の製品について詳しく知りたい場合は、持ち帰って確認するというよりは、コールセンターに電話して聞いてもらいます。

 

当時の名刺にはオフィスの電話番号や携帯番号、メールアドレスも書いておらず、お客さんがこちらに直接連絡できないようになっていました。

 

そのため、こちらから連絡することはあれども、ミスミの営業マンにお客さんから連絡が入ることはありませんでした。

 

一方的にお伝えしたいことをお伝えし、そのカタログ商材のファンになってもらい、購入してもらったお客さんには半年程度足しげく通い、ヘビーユーザーになるまで様々な利用促進を行い、定着したころには来なくなるというやり方です。

 

効率的で凄いやり方だと思いましたが、自分はやりたくないと思いましたし、それを企画して誰かにやらすこともしたくないと思ったので、また人材ビジネスの世界に戻ることになりました。


営業を科学する世界よりも、人が介在する価値を見出す世界で生きていくことを決めた瞬間かもしれません。

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