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短編小説【1】

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一話完結型。基本的にハッピーでないことが多いです。
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記事一覧

部屋はない

 アパートの中には、前に住んでいた住人の服やノート、たわいもないメモなどが残されている。…

6

旅のはじまり

 冬の厳しさを忘れてしまった旅人は一年中温暖なこの街で、以前まで持っていた研ぎ澄まされた…

8

 右腕は重力の向こう側へ連れ去られ、今にも引きちぎれそうであった。 それでも彼は必死に彼…

4

発電所

「馬鹿言うなよ、あれはただの発電所だろ。」  ついさっき屋台で買ったソーセージトーストの…

4

居場所

 水はもうなくなってしまった。帰り道は、歩けば歩くほど遠のいていくようだった。彼は、昔こ…

5

先生にはもう会えない

 高校時代、「オジサン」だと思っていた先生が、今思うと一体何歳だったのか、意外にも全く分…

12

夢の始末

 夢の中の出来事が現実となって彼を嘲笑うのは、もう彼にとって何の不思議もない、日々繰り返しの一部になっていた。朝起きて顔を洗い、昼になってサンドイッチを食べる。夕方にはややうとうとしながら仕事を終え、日が落ちた頃にまた家に帰る。  今日、帰り道にすれ違ったハイヒールの女性が躓いて、頭から派手に転んだのは、まさに夢で見た光景だった。彼は夢の中で彼女を助けることができなかったため、現実の彼もまた彼女を助けることはなかった。夢に逆らうとろくなことがないのを、彼はもうすでに知っていた

ライフ

 一体何が舞里の心をそんなに不快感で満たしているのか、照乃には分からなかった。  思い返…

5

集められた花

 それは大きな花束だった。彼女のために何百人もの人々が川を辿って山の奥まで足を運び、時に…

8

洗濯機と猫

 僕の家の洗濯機から猫が出てくる。僕が借りているアパートはたいした特徴もなく、相場にして…

4

朝が来ない

他人を見て苦しい気持ちになるのは、俺たちがまだまともに生きていけると どこかでまだ期待し…

2

仕切り

 雨が降り、土が薫る。明日の雨は昨日の雨とは違う。彼女は持ち上げかけた衝立てを降ろした。…

4

間柄

 彼はひとしきり笑ったあと、目の前の男はぴくりとも表情を変えていないことに気付き、慌てて…

3

家出

 見慣れない足跡を辿って歩いていると、随分住んでいた町から離れてしまった。長く続く線路は、少女が一度も乗った記憶のない電車のものだったし、踏切から仰ぎ見た信号機は黄色のままいつまでも点滅している。それでも少女は悲しくはなかった。何故かと言えば、どうしても少女は母の手伝いをしたくなかったからで、こうして夕方まで外にいれば、そもそも母に呼ばれることもないからだ。  この足跡は裏庭の小さな門から家の外へと続いていた。門を跨いだ様子がないところを見ると、どうやら家の中には入らなかった