好きなものを好きと言いたい

突然ですが、あなたは趣味を聞かれたら何と答えますか?

例えば初対面の人との話題として、はたまた小学生の時によく書いたプロフィール帳の中の質問で。生きていると意外に趣味について言及される場面が多いものです。

私の一番の趣味とよべるものは、好きなアニメ・ゲームなどのコンテンツや声優さんなど(ざっくり言うと推し)を愛でて心を豊かにすることなのですが、これは残念ながら、初対面の相手や、そういう事柄に理解がなさそう、又はあるのか分からない相手に非常に言いにくいものです。

日本のポップカルチャーは世界に誇る素晴らしい財産である一方で、日本社会においては、これらが好きな人々が(一昔前よりマシになったとはいえ)差別的に捉えられることが少なくありません。私個人としては、その原因はおそらくマスメディアにあるのだろうと考えています。そういったカルチャーがテレビなどで取り上げられることが少ないために身近に感じにくいこと、取り上げられたとしてもイロモノ扱いされやすいこと、また一部のマスメディアによる、犯罪とポップカルチャーを結びつけるような報道など。もちろんそれだけが理由ではないのでしょうが、結論として、日本社会においてこれらのカルチャーが好きな人は、馬鹿にされやすいのが現状です。

今敢えてポップカルチャーって言葉を使ってますけど、こういうのってオタク文化とかってよく言いますよね。私も普段はオタクを自称しておりますし、実際そうする人は多いと思います。でも、オタクじゃない人がオタクに対してオタクって言うことって、ただの差別じゃないですか?そもそも「オタク」って言葉は、好きなことに著しく傾倒している人々が自分たちを揶揄する時に使ったものなので、本来オタクと呼んでいいのはオタク同士に限るわけです。そういう自虐的な言い方を仲間内ですることは何ら問題がないですが、何の関係もないただの第三者が人をオタクと呼ぶのは、ただの蔑みでしょう。それなのに、そうしてもいいと思ってる人たちが、世の中には多いように感じます。そうすることに、なんの疑問も持たない人が。きっとそういう人たちは、そもそもこんなこと考えたこともないんでしょうけど。
ちょっと言い方がきつくなってしまいましたね。すみません。

そんなわけで好きなものを好きと言いにくい社会に生きておりますので、このような質問に対して私は無難に「読書です」「音楽を聴くことです」などと答えるわけです。いや、これも嘘じゃないですよ。本当に読書も音楽も好きです、私の日常に必要なものです。好きな作家や歌手の話もできます。最近は最果タヒさんの小説や詩、エッセイが私の中で爆発的にヒットしてますし、今は三浦しをんさんの『きみはポラリス』を読んでいる最中です。音楽なら、サカナクションさんや椎名林檎さんをよく聴きます。今流行りのKing GnuさんやOfficial髭男爵さんも聴きます。

ってこうやって色々あるんですけど、でも何と言いますかね、熱量が違うんですよ、ポップカルチャーに対しては。穏やかな川のせせらぎを聴いて優雅なティータイムを過ごすのが読書と音楽だとしたら、ポップカルチャーは滝行。読書や音楽がその時たまたま出会ったものを楽しんでいるのに対して、ポップカルチャーでは常に目を光らせて最新の情報を手に入れ、今後の展開をチェックしています。西に発売日情報があればアニ○イトに行って予約をし、東に声優さんの出演するイベントがあれば新幹線に乗って向かい、リアタイ信者として生放送を視聴し、推しの活躍を摂取するために自らのお財布状況を確認し、そしてアルバイトをする…とまぁ、そんな感じなんですね。推しへの愛情を原動力に生きていると言っても過言ではないし、推しの言動によって心から一喜一憂してしまう。私にとってポップカルチャーは、もはや趣味というよりも生活必需品に近いような感じがします。

コンテンツは転々としつつも、こうしてポップカルチャーを生活必需品とするようになり早n年。類は友を呼ぶようです。
若かりし頃、具体的にいえばこれらを必需品にし始めた中学生の頃、私は自分が「オタク」であることを周りに言えませんでした。そのころはまだSNSもやっておらず、趣味について話せる相手はほぼ0。学校の友人たちはいかにも蔑称としてオタクを使いそうな人たちばかり。中学時代の私はひっそりと生きて、それこそ趣味を聞かれた際には読書と音楽を出すような人間でした。
そこで当時の私は高校進学を機に決意したのです。趣味を隠すまい!と。幸い進学先の高校には同じ中学の人はほぼおらず、0から人間関係を築けるチャンスでした。考えた末、私は筆箱に推しの缶バッチをつけて高校に行きました。最初からそういう人だと思われておけば大丈夫なんじゃない?という作戦でした。リスキーな方法ではありますが、発想力の乏しい私には、それくらいしか思いつかなかったわけです。結果としてどうなったかというと、なんと成功したんですよね。まぁ、缶バッチが功を奏したわけじゃないんですけど、部活の先輩が同じコンテンツが好きだということが判明し、仲良くなれたんです。それからも、思いがけず身の回りの何人かがオタク(この「オタク」は仲間内での呼び方なので、正しい用法です)だということが分かり、仲間が増えていきました。趣味を隠すことも少なくなり、私は自分をさらけ出せるようになったのです。本当によかったなぁ、と思います。
そして大学生現在、そこまで望んでいたわけではないんですけど、友達や知り合いの8割がオタクです。出会う人みんなオタクなんですよね…なぜでしょうね。とてもオタクには見えないギャルの友達は、過去に超マイナージャンルの強火担で、キャラの公式垢にリプをたくさん貰ったことなどが原因で、界隈で炎上したことのある本物のオタクでした。(この一文オタクじゃないと意味わかんないかもしれませんね)アットホームにも程があります。

とは言え今でも、初対面の相手に最初から趣味を言えるわけではありません。無難に歌手の名前を出して、にわか加減がバレてしまうことが多々あります。ただ、私に限って言うなら、私の生きやすさはここ数年で格段にアップさせることができました。ですから、このままどうか、すべてのポップカルチャーを愛するものが(趣味に傾倒し過ぎていること自体には多少引かれるかもしれないけど)馬鹿になどされずに、堂々と趣味を言えるような世界になってほしいなと、願うばかりです。最後に、私の現在の最推しは声優の白井悠介さんです。イケメンキャラから可愛い系キャラ、最近ではなぜか猫も演じている最強素敵声優です。今週は生放送を6つもやっておられました。本当に忙しいだろうに朝方にサッカーを観ているので、心から寝てほしいです。実家が画材店です。是非。

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