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9/30 #DAY16 大津キャンプイン

今日のスケジュール
08:00 朝食
09:15 メディカルスクリーニング
   プールリカバリー・アイスバス
12:00 ランチ
13:10 ホテル出発
14:10 新幹線乗車
16:17 新幹線京都着
17:15 ホテル着
17:45 メディアインタビュー
18:00 ディナー
21:00 スナック

昨夜の激戦と深酒の余韻を残し今日も1日スタート。
今日は移動日。
60人のグループでの移動は中々大変。
学生の頃の引率の先生の気分が少しだけわかる。

いつものルーティン。
試合後なのでいつもより多めのランドリーをピックアップし
朝食を兼ねてリエゾンミーティング。

しかし今日はアレックが居ない!
彼は一足先に関西へと帰っていった…
実は彼は関西の某大学教授。
なんやかんやで合流してから今日まで1度も授業に出てない。
しかもこれからの予定を考えると、最悪11月頭まではウェールズ帯同!
約2カ月も授業しない事になるのは流石にマズい!との事で今日の昼から授業する為に朝早く出発したのだ。(朝起きれたんだろうか…)

という事で今日はシューちゃんと2人でお仕事。

先ずはアランとホテルの精算。
コレがまた面倒くさい。
どこの組織でもそうだと思うけど、経費精算で不適切な項目があると処理さできない。たとえWales Rugby Unionでも。
毎晩外に飲み歩いてるんだが、ホテルのバーもよく使っている。
飲みに行く前の集合場所がホテルバーで、行く前から皆んな結構飲んでいる。
ホテルに明細表を出してもらい、それを我々とホテル担当者さんが先にチェックする。
北九州と豊田は勝手がわからず精算の時にアラン同席の上で、全てをチェックして行ったので凄く時間が掛かったけど、慣れというのは凄いものでここら辺から我々の適応能力はとてつもなく進化していく…
今となってはアランの秘書も務められる位になってきてる(笑)

ラ「このXXXX BAR の部分の表記ですが、BARをCAFEに変更して、飲食代を会議費に変えてもらえませんか?」
ホ「CAFEで会議費と言うのは少し変だと思いますので、BAR自体をXXの間と貸切ルームの記載に変えて良いですか?」
ラ「そうですね、そう変更して貰えたら一番良いです」

更にアランはこの辺の作業が大嫌い。
セッカチと言うべきか。
前回までは結局幾らなんだ?難しい事を言うな!
用途詳細と金額が適切なら、俺は幾らでもサインする。5分でまとめろ!
と怒ってた(笑)

朝のプールリカバリーとアイスバスは
S&Cコーチのアシュビーとヒューに任せる。
僕とシューちゃんはもう一度秩父宮へ。
何しに行くかと言うと、秩父宮に併設されてたジムにバーベルやらウェイトなどを返しに行く。
本当は持ち帰ったらダメなんだけど、試合前に軽くパンプアップしたりするのに使うんだ!と言って聞かない人達が居るので毎回そうしている。
でも実際は殆どマネージメントが日々の運動の為に使っている…
エアロバイクやローイングマシンまで持って帰ってくる…
コーチやS&Cなどは元代表選手が多い。
そして何故かウェールズのマネージメントは元HOが多い。
結構な量なので返却時はヘロヘロになる。

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DHLトラックに積込み、秩父宮へ行き、その為だけにTCCさんに秩父宮へ来てもらい返却。
(まぁJRFUの人なので事務所は秩父宮の敷地内なんだけど)
セミファイナルに残り東京へ戻ってくる約束をして別れのご挨拶。
本当TCCさんはじめ、色んなスタッフの人達に助けられている。

ホテルへ帰ると最後の自分のパッキング。
今回は大津キャンプという事でほぼ地元。
要らない荷物は実家に置きに帰るつもりなので荷物を分ける。

そしてランチを済ませば後は出発までホテルの人やバスの運転手さんと談笑してお別れのご挨拶。
そしていよいよ出発。
来た時同様沢山のホテルスタッフさん達に見送られ、名残惜しくもまた必ず帰ってくると心に誓いバスに乗り込みます。

相変わらず枕は手持ち…

バスは順調に進み、東京駅へ到着。
流石東京、平日でも凄い人。
昨夜の熱戦のせいか、いやジャパンの快進撃だろう、道行く人達が足取りを止めてウェールズチームを写真におさめていく。
バスの運転手さんにお別れし、皆を連れてホームへ。

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東京発なので今回の新幹線乗車は楽チン、制限時間無く乗り込み終了。
各々2時間ちょっとの新幹線を楽しんだら、京都へ到着。

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北九州から豊田へ移動した時は、人生で初めて京都駅を乗り過ごしたが、今回はチームを引率して地元京都駅へ降り立つ。
他の人からすると何でもない事かも知れないが、僕にとっては何だか特別な気分。
まさか自分がウェールズを引率して京都駅を練り歩くとは本当に思ってもいなかった。
勝手に誇らしげな気分(笑)
ここからはバスに乗って大津まで。
勝手知った道をバスが進んでいく。

あっと言う間に大津は琵琶湖ホテルに到着!
大会期間中、最も部屋が広く景色が素晴らしいホテルだったと評判だったこのホテルは、僕にとっても1番リラックス出来たホテルかも。
なんせ部屋からの眺めが素晴らしい!


