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季節

私は高校が大嫌いだったけど、それでも卒業する前は どこか切ない気分を抱えていた。

卒業したら、苦手な女の子たちの大きな笑い声とか、チャラチャラした男たちから距離を置けるのはこの上なく嬉しいことだった。

だけど、そんな廃れた校舎にいた僅かな友人に長らく会えなくなるのはとても悲しいことだと思った。


帰り道、駅まで歩きながら、あんだけ嫌やったのに、いざ卒業するってなると寂しいもんやね~と友人に言ったら、そんな悲しみすぐに忘れるってと笑いながら返された。

人生の浮き沈みをグラフで表現してみたとき、沈んでいるところは大概人間関係の問題で頭を抱えてたはずなのだけど、いまいち何で悩んでいたのかが思い出せない。

そんなことより忙しすぎる。
頭のなかで佐藤伸治が嘲笑うように 忙しくて会えないねえ と歌っている。


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