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ブラック企業に転職して2週間で逃げ出した話②

◾︎7月中旬

前日に夜行バスに乗り、翌朝新宿に到着。

余談ですが、乗客確認ミスをされて乗るはずのバスに乗れず、新宿駅ではなく東京駅に連れて行かれるというとんでもないトラブルもありましたが、それはまた別の話なので割愛しますw
また、この日はゲリラ豪雨が全国ニュースになるレベルの天候だったので、暑さと雨でスーツがびしょびしょになってしんどかったなーという記憶があります。

さて、何事もなく会社に到着。
1階に飲食店が入っている小さな雑居ビルのエレベーターを登り、オフィスでオーナーと面接することに。
オフィスは20〜30畳ほどのワンルーム。半分は椅子と机が置いてあり、スペースを3〜4箇所小さなパーテーションで区切っていました。あと半分はコスメ商品の段ボールの山。オフィスと呼ぶにはかなり狭いなあという印象。

一次面接では業務内容や給与について説明される。

「まずは販売の仕事からやってもらう。企画やデザインをやるのはそのあと」
「一般社員(トレーニー)からスタートして、リーダー、マネージャー…とクラスアップしていくシステム」
「最終的には独立してオーナーになることもできる。自分も実はそうやってここの会社を立ち上げた。オーナーになるなら会社から金銭的な支援もすることができる」
「総合職と販売職の2つを募集していて、総合職ははじめ3ヶ月は固定給で、それ以降は役職給(固定給)+インセンティブ、販売職は固定給」
「年功序列なし、実力主義。頑張った人から先にリーダーやマネージャーになれる。頑張れば頑張るほど給与も多くなる。早い人だと半年くらいでオーナーになることも」

こんな感じの話をされたように記憶しています。
うおお、実力主義ってあたりは外資系っぽいな…とちょっとビビる私に、オーナーがひとこと。

「じゃあ一次面接終わるから、そのまま職場見学行ってきてね」
「えっ、あっ、はい」

いきなり職場見学行くの?と思ったけど、入社してからイメージと違う!となってしまうのを防ぐためとのこと。
奥から現れた社員と思われる女性(椿鬼奴っぽい雰囲気の人だったので、椿さんとしておきます)と挨拶し、電車で40分くらい掛けて仕事の見学へ向かうことに。

椿さんと一緒にいる間、仕事の応募動機から雑談まで、ほんとに色々な話をしました。
話を聞いてみると、椿さんも元々関東で働いていて地元に戻り、また関東に戻ってきた、いわゆる出戻りさんだったので、自分と似たような境遇に親近感を覚えました。

で、現場到着。
そこではスーパーの中のスペース一角を貸し切ってウォーターサーバーの販売・接客をしていました。
ショッピングモールとかでよく見かける、クレジットカードの勧誘みたいな、長テーブルと商品並べて営業する感じのアレです。

現場にいたのは5分程度で、そのあと場所を近場のカフェに移して、椿さんと1時間くらい話をすることに。
職場見学ほとんどしてないよね?と思ったけど、別にその場に長く居たいわけでもなかったので、そこはあえて突っ込まない。

「ぶっちゃけ私はこの仕事を一生する気はないし、短期間でお金がっつり貯めて、近いうちに自分の店を持って独立しようと思ってるんだー!」とキラキラした瞳で語る椿さん。
「ああ、仕事にやりがい感じてるんだなーすごいなあ」と純粋に感動する私。仕事の話をここまで笑顔でできる人ってなかなかいないのでびっくり。

「どうする?やってみる?この仕事。ぶっちゃけ面接にはいっぱい人来るけど受かるのはやる気ある人だけだし、他の仕事と悩んでて…みたいなのだと絶対採用されない。本当にやる気あるなら二次面接の予定取り付けるよ」

椿さんにそんなことを言われました。

(販売は別にそこまでやりたくないけど、ゆくゆく大きな仕事に関われるんだったらありかなー。椿さんと同じように1〜2年でがっつり貯めて別の仕事に繋げればいいし。何より条件も悪くないし早く仕事決めちゃいたいなー。)

この時の私の気持ちはこの程度でした。ぶっちゃけそこまでの熱意はない。でも折角わざわざ面接に来たんだし、ここで帰りますーっていうのも嫌だし、二次面接くらいは受けておこうか。

……というのを顔に出さず、「はい!二次面接いきます!」と声高々に答える私。
椿さんは「じゃあ面接で簡単なテストがあるから、これ全部今から暗記してね。一文字でも間違えるとアウトだからね」と言い、私のメモ帳にすらすら〜っと色々な単語を書いていく。

「5steps」
「8steps」
「平均律の法則」
「Additude」

就活・転職中の皆さん、会社の面接に行って、職場見学をして、なおかつこんな感じの単語が出てきたら、そこは間違いなく私が入社したブラック企業の系列会社です。適当に面接をやり過ごすなりしてそのまま全力で逃げてください。
この単語、仕事中に使うということもあり、系列会社はどこであっても同じことを教えているみたいです。

メモ帳にたくさんの単語を書いた椿さんは「じゃあこれを覚えて、◯時までにオフィスに戻って二次面接受けてね。私はこのままさっきの場所で仕事してくるから!一緒に仕事できるといいね!」と言い残して店を出ました。
「えっ、一緒にオフィスまで行くんじゃないの?」と思いつつ、とりあえず言われた単語を暗記しながらオフィスに再度向かう。
ガチ暗記なんて学生時代以来だったのでかなり不安だったけれど、テストは間違えずに済みました。教えられていない問題が出て、そこだけ適当に書いたらバツ印つけられてたけど、問題なかったらしい。

二次面接でオーナーに「どう?やってみたいと思った?」と聞かれ、めっちゃやる気のありそうな人を演じる私。
総合職と販売職、どちらがいいかという質問に対しては、販売に元々そこまで興味がなかったこともあり、迷わず総合職を選択。

「面接の結果は今日中に出るから。うちの会社はフットワーク軽いのがモットーなので。21時頃にそちらから電話してきてくださいね」と言われ、「こっちから電話させるの?変な会社だなあ」と思いつつも了承。
オフィスを出て、ホテルに移動し、まったり。職場見学もあり、3時間近く面接で拘束されてたので結構疲れも溜まってました。夜行バスで来てるしね。

で、「オーナーの都合で早めにこちらから連絡しました」とのことで、19時くらいにA社から電話が掛かってきて無事採用が決まりました。
あまり採用されないと聞いていたし、トントン拍子で進んでびっくりしたものの、「これで東京での生活に戻れる!」とガッツポーズを決める私。

職場見学時にお世話になった椿さんが私の直属の上司になり、椿さんと同じ寮に入るとのことだったので、そこもちょっと安心。
椿さんと連絡を取り合いながら、8月1日に寮へ引っ越し、翌日の入社日を迎えるのでありました。

→③に続く

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