On her shoulders

On her shouldersというドキュメンタリーを1年ほど前に見た。2014年、Yazidiという民族宗教を信仰するクルド人が、ISIL(イスラム過激派組織)に大量虐殺される事件が起きる。女性たちは拉致され性奴隷として囚われ、今でも3000人以上が行方不明のまま。そんな中、ナディア・ムラドという女性が、脱出に成功し、民族解放のため動き出す。ドキュメンタリーはナディアのを追ったものだった。現在25、6歳だから、活動を始めた頃は弱冠21、2歳になる。メディアが執拗に、囚われた生活の詳細を(特に性奴隷の扱いに関して)インタビューする合間、彼女はひたすら民族救済への手助けを訴えていた。今現在も、Yazidi民族は一縷の希望をかけて、ナディアに全てを託している。
今年7月19日、彼女はトランプ米大統領に面会し、救済への手助けを働きかけるが、成果はあまり期待できない。家族が虐殺された話をした直後に、トランプ大統領に「それで、その人たちはどこにいるの?」と聞き返される。彼女が「Sinjar(Yazidiの故郷)で虐殺されたのです。」と繰り返すと、彼は「あぁ、その地域のことはよく知っているよ。」と答える。(本当だろうか。)彼の関心の的は、民族救済よりも、ノーベル平和賞獲得だったようだ。彼がノーベル平和賞を狙っていることは日本のニュースでも取り扱われていたように思う。部屋を去りかけたナディアに、彼は言う。「君はそれでノーベル賞を受賞したの、信じられないね。いったいどんな理由で?」
その前日、A$APロッキーがスウェーデンにて暴力沙汰で逮捕された件に関し、カニエ・ウェストとキム・カーダシアンはトランプ大統領に助力を願い、トランプ大統領は政府の力を使っての働きかけを約束する。
トランプ大統領は数日後ツイッター上でスウェーデン首相と電話会談し、A$APロッキーが公正に扱われる保障を得た、と発表した。彼の保釈金を個人保障することまで確約して。その数時間後、スウェーデン政府は、トランプ大統領と話をしたことを認めた上で、司法制度は完全に独立しており、政府が介入することはない、と公式発表した。(そりゃそうだ。)
7月30日、A$APロッキーの裁判が始まり、彼は正当防衛を理由に無罪を主張。今後の発展が気になると言いたいところだけれど、個人的にはA$APロッキー自体を知らないし、単純に公正な裁判が行われることだけを願う。スウェーデンに今後行くのをやめる、と公式発表したアーティストたちよ、本当に行くなよ。
同じような名前のラッパーで言えば、A$APロッキーではなく、Aesop Rockがタイプ。
P.S. つい先ほど、トランプ大統領が、私ほど人種差別から程遠い人間はいない、というような発言をしたらしい。彼が非白人野党女性議員たちに、母国へ帰ったらどうだ、と発言したのはたった1週間ほど前(その的となった女性議員たちの多くはアメリカ生まれ。)。彼が大統領なこと自体がもはやアメリカンジョークなのかもしれない。

#トランプ大統領 #選挙 #ナディア #Yazidi #A $APロッキー #アメリカ #スウェーデン #ノーベル平和賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?