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生命線の88分の3

手のひらをじっと見てみる。

長い生命線。
心なしか前より長くなったような気がする。
そういえば私、88歳まで生きると決めたんだった。

ああ、まだ半分。
会えない、話せないこれからが、こんなにある。

血の繋がった家族ができてから、誰かと離れる寂しさから己をリカバリーする方法を忘れてしまった。

だから嫌だったんだ。
必要以上に家族以外の誰かと親しくなること。
いつかこんな日がきて、寂しい気持ちを噛みしめなければならなくなるのが嫌だった。怖かった。なのに、どうして大好きになってしまったんだろう。

私にとっては最高の人。

でもきっと私は最低だった。
傲慢でわがままで、自己中。ほんと、ごめん。

楽しく時間を過ごした3年間が、さっき「もう、会わない」と言われた瞬間、全部なかったことになってしまった。
一緒に食べた料理も見たものも、話したことも、笑いあったことも、愚痴りあったことも、全部全部、砂のように無残に消えてしまった。

理由は聞かないでなんて、言わないで。
おかげで、私はきっと一生、死ぬまで拒絶された理由を考えるだろう。

あなたの過ごしたのは、長い生命線のほんのちょっとの部分。
生命線の88分の3。

でも、楽しかったんだよ。
本当に楽しかったんだよ。
ずっとずっと笑いあっていられるんだと思ってたんだよ。

もう会えないなんて寂しいよ……

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