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このままでは、



2023.12.2
J3 第38節

松本山雅FC
×
奈良クラブ





~スタメン~

山雅(緑):4-4-2
奈良(白):4-3-3


~初めに~

得点王とか、ベストイレブンとか、良いニュースを目にするが、少なくとも自分はこれでは満足できない。

昇格に値するようなサッカーができていれば、小松は25点近く取れたはずだし、菊井はMVPを取れたはずだと、自分は本気で思っている。

だから悔しい。


今季の山雅の問題が見て取れるシーンを、ひたすらに振り返っていく。



~プレス~

山雅のプレスは非常に甘い。


-誘導ができない-

14:20のシーン。

小松、渡邉がプレスをかけると、相手は右CB伊勢がロングボールを蹴る。

このとき、左ボランチの米原がアンカーの位置にいる14番中島まで出て行っているため、その背後にできたスペースでセカンドボールを拾われてしまう。

米原の背後のスペースを使われる。

この試合に関しては奈良がうまく立ち位置を変えながら戦っていたので、守りづらかった面もあるかもしれない。
それでも、このような形が今季は非常に多かった。

相手の右サイド(山雅の左サイド)でロングボールを蹴らせたいのなら、左ボランチではなく右ボランチが出ていき、左ボランチはセカンドボールの回収に集中させたい。

もし左ボランチを出て行かせたいのなら、相手の右サイドではなく左サイドに誘導してロングボールを蹴らせたい。

どちらかの形は仕組み化すべきだったと思う。


-ボランチを使われる-

43:28の、失点に繋がるシーン。

小松がプレスのスイッチを入れるが、アンカーの森田を経由し、一気に前線にボールを送られ、失点してしまう。

プレスをかわされ、一気にピンチに。

この時、米原は森田をマークするべきなのか、下りて受けに来ている19番酒井を見るべきなのか、迷っていた。

米原は誰をマークすれば良いのか定まらない。

そのため、米原は森田に寄せることができなかった。

この場面では、小松が戻って森田へのパスコースを消すべきだった。

この場面のように、迂闊にプレスをかけ、ボランチを経由して簡単にプレスをかわされてしまうシーンも、今季非常に多かった。

今回の失点は、決してミスだけのせいではなく、そもそもワンミスが即失点に繋がってしまうような危険な位置まで前進させてしまったことが一番の原因だと思っている。



~DFライン~

DFラインが低すぎて相手にスペースを与えてしまう形も、今季非常に多かった。


-プレスの時-

61:30のシーン。

菊井がCB鈴木、そしてGK岡田へプレスをかけ、ロングボールを蹴らせる。

そのセカンドボールを相手に拾われてしまう。

セカンドボールを拾われる。

この時、山雅の守備ブロックは間延びしており、ボランチが見なければいけない範囲があまりにも広大な状態だった。

米原や安永が守らなければならないエリアが広すぎる。

そのため、セカンドボールを拾われてしまった。

菊井がプレスをかけると同時に、DFラインをしっかり上げておくべきだったのではないだろうか。
そうすれば、よりコンパクトな陣形を築くことができ、ボランチの負担を減らすことができたはずである。

DFラインを上げておきたかった。


-ついて行きすぎる-

そして、セカンドボールを拾われた後、DFラインの手前のスペースで10番山本に前向きでボールを持たれ、一気にピンチになる。

この時も、DFラインが低いせいで、相手に広大なスペースを与えてしまっていた。

あまりにも危険なスペースを与えてしまっている。

野々村と藤谷が、背後を狙う浅川について行きすぎて、ラインが低くなってしまっていた。

DFラインを上げることができていれば防げたはずだし、ラインを上げるだけの時間も十分あったはずである。

ラインを上げていれば、野々村が山本に対してアタックできた可能性は十分にある。


-ロングキックの時-

93:30のシーン。

相手のゴールキックの際、セカンドボールを拾われてしまう。

セカンドボールを桑島に拾われる。

この時も、やはりDFラインが低すぎて、間延びしてしまっていた。

DFラインが低い。



~セカンドボールを拾えない~

DFラインが低いのも問題だが、セカンドボールを拾うための人数のかけ方も足りていない。

先程の、93:30のシーン。

奈良のゴールキック。

米原と嫁阪が競り合った時、その周囲でセカンドボールを拾おうとしているのは、

山雅:安東の1人。
奈良:桑島、森田、中島の3人。

奈良は桑島、森田、中島の3人がセカンドボールを狙っている。
対して、山雅は安東の1人だけ。

1対3。
どう考えても不利である。

セカンドボールを拾える確率を高めるということは、ボールを持ち主導権を握りたいのなら重要な要素の一つだと思うが、このチームはそこにこだわりがあるようには感じられない。

