ぐるんぐるんぐるんぐるん

今日の1000字。

こんばんは、少女Aです。
北海道札幌市にある繁華街ススキノで
夜職をしながら細々と暮らしています。

こんなはずではなかったのに。
もう、この生活をはじめてから、
結構の年月が過ぎ去っていきました。
まだまだ若いと思っているけど(ほんとに)
首のシワや肌のたるみが気になり始めました。
カラダは年齢と共に熟れているようです。
どうしましょう… 老いは、こわいです。

歳をとるごとにわたしのココロは、
子供に戻っていっている気がします。
大抵のことは分別がつくのでオトナだけど、
ただ無垢でいることに強い憧れがあります。
その思想が今日のわたしを支配しています。
もう手に入らない処女を望んでいるのです。

そんな無垢を願うわたしの中には、
魔女のような、もう一人のアタシがいて。
カラダはひとつなのに、
ココロの器は2つあるみたいで、
それが、とても、こわいんです。

夜職をしている時は、
源氏名という特別な名前があるからか、
まるで自分じゃないみたいに振る舞えます。

自分の中にいる別の人格が、
毎日をどんどん進めていってしまう。
人付き合いもうまくこなすし、
ヒトを喜ばせることも得意。
女の子で生まれたことに
喜びを感じているようです。

綺麗なワンピースを着て、
お化粧やヘアスタイルにもこだわりを持ち、
シャネルの香水や白いパンプスを身に付ける。ネイルした爪先や、まつげ一本一本まで
神経が通っているようなヒトでいられる。
なんかそこそこイイ感じのオンナになってる。

…そんな別の人格が、
わたしのカラダやココロを乗っ取って、
マリオネットのように踊らせているんです。
「アタシはうまく生きるの。あんたみたいな辛気臭いオンナに、人生を委ねてらんないのよ」
と、言われているような気がするんです。

もはや8割くらい乗っ取られているけど、
カラダはひとつしかないので、
うまく共存しながら生きていくしかないのです

彼女は、オンナを存分に堪能するので、
毎晩毎晩…無垢ではなくなってしまいます。
でも彼女のおかげで人並みの生活を暮らせているような気もするので、わたしがうまく生きていけない部分は、任せてしまっている事実。

これは全て妄想?
アタシなど居ないのでしょうか?
すべて、わたしなのでしょうか?

毎晩カラダを傷付けていたのも、
汚していたのも、わたしなのでしょうか?

神様、わたしは怖いのです。
ニンゲンは汚れています。
無垢でいたいのです。

無垢でいたい!無垢でいたい!無垢でいたい!

わたしがアタシに全てを支配される前に、
わたしがいた事実を、書き残させて下さい。

わたしはたくさんの嘘を塗り重ねてきました。

本当や正義は、救ってくれません。
世の中そんな甘くありません。
ヒーローより悪役のセリフが心に響くし
自分ひとり立たせるには脳すらも騙して、
勝手に理屈つけて、それを信じ込まないと
やっていられないのです。

嘘を繰り返して、嘘を塗り重ねて、
嘘すらも信じて、本当にしてきた。

だからわたし、
それの本物になろうと思ってるんです。


夢があって。
いつか、子供をひとり産みたいです。

そして、
処女膜再生手術を受ける。

その先の人生は
処女として生きていきたいです。
どうか、どうか…………。

ああああああああああ!
今夜も!アタシに乗っ取られる!

わああああああああああああああああ
ぐるんぐるんぐるんぐるんぐるんぐるん

少女A


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