見出し画像

心の穴はうまらないけれど

読まなきゃよかったなというのが、一番の感想。
知ってしまったら、自分の過去や内面について考えざるを得ないから。
それって結構しんどい作業ですよね。
さて、あなたはどんな人に惹かれますか?

友人から借りたこの本を読みました。
久しぶりに「生き方」的な本を読みましたが、しばらく考えさせられそうだと思った本でした。
そういう視点で、心に残ったところを少しご紹介したいと思います。

恋と愛の違い

恋とは「相手への欲望」相手を求め、自分のものにしたがることだそうです。
一方、愛とは、「相手を肯定する」ということだそうです。

自分が好きにも2通りある

自分が好きには2通りあります。
一つは、自分に恋する「ナルシズム」
そしてもう一つは、自分を愛する「自己受容」
うーん、この区別が私にはとても難しく感じます。
本には具体的な例はでてきませんが、私が思うナルシズムは、理想の自分や頑張ってる自分に酔っている状態。「もっとすごい私になりたい!」という欲望をみなぎらせていたりするのもナルシズムだと思います。
理想の自分に追いつけなくて自己否定しちゃうとか、あるあるです。
本によれば、適度なナルシズムを持ちながら、自己受容している人が「生きやすい人」だそうです。さて、自己受容とはなんぞや。

私たちには「心の穴」がある

私たちの心には穴が開いています。心の穴のない人はいません。
心の穴からは、さみしさや孤独感や劣等感、苦しみ、嫉妬、憎しみ、罪悪感。たくさんのコントロールできないネガティブな感情が、湧き出しています。
心の穴は、子供のころ、親や周囲の人たちから開けられたものです。どんなに人のいい親に育てられたとしても、心の穴は開きます。
それを回避する方法はありません。開いた穴を抱えて、生きていかなければなりません。
私たちは、その心の穴を誰かに埋めてほしくて、人を好きになるのだそうです。
ですが、結局のところ、他人に心の穴は埋められないのです。
じゃあ、どうしたらいいの?!

心の穴からは、その人の魅力も湧いている

「短所も見方を変えれば長所」という言葉を聞いたことがありませんか。
仕事が遅いのは、きっちりじっくり取り組んでいるからだとか、優柔不断なのは、思慮深いからだとか、嫉妬深い人は情に厚い人だとか。
ある人には、短所に見えても、ある人には長所に見えるということは、結構あります。
心の穴を見つめると、欠点があふれてきて、自分がとてもダメな人間のように見えます。欠点だらけの穴はふさがなくちゃって思います。でも、そこからは、長所も湧いている。欠点だと思っていたところが、誰かの役にたっていることもあるのです。
だから、心の穴はふさがなくていいのだそうです。
自己受容のできている「幸せそうな人」は自分の心の穴をふさいだりしようとせず、おりあいをつけている人だそうです。


心の穴の取扱説明書

自分の心の穴のかたちをちゃんと知ることだそうです。
恋愛の場面に限らず「自分はどんな目にあうと、どんな気持ちになるのか」、「どんな人からどんなことをされると、どんな反応をするのか」、「他人から見た自分には、どんな欠点があって、どんな魅力があるのか」客観的に見つめ、冷静に考えることが必要。
この本の中で、私が一番難しいと思ったのはここでした。
そもそも、自分の感情に自信がないので、自分の感情ではなく、世間の常識にあった正解の感情を求めてしまいます。私にはどんな気持ちになるのか以前の問題があるなと思いました。あ、これも私の「心の穴」から湧いてくるものですね。

本によれば心の穴はふさがず、結婚しても、子供ができても、「さみしさ」や「社会に対する焦り」なんかは感じてしまうものということです。
でも、穴の存在に苦しめられなくなることはできるといいます。それが、「心の穴のかたちを変えること」、それはつまり、人が「変わること」だそうです。

本にはここから、恋愛やセックスと心の穴の関係が、じっくりと書かれています。ご興味がおありの方は是非。

さて、本に書かれていた自己受容するための方法を、少しまとめて書きとめておきます。

自分を受容する方法

感情は考えないで、感じきる 
感じてはいけない感情なんてありません。感情にいいも悪いない。 それが、自分の感情に責任を持つということ。

自分の「未来」を忘れてみる
自分で「運がいい」「人生がうまくいっている」と言える人は、いま目の前でおきていることを楽しめて面白がれる人。
「何かいいことが起きた時に、最初に持っていた欲望や願望を、うっかり忘れてみる」ことが、ナルシズムを弱めるということ。

「女らしさ」で悩まない。
「女であろう」とするのと「女らしい」は違います。
自己受容しようとしないかぎり、どんなに料理がうまくなっても、おしとやかな美人になっても、自分を女らしいとは思えない。

自分が人から感謝されていることに気づく
「今の自分が無理なく(がんばらずに)できること、やりたいこと」、「人に頼まれなくても、放っておかれてもしてしまうこと」をどんどんやる。

愛されようとすることをやめる
自分が人から好かれるとか嫌われるということに無頓着になる。


私なりの感想

私は、心の穴を見つめるということを知れた点で、この本を読んでよかったと思います。
心の穴はふさがらないということに、軽く絶望しました。
でも、心の穴のかたちを知ることで、折り合いはつけられるなら、それでいいじゃないかと思います。
そのかたちを知るために、本には「いったん、自分の生きづらさを親のせいにしてみる」という方法をあげてくれています。
それも、これも全部あの時のあの親の言動のせいだ! ということにしてみて、どんな心のかたちをしているのか見てみるという方法です。
まるで反抗期の高校生のようです。
多くの人は、思春期の反抗期にそれをやって、大人になるのでしょう。
でも、私は若い頃それをやってきませんでした。親に反抗することもなく、親の意見をそのまま鵜呑みにして疑うことはありませんでした。
親の敷いたレールを外れることは、親から捨てられると同じ意味でした。
読みながら、過去のことを思い出し、考え始めてしまったので、当分、自分の心の穴のかたちがはっきりと見えてくるのか、考えてみようと思います。

サポートいただけると、明日への励みなります。