セカンドボールを拾われてそのままピンチになる形も、今季非常に多かった。



~ビルドアップ~

山雅はビルドアップの際、両SBが上がっていき、低い位置ではボランチとCBの4人で組み立てることが多い。

このやり方には問題が幾つもある。


-相手が守りやすい-

18:50のシーン。

米原から藤谷にパスを出すが、SB加藤に寄せられ、奪われる。

この時、滝に対してはSH西田がマークしていた。
加藤は藤谷のことだけ見れば良かったため、藤谷へのパスをめちゃくちゃ狙っていた。

加藤は藤谷へのパスを狙っていた。

このように山雅の攻撃は、相手のSHとSBの選手が山雅のサイドプレーヤーの二人をしっかり監視していれば守りやすい。


-距離感が悪くなる-

11:29のシーン。

野々村から藤谷にパスを出すが、左SH西田に寄せられ、ボールを奪われてしまう。

この時、滝に対してはSB加藤がマークしていた。
西田は藤谷のことだけ見れば良かったため、めちゃくちゃ狙っていた。
しかも、藤谷が高い位置を取ろうとどんどん上がっていくため、野々村との距離はとても離れていた。

野々村と藤谷の距離が遠いため、相手は寄せやすい。

野々村はそんな状況でもなんとかパスが通るように力強いパスを送ったが、その結果浮き球のスピードボールとなり、トラップしづらいパスとなってしまった。

藤谷はなんとかコントロールするのがやっとで、その間に寄せられボールを奪われてしまった。

CB(あるいは下りてきてボールを持ったボランチ)とSBの距離が開きやすく、このような状況に陥りやすいのが山雅のビルドアップである。


同じく、33:03のシーン。

常田が山本にパスを出すが、SB生駒にトラップ際を狙われ、奪われる。

この時、山口に対してはSH西田がマークしており、生駒は山本のことだけ見ていれば良かったため、パスをめちゃくちゃ狙っていた。
しかも、常田と山本の距離もかなり離れていたため、パスが届くまでの時間が長く、その分生駒が寄せる時間が確保できていた。

生駒は山本へのパスを狙っていた。
しかも、常田と山本の距離が遠いため、生駒は寄せが間に合う。


-サポートが足りない-

62:46のシーン。

常田から山本へ、そして山本から小松へパス。

しかし、小松がトラップしきれず、ボールを失ってしまう。

問題は、山本に対してのサポートがない、ということ。

CB常田は距離が遠い上に、FW酒井がマークしている。
ボランチ米原は右サイドに寄っていたため、サポートがどうしても間に合わない。
山口は近くにいるが、相手のボランチ中島にマークされており、SB生駒も見張っているため、パスを出せない。

山本の近くにサポートがない。

となると、もう小松くらいしか選択肢がない。
小松にパスを出さなければボールを奪われてしまう。

だから小松にパスを出すが、ボールと小松の進行方向が逆になってしまい、トラップしきれず、ボールを失ってしまった。

そもそも山本に対して複数の選択肢を作ってあげることができていたら、無理に小松にパスを出さずに済んだかもしれない。

このように、サイドの選手へのサポートが極端に少なくなり、ビルドアップが失敗する、というのも今季非常に多い形である。



~クロス一辺倒、崩せない~

ファイナルサードにおいて、相手のゴール前に人数をかけすぎて、ボールホルダーに必要なサポートができないことが非常に多い。

2:07のシーン。

エリア内に山雅の選手が5人も入ってきている。

しかし、当然相手もゴール前に人数をかけて守っている。
この状態だと、クロスから得点を狙おうにも、かなり難しい。

ほとんどの場合、どこにクロスを上げたとしても誰かしらにクリアされるだけだろう。
また、これだけ敵が密集していれば、仮にシュートを打てそうになったとしても、その前に誰かしらに身体をぶつけられたりして満足なシュートを打つことはなかなかできない。

