旅の終わり

重いスーツケースを引きずって、電車から降り、いずこへ向かう人の波に紛れる。

ああ、やっと帰れる。
長いエスカレーターの上で、ふうっとため息をついた。

「何時の飛行機?」
「19時半」
「じゃ帰ったらビールね」
「了解、つまみ、買って帰る」
「いいね」
「子供たち元気?」
「さっき晩御飯食べて、今、お風呂」

「当機は間もなく離陸いたします」

さあ、帰ろう。
大好きな人たちがいる街に。

私は帰る。
旅先で出会った人のたくさんの笑顔、風景、音、匂いに温められた、新しい私とともに。

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