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七夕には半田そうめんを

昨日は七夕。天気は晴れ。
7月7日に晴れたのは数年ぶりではないかと思います。

令和初めの七夕の日、夕食は「そうめん」で決まりです。
「今夜は七夕なので、晩御飯はそうめん」
2階の寝室でゴロゴロしながら、階下の家族へ、グループLINEでメッセージを送ります。すると、
「なんで七夕に『そうめん』なん!?」
という疑問の声が。

「そうめんが天の川に似てるからじゃない?」
勝手なイメージで、勝手に理由付けして返答。
「はあ……?」
また、オカンがいい加減なこと言ってるよという裏の声が聞こえてきます。
家族にはイマイチ受け入れられず。

調べてみると、全国乾麺協同組合連合会のHPには、

醍醐天皇の時代に宮中の儀式・作法等を集大成した「延喜式(927
年)」がある。
その「延喜式」によると「そうめん」の原型といわれる「索餅」(さくへい)
が、旧暦7月7日の七タの儀式に供え物の一つとして供えられたと記述してある。
特に、平安期からは、宮中における七夕の行事に「そうめん」が欠かせない供え物とされていた。

どうやら、平安時代より、宮中の七夕行事に「そうめん」が供えられていたようです。立派な由来があるではありませんか!

その上、

加えて、「そうめん」を糸にみたて「芸事(機織)が上手になるよう」小麦は毒を消すといった言い伝えから「健康を願い」また、年一度の彦星と織姫のデートにあやかって「恋の成就を願い」行事食である「そうめん」を食べたという・・説もある。

なんと、そうめんを食べる=芸事が上手くなる、健康、恋の成就まで願っているというではありませんか!
小麦は初夏が収穫期だし、初ものは食べたほうがいい!

などどいろんな理由を並べたけど、要は「天の川っぽくしたそうめん」が食べたいのです。

結局、家族の同意はあいまいなまま、半ば強引に夕食はそうめんに決定。

さて、徳島県でそうめんといえば、徳島で生産される「半田そうめん」です。
多分、そうめんといえば、兵庫の「揖保乃糸」や小豆島の「島の光」、奈良の「三輪素麺」が有名かもしれません。
ですが、徳島では半田そうめんです。
半田そうめんは、徳島県の西部、つるぎ町(旧半田町)で作られる手延べ素麺です。

この半田そうめん、ほかのそうめんと何が違うかといいますと、その太さです。

上が、小豆島の「島の光」、下が「半田そうめん」です。
半田そうめんの方が、2倍くらい太いです。エクセルの普通の罫線と太い罫線くらい違います。

「これは『ひやむぎ』ではないか?」
察しの良い方は、きっとお気づきのことでしょう。

ちょっと調べてみました。(興味のない方は、すっ飛ばしてください)
消費者庁の「乾めん類品質表示基準」によりますと、

長径が1.7mm未満に成形したものにあっては「手延べひやむぎ」又は「手延べそうめん」

と、されています。
要は「どっちでもいいよ」ということですね。
以前、国の方で、ひやむぎとそうめんの違いを太さで決めようとした動きがあったそうです。そうするとひやむぎと同じくらい太さの半田そうめんは「そうめん」を名乗れなくなるという危機に陥りました。生産者の方たちや半田そうめんファンが半田そうめんの名前を守るために、国に意見したおかげで、「そうめんって言ってももいいよ」というお墨付きをもらったという話を聞いたことがあります。

でも半田そうめんは「ひやむぎ」ではありません!!
元来、ひやむぎはうどんを細く切って作ったものです。
一方、そうめんは、麺を伸ばして細くしているんです。冬の寒い時期に、麺を一本一本手で伸ばして、寒風にさらして乾かしてつくるのがそうめんなんです。

さて、この半田そうめん、袋の裏には、

そのコシの強さと風味の良さで、皆様方に御好評をいただいております。

と、あります。

そう、この半田そうめん、ふつうのそうめんと違うところは、「コシ」です。
噛むと歯を押し返すほどの弾力を感じます。
その弾力のせいで、麺に芯が残っているように感じさえするのです。
そんな、半田そうめんはしっかり噛んでみていただきたいのです。
ぎゅっぎゅっと噛むと、小麦粉の風味と適度な塩味が広がります。
麺が太いので、食べ応えも満点。
もちろんつるんと食べるのも、喉越しが良くていいんです。

夏場はもっぱら冷やしそうめんにして食べますが、冬になれば、にゅうめんにして食べるとお腹も心もほっこりします。
時には、朝ごはんの味噌汁に入れて、ご飯の代わりに。風邪を引いたり食欲のない時にはうどんの代わりにもいいかもしれません。

さて、この半田そうめんを湯がいて食べましょう。
計ってみたところ、普通のそうめんはひと束が50gでしたが、半田そうめんは100gでした。
いつものそうめんと同じ数の束をゆでると、多すぎるとおもいますので、ご注意ください。

茹でているところから、もう太い。
茹で時間も、ふつうの細いそうめんより長くとってください。

食べてみて、お好みでザルにあげます。流水でよくもみ洗いして、余分な油を落とします。

はい、念願の七夕仕様のそうめんになりました。
ほら、大河のような天の川ができましたよ。

半田そうめん、こちらでは、どこのスーパーにもある当たり前の食材ですが、他県ではどうなんでしょう。
ですが、もしお近くのスーパーで見かけたら、食べてみてください。

なんでも東京都内には、半田そうめん専門店があるとか。
徳島県民としては、とても気になります。

この半田そうめん、私の周りでは面白い現象が起きています。
県外出身の配偶者がいる友人たちに聞いたところ、県外出身者の方が「普通のそうめんより美味しい」と答え、その配偶者である徳島県民は「普通のそうめんがいい」という逆転現象を数件確認しました。
なので、これをお読みの徳島県民以外の方のほうが、お気に召すかもしれません。

ちなみに、半田そうめんを作る過程でできた「ふしめん」使った「ピリ辛そうめんチップス」というお菓子があります。
麺を油で揚げて、ピリ辛に味付けしたスナック菓子。これが、ビールのつまみに合うんです。
麺にピリ辛の味付けがされていて、ビールとチップスの無限ループ。
あー、食べたくなってきた!

七夕にそうめんも食べたし、ちょっとは文章が上手くなったらいいんだけど。

それでは、また。
次回は「大野海苔」か「そば米汁」です。

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