解説席から見た電脳灯争戦の風景、あと3cオムナスデッキの調整

みなさんこんにちは。
バーチャルPWの重寝 累花です。

先日無事に大盛況で幕を閉じたヒスブロ5人チーム対抗戦『電脳灯争戦』の準決勝・決勝の解説を務めさせていただきました。
まずはこの場を借りて改めて御礼申し上げます。

VPWとして活動しておきながら恥ずかしいことですが、私は喋るのがあまり得意な方ではありませんし、プレイングの手腕や言語化は特別優れているわけでもありません。
なのでより良い人員が増えればすぐに席を譲ろうと思っていますが、しかしヒスブロという混沌のフォーマットにおいて、唱えられたカードを素早く把握し解説する……ということはまだ私にもアドバンテージがある役職だろうとも思っています。
いや《屈辱》《化膿》を取り違えたり、フォーゴトンレルム探訪と真夜中の狩りをアイコン間違ったりしたのでまだまだだなぁ~とは思いつつでもあるのですけど……。

そんな私ではありますが、今回も主催の遊我さんより早い段階でお声がけをいただき、今回も解説+一部準備やイベントに携わりました。
レポートと呼べるものを書けるほど大したことはしていませんが、何かの参考、少なくとも読み物にはなるでしょう。
マスターチームで使用した《乱動の座、オムナス》の選択理由などもがっつり尺を取って紹介しますので、どうぞごゆるりとお付き合いくださいませ。

1.平和が一番、準備期間

さっそくですがだいぶ何もしていません
真名 結さん率いるぶりっつ!の交流戦や電脳ファイレクシア戦線などエキシビジョンについても実況解説はライラックさん、鳥ッ狩さんがスケジュール確保できそうなため特に触れずでした。(人が足りなさそうなら出ていくかなぐらいの心づもり)

もっとも、非常にスパンの長い企画であるにも関わらず、ヒストリック・ブロールにさほど大きな変更や問題点の発生がなかったので特に何も意見を上げる必要がなかっただけでも言えます。
準備~開催までの間に、ファイレクシア→機械兵団の進軍→決戦の後に→指輪物語と4つも大型セットが挟まっているにも関わらず、公式禁止カードも出ておらず、独自禁止にするほどのカードもありませんでした。

強い猿。でも猿一強になるほどヒスブロは脆いフォーマットではありません

ヒスアン7&エクアン3の急きょ追加もありましたが、既に統率者の提出も終わっておりこちらは全体アンケートの末に使用NGに。
というわけでご意見番になることもありませんでした。平和な証拠。

また、あえてやらなかったこととして「練習相手として使えることの打診」があります。
第2回では人数が多かったこともあり、「相手足りないときとか声かけていいですよ~」と言っていたのですが、今回は完全に沈黙していました。
一応所属しているはずのまっしろしろすけ(仮)さえ、禁止カードの確認と集合時間の連絡みたいなことしか口出ししていません。

というのも、第2回の交流戦やチーム練習・会議の様子を見て「チームで頑張っているのって青春だな……!」と思いまして。
ならば必要以上に口をはさむのは野暮というものです。
ヒスブロについて全く初心者のみで結成されているチームもなく、今回は後方腕組みに徹することにしました。そのほうが面白いからね。

2.ついに引っ張り出される。マスターチームの最終試練

もっとも、チームとして一切参加することなく美味しいところだけを持っていくなんて甘い所業がいつまでも許されるわけありません。
7月2日、チームの垣根を超えたチャレンジャーチームvs実力者4人+私のマスターチームによるエキシビジョンマッチ、最終試練が行われました。

勝てば「しかしきっと本選ではもっと力をつけて頑張ってくれるでしょう!」、負ければ「よくぞ乗り越えた! その力を存分に奮ってください!」といえる美味しい立場ではありますが、何の結果も伴っていないのに解説席の椅子をスカートで拭くのは無作法というもの。
重寝 累花、一世一代の頑張り物語がひそかに幕を開けました。

A.よし、相棒となる統率者を選ぼう

まず拘りとして、第3回電脳灯争戦まわりで誰も選んでいない統率者を使うという縛りを設けました。
既に8チーム40名が本選で使う統率者を提出済み、各種エキシビジョンも含めればより多くの統率者が既に登場しています。
加えて、電脳灯争戦特有の統率者の事前公開ルールも初体験。
それに適合した統率者選びをせねばなりません。

普段のフリープレイであれば《ゴアガッツ団の親分、ラッガドラッガ》《流城のルノ》をよく使っていま。
ただどちらも「次のターン動きますよ! いいですね! 除去を構えてガタガタ震える準備はOK?」構えを仕掛ける統率者で、事前にゲームレンジにあった除去や妨害を多数積まれるとだいぶ不利。
今回のルールではプレッシャーをかけることが難しくなってしまいます。

組んだうちで一番適性が近いのは《策謀の予見者、ラフィーン》ですが、こちらはぶりっつ! vs じょーくるほーぷす ~バ美肉タッチおじ~ のエキシビジョン、龍鬼戦にてお目見え済み。
指輪物語のカードがメインデッキに入れられるため、サムワイズコンボを仕込めるアトラクサ系や《死の頂点、ネスロイ》も考えましたが色気を出してコンボしない方がよさそうだな……とデッキ構築をすることなく断念。
……《軍団のまとめ役、ウィノータ》? たしかに散々擦ってますしフレンドリー・ブロールならフルパワーで使えますが、再調整フレンドリー・ブロールが出来るようになるまで封印と決めています。

だんだん皆が統率者を決めていく中(初めから決まっていた人もいましたが)最終的に私が選んだのは……

B.さあオムナス、ヒスブロの無法を見せてやれ

オッムナース!

