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思うこと301

 真夏日に『人間小唄』(講談社/2010年)イッキ読み。町田康のエッセイは以前読んだことがある。それから何か小説も読んだ記憶があるが、何もタイトルが思い出せない。白いうねうねした紐のようなものが駐車場を漂っているよ、みたいなラストシーンだった気がする。あと、さざれ石の話もあったな、と思い出した所で、この断片的イメージ…こりゃあ短編集だな、と思い当たる。という訳でさっそく調べて見ると、『権現の踊り子』(〃/2003年)で間違いない!白い紐の話はおそらく「権現の踊り子」で、さざれ石は「矢細君のストーン」だ!町田康は全く読んでないなぁ、と日々猛省していたけれども、そう思うと全く触れていないわけでもないと分かり、少し安心。
 で、今回の『人間小唄』である。某テレビ番組で読書好き芸人の人たちがお勧めしていた、という結構ミーハーな理由で興味が湧き、代表作の『きれぎれ』を他所に、とりあえず図書館で借りた。途中昼寝を挟んだけれど、それ以外は一切の中断なく、文字通り駆け抜けて読了。とある文芸作家が謎の男(読者?の逆恨み、あるいは純粋な恨みによって)監禁され、脱出するには「俳句を作る」「ラーメンと餃子の店を作って繁盛させる」「暗殺」のいずれかを達成しなくてはならない、というので頑張る、というストーリー。話だけ説明しようとすると本当にただそれだけだし、それ以外に何も説明のしようがない、と言った感じ。途中、ラーメンだけなら良いが、同時に餃子を作るとなると行程が狂い、上手くやれず客に見離され四苦八苦する様子が、別に私が働いてるでもないのに何故か身につまされて「糺田さん…!!」と手に汗握ってしまった。(名前の読み方が明示されてないようなので、私は「ただた」さん、と呼んでいる。人によっては「きゅうだ」さんのようだ。)
 しかしながら読後の実感としては『権現の踊り子』の方が「驚き」は強かったように思う。でも没頭してバーーっと読めるということはそれだけ惹き付ける力があるのだし、まあなんかそもそも難しく考えながら読むもんじゃないと思うので、とにかく楽しかったです!!…と、バカみたいな感想を残し。

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