#3・BAR大罪の夜

下ネタ注意です。

ここは少し未来のジ・バングのとある繁華街の一角。そこにあるのは寂れた小さな店【BAR大罪】と呼ばれるバーだ。
店の怪しげな雰囲気とは裏腹にリピート客がそこそこおり、このバーではウイスキーからジン、ワインにチューハイ、カクテルなど色んな種類のお酒を飲めるのがポイントだ。
店には老いたマスターが一人で切り盛りしており内装はシックで落ち着いた感じの内装。ピアノなんかも置いており、ジュークボックスの音楽が実に心地よく奏でられる。

さてそんなバーには常連がいます。
マスターの目の前に踏ん反り返ってチビチビとウイスキーを飲んでいる緑髪の軍服が【憤怒】と呼ばれている方です。彼が睨みつけている紫髪の長身のドレスの女性が【傲慢】と呼ばれている常連客です。憤怒は罰が悪そうにしながら傲慢に話しかけます。「なぁー傲慢よー強欲の奴はどうした!あいつツケ払うって言ったよなぁー。あああーーむかつくむかつく!!!」傲慢はその様子を見て呆れ返った様子で「強欲、珍しく仕事じゃないの?私はあの子から何にも聞いてないわよ。」
「あ!?ふざけんじゃねぇよ!俺あいつに5万貸してるんだよ!たくヨォおおおー〜!!」
「ふん、貸す方が悪いよ。よりによって強欲なんかに。」

彼らの話題に上がっている【強欲】という人物は探偵です。

「ちょっと落ち着いたらどうだい?憤怒」
彼らの話題に割り込んできた男性が【暴食】
はっきりにいうとデブです。
「うっせぇーーぞ!!デブ!!!」
「僕みたいに多く食べれない奴の皮肉かな?」
「皮肉じゃないと思うわよ。」

「おや、もう飲み始めてるのかい?」
「こんばんは」

最初に話しかけてきたまつげの長い金髪の男性が【色欲】
後から話しかけてきた人物が【怠惰】猫の獣人で女性です。

「ねぇねぇ傲慢さーん、今日こそエロいことしようヨォー」色欲が傲慢に話しかけます。
「身の程をわきまえろ愚民が!」
「あふん!」
色欲が殴られます。
「ああー快感んーじゃあ怠惰ちゃんエロいことしよう!!」
「どうでもいい」
「相変わらずそっけないクールなところ好きだなぁ」

「おい!色欲!!くだらないことはやめろ!!こっちはイライラしてんだ!」
「ち◯ち◯が?」
「ぶっ殺すぞ!変態!!」
「いやージョーダンだってぇー」
「チッテメェなぁ〜!!!舐めていやがるなぁ!!!」
「ち◯◯を!?それとも」
「うるせえええええ!!!」

憤怒が色欲をなぐりつけようとしたその時。
「【放つ】!」
一瞬ですが殴られる直前に憤怒に向かって色欲がデコピンしようとします
「!!!?」
「おいおい、この美しい顔面は女性のものだよ。」

「危ねぇ!!」

その攻撃をまるで見ていたかのように憤怒は瞬時に避けます。
「お前の攻撃は当たらない。お前の攻撃は当たったらまずい。それだけは【見えた】」
「ちぇー」
「いい加減にしなさいよ二人とも、ここは私のビールカクテルを飲む場所、いい加減にしないと【歌う】わよ?」
傲慢が静かに呟きます。その口調からは怒りがこもっていました。
「チッ」
「傲慢さんごめんねー」
「はぁーマスター、カクテルを頂戴いつもの青い奴」怠惰が注文します。
「ウォッカを」憤怒が注文します。
「ビールカクテル」傲慢が注文します。
「ブランデー貰えるかな?」色欲が注文します。
「ウイスキーを飲みたい。」暴食が注文します。
「はいかしこまりました。」
マスターはにこやかに返事します。

「おや、お揃いかな?」
そこに現れたのは黒い帽子に黒いスーツ。
赤と黒のオッドアイ。
「珍しい、原罪さんじゃないか」
この人は【原罪】と呼ばれ謎の多い人物です。
「マスター、ジンを貰えるかな?」原罪が注文します。
「はいわかりました」
「原罪さん今回はどちらへ?」暴食が聞きます。
「国を暇つぶしに滅ぼしてきたところさ。あと嫉妬はいるかな?彼女に土産があるんだが。」

【嫉妬】とはここの常連で鬼人の女性です。

「嫉妬ちゃんは居ないねぇ〜彼女のネガティブなツンデレボイスが聴きたいなぁ。あの声は何度だってイける!」色欲が笑います。
「そうか嫉妬はいないのか、残念だ。彼女のために最近の表の商売がてら作ったボードゲームを持ってきたのだ。」
「ほうほうどんなゲームですか?」暴食がお腹を揺らしながら尋ねます。
「これには時限爆弾(本物)が設定してあって、下手にゲームで協力できないと爆破されるように設定した私特製の爆破解体ゲームさ」
「ふぅーん。」
「嫉妬は昔からこの手のボードゲームが好きでね。彼女には爆弾なしの優しめバージョンをプレゼントしようと思っていたんだが、いないならマスターに預けよう。」
原罪はマスターにボードゲームを渡すとマスターはそれをカウンターの下に仕舞います。

「さてと皆様飲みましょう。今日は私が奢ります。」原罪が声を掛けます。
「そりゃあ嬉しいぜ!」憤怒は意気揚々とグラスを手にします。
「まぁ奢ってくれるなら」怠惰は薄く微笑みます。
「あら、庶民にしてはいい心意気じゃない。」傲慢がグラスを揺らします。
「あ、じゃあ追加注文しちゃおっかな?」暴食が腹を鳴らします。
「おっとさすが原罪さんだねぇ。モテ要素の塊だねぇ」色欲がにたにた笑います。
「それでは皆さま乾杯。」
「「「「「乾杯」」」」」

皆がそれぞれ酒を飲みます。
ここに集うのは罪人達だけ。
小さな宴会場で起こる摩訶不思議な罪人達の夜。
愚かで尊くどうしようもない夜。

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