《乱動の座、オムナス》(以下:3cオムナス)を選択
実は今まで彼(?)を統率者としてブロールデッキを組んだことは無く、今回の最終試練で使う候補に挙げて初めてデッキを組み始めました。
ポケモンとポケモントレーナーの如く、プレイヤーと統率者の組合せのエモさを強く推している電脳灯争戦。
しかし私はヒスブロ溺愛好家(※今回の二つ名)なので、様々なタイプを操ることもまたアイデンティティだと言い張ります
今日の私にとってのチョロネコ、ゾロアーク、あるいはゼクロム。
それが3cオムナスです。

迷った末に3cオムナスを選んだ理由は以下の4つです。

①色が多く、取れるゲームレンジも広い
打ち消しに加えて、《時間のねじれ》《川の叱責》など一気にゲームを変える呪文を使える青。
マナ加速で差をつけろ。先手後手ひっくり返しつつ、《長老ガーガロス》など追加の脅威も万全の緑。
軽量火力にアーティファクト破壊。《希望の標、チャンドラ》などプレインズウォーカーの質も高い赤。
高タフネスを処理することだけは少し苦手ですが、ゲームの速度に関わらず一定のクオリティを出すことが出来ます。

②後半戦にめっぽう強く、序盤もある程度活かせる統率者である
私はヒスブロのデッキを組む時、「統率者をいつ出したいのか?」ということを明確に意識するようにしています。
何も考えず強いカードを詰め込むと4~5マナ域が溢れてアクション数を増やせず、もっさりしたデッキになる癖があるためです。
3cオムナスは「7枚土地があり、オムナス着地→土地セットで即ドローして打消しや除去を構える」、または「マナ加速から3ターン目着地で、相手のマナクリを焼いてマナ差をつける」が初回唱えるときの理想のタイミングだと思っています。
最速着地に拘る必要がなく、中盤に妨害を構える余裕が十分あり、後半手札リソースを回復していくことが自然と狙えるのは、今回のルールにおいても有用であると考えました

・派手である
とても大事です。配信だし。
やや脆いですが《ディスプレイサーの仔猫》+《タミヨウ》+《時間のねじれ》の無限ターンも狙える構成にしました。

・戦略を誤認させられる可能性がある統率者である
最終試練の試練要素です。
電脳灯争戦は事前公開された統率者を見てのメタを組むことが出来ますが、それは対戦相手が組むデッキを正しく予想してこそです。
もし「エレメンタルを並べる部族デッキだろう! 部族対策をいっぱい入れよう」とか、「とにかく大量に土地を出すデブランプだろう! 重い呪文だけ打ち消せばいいや」といった勘違いが発生すれば対戦相手のデッキは歪み、こちらに有利に働きます。
チャレンジャーチームも歴戦のプレイヤー揃いなのでここで禁忌肢を選んで落第することは無いだろうと思ってはおりました。
しかし、まさか間違えるまいな? という悪役感情がなかったとは言い切れません。
よって立派な理由の1つです。

C.型破りを考慮する。ゆえに型をつくる

当然持ち込むからにはそれ相応の信頼、そしてデッキをチューンする上での基本型を作らなければいけません。
対戦相手に合わせた型破りをしたいならまず型を作る。
そうでなければ、ただの「型無し」です。
出来上がったものがこちら。

マナ加速! 打消し! ドロソと追加ターン!
最終的になんやかんやアドバンテージ差が止まらなくて勝つ、パワカだらけの寄せ集めミッド~ランプです。
フィニッシャーの枚数はかなり絞りました。
M20の6マナチャンドラもコーマも、大好きなカードである《愛用呪文》でさえ抜けました。
オムナスがドローできるのは土地8枚を達成した後の話ですから、6マナ目一生引けないゲームなんかでは頼りになりません。
もっとマナクリや《爆発的植生》系のランパンを積んでいればフィニッシャーを増量できますが、その枠をカウンターとコンボパーツに割いているためこれが今回の構築のギリギリです。

エターリのような当たりの多いランプや、マナクリをブロッカーにすることを余儀なくされるアグロ相手には不利ですが、それでもフリプ6割ぐらいは勝てるからまぁ諦めてこれで行くか……ぐらいの気持ちで提出しました。

D.オムナス、《碑出告と開璃》と争う

マッチングが発表され、私とオムナスの相手は天紅龍さんが使う《碑出告と開璃》に決定しました。

スタンダードでも活躍した名コンビ

今回は青黒のカードしか積めないので《爆発的特異性》はありません。
仮に採用できても1枚ですし、初期ライフ25なのでワンショットキルはできないのでそこはどうでもよかったりします。