二日酔いの朝には最高のレイクビュー(笑)

アレックも合流!
無事授業して来たらしい。

到着後はリエゾンが1番忙しい時間帯。
▪️JTBさんと各部屋ルームキー配布
▪️各チームルーム確認
▪️ホテル担当者さんとご挨拶
▪️事前到着荷物の運び込み
▪️チーム車両受取り
▪️諸々発生するトラブルシューティング

この他マネージメントにスパを案内するのも重要なミッション(笑)
とにかくスパが好きなんです…
ついて直ぐに入りたがる(笑)
てかウェールズのホテル選びの基準はホテルにスパがあるかやったと思う…

そして直ぐにメディアインタビューの準備。
背景のバナーをメディアルームに運び設置して、メディアマネージャールークをそこへ案内する。
ルークは出来る男なのでここまですれば後は全部自分でやってくれる。

事前に送った荷物は今回は我々が到着する直前にホテルに到着する段取りだった。
運び入れは滋賀県ラグビー協会の方が、立命館大学ラグビーにお手伝いをお願いしてくれており、殆ど運び込みは終わっていた。助かる。
僕らはそれらの微調整だけ。
立命館大の子達はウェールズの選手達をキラキラした目で追いかけながら、一生懸命荷物を移動させてくれた。
まだチームルームに残っている選手に声をかけて、サインと写真をお願いしたら皆んな快諾してくれて、大学生のシャツやカバンにサインして一緒に写真を撮ってくれた。
大学生達は超喜んでた。
この中から未来のジャパンは生まれるのかな?と見てました。

何とか落ち着いて来た所で僕にはまたもや特別ミッションが…
母校、伏見工業高校へタックルバックを借りに行くのだ。
豊田でも東京でも実はTCCさんにお願いして借りてたのだが、今回組織委員会が準備した全チーム同仕様のタックルバックが6本チームには配布されているのだが、北九州でアランから「軽すぎる」とダメ出しを受け全てのキャンプ地で別の物を用意するハメになった。
そしてここは地元。僕のコネを最大限に活かせる土地である。
と、言うわけで母校の監督とコーチに了解を得て借りる事になっていた。

母校には18時過ぎに到着。まだ練習中だった。
僕が在籍してた当時からすると18時で練習してる事は異常だ(笑)
何故なら当時は定時制と併設されていた為、17:45にはグランドは定時制に引き渡さなければならなかったからだ。
母校は京都市にもう一つあった洛陽工業高校と合併するタイミングで「京都工学院高等学校」に名前を変更し、定時制は元の場所で、全日制は学校の場所を変えていた。
その為時間を気にせず、凄い設備に生まれ変わったグランドやトレーニングジムで伸び伸びと練習が出来るのだ!…かわいそうに(笑)
僕らは定時制があったから終わりの時間が決まってた。
2時間半位の練習時間だった。
でもそのたった2時間半で全国でも類をみない程過酷な練習だった。
超濃密でした(笑)

また名前が変更される時は「伏見工業」の名前が無くなってしまう!とオールドラグビーファンの間で悲しまれ、中には名前を変更すべきではない、と言う意見も多数あった。
そらOBの僕からすると名前が変わる事は少し寂しい。
でもずっと同じである事は難しいし、今の時代と昔の学校の在り方は違うし生徒数も変わってきてる。
そんな中での学校再編は避けられないだろうし、伏見工業の名前だけ採用するのも不公平だ。

大切な事は名前じゃない。
山口先生や高崎先生、先輩達が作り上げた環境が存続される事だ。
人として成長する思春期という大事な過程で、仲間と共に笑い、苦しみ、一つの事を成し遂げようと日々努力する。
それを身を寄り添って見守る先生達がいて、時に父親よりも厳しく、時に母親の様にそっと声を掛けてくれる。
3年間そんな環境で頑張り、最後の大会に臨む。
試合に出れないメンバーも居るし、結果が目標とかけ離れる事もあるだろうけど、その環境で学んだ事は人生で本当に役立つ。
僕はそんな環境が残されるなら、名前の一つ位変わっても良いと思う。
いつかは後輩達がそんな環境をより良くして、伏見工業のイメージを京都工学院に塗り替えて欲しい。と思ってます。