だから、ゴール前に人数をかけてクロスを放り込むだけではほとんど得点にならない。
決して、クロス精度だけの問題ではない。

セットプレーでゴール前に蹴り込むのと、流れの中でクロスを上げるのとでは訳が違う。

より得点の確率を高めようと思ったら、相手の守備を崩してエリア内に侵入していく必要があるのだが、ゴール前に人数を割きすぎてしまっているため、サイドへのサポートがない。

山口へのサポートが山本しかいない。

この場面では、サイドで2対2の状況になっている。
しかも山口と山本という、特別突破力が持ち味というわけではない二人である。
この二人で、サポートもなしで崩せと言われても、厳しいだろう。

せいぜいクロスを上げるのが精一杯ではないかと思う。
しかし、クロスをシンプルに上げるだけでは、前述の通りほとんど得点にならない。

山雅の攻撃はこのようなシーンが非常に多いため、流れの中から点を取ることがなかなかできない。

最近はボランチの安永も積極的にエリア内へ入っていくシーンが見られていたが、それもあまり有効ではないように思う。



~ロングボールは有効~

ボランチとCBの4人でビルドアップするということは、残りの6人は高い位置を取っているということでもある。

それを簡単に活かせるのがロングボールである。

24:40のシーン。

常田がロングボールを蹴り、山口がセカンドボールを拾う。

山口がセカンドボールを拾う。

そしてそのまま一気に相手ゴール前まで攻め込むことができていた。

このシーンでは、どこにセカンドボールがこぼれたとしても拾えそうな状況になっていた。

高い位置に人数をかけているので、セカンドボールを拾いやすい。

今年の山雅は、ビルドアップよりもシンプルにロングボールを蹴った方が、圧倒的に相手の脅威になっていた。
(昨年もそうだったが)



~試合結果~

松本山雅FC 0

奈良クラブ   1
44' 浅川隼人


~終わりに~

このチームには、あまりにも多くのものが足りないように自分は感じる。

今回ブログでチームの問題を一部取り上げたが、そのほとんどは、今季序盤からずっと見られていたものだ。
しかし、最後まで改善されることはなかった。

選手たちも限界を感じているのではないか。

この記事の選手たちのコメントを読んでみると、「今年積み上げたものを発揮すれば、来季は昇格できる」という手応えを感じているようには見えない。

仕組みに限界があれば、成長にも限界が来てしまう。

今直面している壁をどうすれば乗り越えられるのか、選手たちは全く見えてこない状態なのではないだろうか。
どう頑張っても上手くいかない、そんな苦しい状態だったのではないだろうか。

選手たちがものすごく上手くなれば問題ないのかもしれないし、上手くなるに越したことはないが、J3において山雅レベルの選手たちがいて「上手くならなければ勝てない」という結論になってしまうのは違うと思う。

細部まで徹底的にこだわり抜いた戦術を用意してこそ、選手たちは良いパフォーマンスができるし、成長もしていけるはずだ。


逆に、それができなければ、山雅の未来が危うい。

昇格できなくて、主力が抜け、客も減ってしまう。
そして次の年も勝てず、更に主力が抜け、客も更に減る。

仮に今のファンは継続して応援してくれるとしても、少なくとも新規のファンは増えづらくなっていくだろう。

このままでは、どんどん山雅が痩せ細っていき、どんどん魅力が薄れていってしまう。

そんな負のスパイラルから、もう抜け出せなくなっているのではないか。
ちょっとやそっとの足掻きでは抜け出せないくらい、沼に嵌まってしまっているのではないか。

来年が抜け出すための本当に最後のチャンスだと思っているが、足りないものが非常に多い今の戦術ではかなり厳しいだろう。

監督の自信に満ちたコメント等は考慮せず、ピッチ上でチームが一年間披露してきたプレーを純粋に評価した上での、自分なりの結論である。



クラブの関係者の方、もしこのブログを読んでくださっているなら、自分を雇っていただけないでしょうか。

最初から最後まで改善されることのなかった戦術上の問題点を、自分なら初めの数試合で気づくことができていたし、改善策を提案することもできていました。

問題の内の幾つかだけでも早めに改善することができていれば、今季もっと昇格争いに絡むことができていたのではないかと思っています。

また、世界最高峰のプレミアリーグを全試合観ているので、山雅の各選手に合わせて、どの選手やチームを手本にして学べば良いか・どういうプレーを参考にすれば良いかを紹介することもできます。

プレミアリーグを毎週全試合観て得ている知見は、きっとチームの役に立つはずです。

必ず、力になります。

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