ではヒスブロにおける彼らの一番強い動きは何かというと

リアニメイトで《碑出告と開璃》を釣り続け、そして死亡させ続ける動きですね。下手な除去は意味をなさず、黒のリアニ呪文は5マナ程度のものが多いのでライフを詰めるスピードも速いです。
これだけは絶対阻止しなければなりません。
チームメイトとも調整し、持ち込んだデッキがこちら。

そんなに変わってないですね。
打消しや除去、フィニッシャーの総数自体を弄るとデッキが崩壊するため、《抹消する稲妻》など追放火力、戦場に出る際に無力化する《神秘の反射》などデッキパワーを落とすことなく採用できるカードでメタってます。
代わりに抜いたのは強いですが絶対に出す暇のない《水底のドルイド、タトヨヴァ》や、マナクリ+マナファクト二面焼きを期待できない《プリズマリの命令》などです。
結果的に5マナ域が《時間のねじれ》《呪文詐欺》の2枚だけとなり、一躍《同族の否定》が最強のメタカードと化しました。
だいぶ偶然なのですが、試合の行方を左右することとなります。

自分の強い動きを押し付ける軸は変わらず、それはそれとして《碑出告と開璃》は着地させないし、着地しても追放除去で焼くというプランを取っています。
もちろん裏目はあり、一番恐れていたのは《ヘンリカ・ダムナティ》《砂漠滅ぼし、イムリス》など骨太の飛行戦力を大量に採用したデブミッドレンジを使われることです。除去の枚数が足りない。

かくして最終調整を終え、あとは当日を待つばかり。
実況のライラックさんから学会発表のようだったと言われたチーム調整については、きっとまた誰かが語ってくれることでしょう。

E.これはちょっとやりすぎたかもしれん

↑ライラックさんの総合配信

だいぶドブンムーブでした。
無法の限りを尽くしていますが《秘儀の印鑑》設置をぎりぎりまでステイしてくれたチームのおかげです。一手足りていなければ普通に負けてました。
やりたいことやったもん勝ちのヒスブロを叩きつけ、無事に解説席に座る権利を得られます。

3.かくしてついに開幕す

そして最後のエキシビジョンも終わり、ついに本選が開幕する……のですが、予選期間はコメント欄で「あらそえ~」と煽る以外は特に何もしていません
第二回はTwitterで全統率者の解説と全マッチアップの一言解説をしていましたが、今回は決勝までお預けです。
やろうと思っていたのですがスケジュールが少々厳しく、雑にやるくらいならと今回はやらないことにしました。
ツイートは鳥ッ狩さんが担当してくれてたのでいいとしましょう。

ライラックさんと鳥ッ狩さんのやり取りのバランス良いな……私は頑張れるかな……(※まっしろしろすけ(仮)が勝ち上がるかどうかで実況の相方が変わるのもあり予想がつかない)と戦々恐々としつつ楽しんでみてました。
あらそえ~。やっつけろ~。

そしてやってきた準決勝・決勝は……まぁ実物をみてくださいませ。

すごい面白い分かりやすい解説! といったものができるとは最初から思っていないので、沈黙をできるだけ作らないカード名をできるだけ日本語で読み上げるぐらいの目標で頑張りました。

電脳灯争戦はどうしてもチームで相談して思考時間が長くなる傾向があり、うっかりしていると総合配信で話すネタが尽きてしまいます。
全力で頭をフル回転させて、取れるであろう選択肢に触れていくことを心がけました。

カード名についてはMO村居住歴があるのもあり、英語名を知っているカードは英語名で読む癖がついてしまっています。
伝わる人には伝わるでしょうが、色んな層が見ていることを考えると必ずしも適切とは限りません。
ホビー漫画の怪しい外国人になりかけたり、勢い余ってドゥームズデイ(ドゥームズデイではない)はドゥームズデイと呼んでましたがなんとか目標レベルには達していたと考えています。

話のワンセンテンスが長すぎて遊我さんとエイドさんの尺を奪ってしまったので、話しすぎないようにのバランス調整は次回以降の目標ですね。

4.結論:解説席のソファはふかふか

あらためて書くとオムナスの話以外はだいぶ文量少ないですね。
遊我さんをはじめ運営陣の奮闘、そして参加者の皆さんがとても意欲的かつ協力的だったことで、大きなトラブルなく進んだゆえかと思います。
そう考えるととても素晴らしいことです。
いやもっと手伝えることなかったんかと言われればその通りなんですが

私はコミュニケーションを深めることが苦手で、声がけしてチームを結成するぞ~なんてことは特に苦手です。できそうにないです。
そんな感じの存在にも関わらず、こういった大人数が関わる企画に携わらせていただけるのは本当に幸運で、良い機会に恵まれたと思っています。
願わくば、私をこのふかふかの特等席から引きずり降ろせるほどVPWの集いが、ヒスブロというフォーマットが盛り上がることを期待しています。

それでは、またヒスブロの争いの場で会いましょう。

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