話を戻します。
夕暮れのグランドにワールドカップ仕様のランドローバーでロン毛の見た目怪しい奴が乗り付けてやって来た!
あいつ誰やねん…?
これが後輩達の印象だろう(笑)

現監督とコーチは知ってくれてるけど
僕は彼らの倍以上の歳、知ってる部員なんて誰もいない(笑)
練習も終わり最後にコーチが僕を紹介してくれて一言挨拶だけ。
部員達がタックルバックを車に積込みながら車をベタベタ触っていく(笑)
やっぱりワールドカップだからだろう(笑)
挨拶もそこそこに母校を後にしてホテルへ戻る。

ホテルに帰って遅めのディナーを摂りながら大津TCCのKさんと軽くミーティング。
明日は大津市の船上ウェルカムパーティーがある。
そして次戦まで少し間があくので明日は完全オフ。
そんな中、選手達からあれをしたい、これはどうすれば良い?、どこどこにはどうやって行くんだ?などの質問やリクエストが。
ここはコネの使い所。
ライフラインの携帯で兄貴に連絡してヘルプを求める。
明日の段取りは兄貴に任せて、最高の部屋で早めに寝るか!と3人でロビーを歩いてたら
ロビーど真ん中にあるバーで飲むアランに見つかってしまい、部屋に戻るつもりがカウンターに座ってしまっている…
ビールを頼みながら話が始まる

アラ「お前らどうや?もうこの仕事に慣れたか?」
ラ「はい、だいぶわかって来ました」
アラ「は?だからお前はダメなんだ。これ位でわかった口を聞くのは100年早い」
ラ「すいません!」(なんて言うのが正解やねん!)
アラ「まぁ最初に比べたらやっと動ける様になって来たのは確かや」
ラ「ありがとうございます」
アラ「お前に言ってるんちゃうわ、お前が1番あかん」
ラ「えぇー」
アラ「アレックもアホやけどまだ英語が1番話せるから使えるし、シューは真面目にやっとるけど、お前が1番アホや」
ラ「確かに仰る通りです…」(アホは関係ないやん…)
アラ「まぁでも最初はお前らホンマにすぐクビにしたろかと思ってたけど、なかなか3人でバランス取れてて謙虚やからええ」

実は最初からこのバランスは何となく出来ていた。
アホキャラは本望では無いけど、毎回会話でアランは僕をアホ呼ばわりしてイジってくる。
でもそれで会話が和むのだ。
僕は大人なので敢えてそうしてあげている。

アレ「アラン、ひとつ聞いて良いですか?何故リエゾンを3人でリクエストしたの?」
アラ「俺は今まで12年間このチームのマネージャーをしてきて、色んなツアーに行った。その中で5人とかチームに迎え入れた事があったけどやりにくかった。我々は国代表のラグビーチームとしてツアーしてるが、彼らやお前らは仕事でのツアーや。先ずチームメイトとしての繋がりが違う。
俺達は50人いても一つになれるが、仕事としての繋がりだとプライベートと仕事で繋がりが切れてしまう。そうなるとチームにも影響が出る。
だから少ない人数でチームとして迎え入れる為にそうしたんだ。
だから毎晩お前らを飲みにも誘ってるんやないか(笑)」
全「なるほど…」
アラ「今の所、お前らは良くやってる。仲も良さそうやし、下手に今までこの仕事をやってないから何事にも謙虚や。それが1番大事や、俺もいつもボーイズに言ってる」

確かに。ジャパンの #OneTeam 、スコットランドの #AsOne の様に、ウェールズには公言しているスローガンは無いが、コーチやリーダープレーヤーは事ある毎に #BeHumble (謙虚たれ)と言ってる。

アラ「このツアーが終わる頃、お前らにもわかると思う。俺達はもうファミリーなんや。このツアーが始まった時から、だから何でも言ってこい、俺達もお前らにも何でもしてやるしして欲しい事は言う」

確かに最初からズケズケと思った事を口にするし、やって当然の様に言ってくる。単なる頑固でわがままなおっさんでは無いようだ。

アラ「ウェールズではこういう話をする時は皆んな飲むんだ、わかったらとりあえず飲め」

いつもよりアランが勧めてくる酒が美味く感じた。

続く

後日談
結局借りたタックルバックはほとんど使っていないのだが
母校には大会終了後に選手全員のサイン入りジャージと部員数のサイン入りポスターを寄贈しました。(上智大学にあげたのと同じ)
少しは日本で開催されたRWCを身近に感じてくれてたら嬉しいな。

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