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そっちからとあっちから

わたしの住むアパートは、線路の隣にある。
線路が北を東西に、アパートが南にぽつとある。

アパートは線路側に外廊下があって、玄関、キッチン、寝室、作業部屋、ベランダ、外
と言った具合に南側へと続いている。


せっかちな引っ越し業者さんに、「俺はここ無理だよ〜」といわれるように、かなり頻繁に電車が通過する。

しかも、アパートを出たらすぐに踏み切りだから、カンカンという音も聞こえる。


キッチンと寝室の間の扉を閉めると、ほとんど聞こえなくなって、部屋の中はしんとなる。

あれ、聞こえないなあと思ったら、そのとたんにゴーゴーと電車の通過する音が聞こえてくる(気がしている)

でも、ぼーっとしてると聞こえてこない

だから案外平気で、ここに住めるなあ、と思ってここに決めた


最近、とっても天気が良くて、晴れた日は南側の窓を開けて外を眺めたりしてる。

周りのうちは二階建てがほとんどで、アパートの三階のわたしの部屋からは割と向こうのほうまで見えて気持ちいい。

一日中、光が入ってきて明るい。
だから、晴れの日と曇りの日でだいぶ部屋の中の空気が変わって、わたしも変わってしまうから大変だ。


だいたいうちにいるときは作業部屋にいて、台所の扉を閉めている。

今日も天気がいい

窓を開けながら作業をする。

カンカンカンカン
ゴーゴー ゴー ゴーゴー

開けた南の窓から聞こえる。
外の車の音や風の音と同じ方から聞こえてくる。


そのときふと、ここは線路の隣じゃなくて、中かもしれないって


まだ線路の音が360度にある場所なんだ。


線路はずーっと続くけど、私はその中にいて、部屋を中心にして360度を感じている。

線路の周りにまん丸が沢山あるって想像したら、葡萄が浮かんだ。

ピオーネよりもマスカット、半透明で、カワがサクッとして中がぷりっと

あれ、よくわからなくなっちゃった


でも、北側にあるはずの線路の音が、南側から聞こえること、それが素敵でたまらない


北側から聞こえると、なんだかちょっと騒音という感じなんだけど、

南側から聞こえるその音は、環境音みたいな、他の音と変わらない、そこにある音に感じる。

いつもより少し遠くでなっているような、ぼやあっとした音。でも、近さを感じさせる硬さもある。

南側に大きなビルがあるわけでもないのに、いろんな家に反射して、ここら辺を電車の音が対流してるのかもしれない。

漂流、漂泊、そんな感じ


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横浜のみなとみらいらへんにあるエクセルシオールの音

天井がすごく高い6メートルくらいあるような気がする

店内でかかる朗らかな音楽と、コーヒーの豆を挽く音、人々の話し声、コツコツとなる足音が、一旦高い天井に当たって、落ちてきて、ぽわんと床に落ちたところに私がいるような感じ

甲高い音もぽわぽわと届く