見出し画像

ボランティアをする側も、募集する側も今一度ちゃんと考えて、いいイベントに

スポーツイベントのボランティアについて、色々思うことがある。先日のオリンピック・パラリンピックの一連の騒動で、ボランティアの辞退者が出てこと。これはとてもとても真っ当なことだ、と感じています。辞退して当然、的な気持ちが私にもあります。(しなかった人を避難するものでもないことをご理解ください。)

私はスポーツボランティアに関わる仕事(正確には仕事以外でも関わっている)を15年くらいしています。
1つは2005年から始めたPARACUP〜世界の子どもたちに贈るRUN〜という運営が完全ボランティア(無給スタッフ)でやっているイベントでのスポーツボランティアとの関わり。

もう1つは10年ほど勤めた、日本で一番大きなマラソンイベントでのボランティア運営。毎年約1万人のボランティアい協力いただいておりました。

そんな経験から、様々な行政やスポーツイベント主催者からご相談を受けることがあります。また、これからスポーツボランティアを始めようという方向けに講演するような機会もあります。

私がその中で一番大切だなと思ってきたことを、書いてみたいと思います。

ここ10年くらい、日本はマラソンブームで、全国各地、主要都市で大規模なマラソン大会が生まれ、継続されています。運営する上で主催者が頭を悩ますのがボランティアの募集、管理、運営だそうです。そもそもボランティアは無償で本当に集まってくれるのだろうか?集まってくれたはいいけど、ちゃんと動いてくれるのだろうか?無責任なことはしないだろうか?といった悩みが大半です。

そこでいつも必ず問いかけることは
「なぜ、イベントでボランティアを活用しようと思ったのですか?」
ということ。

ほとんどのイベントがボランティアを使って運営しているから、右へ倣えで活用することを選んでいませんか?

人件費の予算が足りないからと安易にコスト削減になると思って考えていませんか?
ということ。

この話をするにあたり、ちょっとだけ私たちが自主運営でやってきた大会のことを書かせてください。

PARACUP〜世界の子どもたちに贈るRUN〜というチャリティーランニング大会を2005年から15年間やっていました。フィリピンの児童養護施設の子供達の教育資金サポートのためのファンドレイズとして始めたこの大会。2回目からはフィリピンだけではなく、アジアを中心とし、世界で支援を必要とする子どもたちへチャリティーをする大会になりました。

1回目は参加者400名、支えてくださったボランティア50名で約100万円を寄付することができました。確かその時は一人あたり参加費3500円だったので収入140万円。だから支出は40万円だったんでしょう。色々切り詰めて100万円を寄付に回しました。大会を運営するには、当日受付したり、給水したり交通整理したり、人手がどうしても必要になります。コアな運営スタッフは20名くらいしかいなかったので、(コアメンバーも無償のボランティア)友人たちに声をかけてさらにボランティアで50名ほどに関わっていただきました。

このイベントの主旨はイベントの参加費を寄付に回すこと。その寄付はアジアで支援を必要としてる人たちに届けること。そのためにはできる限り支出を少なくして寄付を多く集めたい(無理にコスト削減して安全性を損なうことはなく)なので、その主旨に賛同してくださった方が主にボランティアに来てくださいました。1日ボランティアでイベントに参加することで、子供達の支援につながるのなら。そういった動機で参加している人がほとんどでした。回を重ねるごとに、ボランティアで参加することが楽しいとか、大会での出会いあって面白いという動機の人も出てきましたが、基本は団体の活動の主旨に賛同してくれている人がほとんどでした。

私、この考え方が基本中の基本って思っているんですよね。じゃなきゃなんで無償で手伝う必要があるのでしょうか。

だから行政の方々には「これから開催するイベントにどうしてボランティアを活用しようとしてるのか?」よく考えてください、とお話しします。賛同してもらえるようなビジョンがあるのか。「それだったら手伝いましょう!」と思ってもらえるような理念があるのか?たとえ、コストの面でだったとしても、ボランティアの方が関わるからこそ作れる素晴らしいイベントってあるもんです。そのビジョンを担当の方が描いて作っていないと、参加する方は、「ただの無償の小間使いかよ」と感じ取ってしまいます。

以前関わっていた大規模イベントの時は、当たり前ですが運営スタッフはみんな給料をもらっていました。だからボランティアを活用する意味をどこに持っていくか?それはトップの方も交えて、このイベントは走る人だけのものっていう発信ではダメですということで話をさせていただき「支える誇り」支える人こそも主役で、楽しむお祭りなんだ!ということで、その言葉を入れてもらいました。こうすることで、主催者全体が、ボランティアスタッフをただの無償のスタッフではなく、参加していただく大事な人たちという意識が芽生えます。もし軽んじているスタッフがいたら「それは違う!」ということができるのです。

大規模イベントの第1回目は本当に大変でマスコミからボランティア運営を叩かれたこともありました。運営が悪いのであってボランティアが悪いわけじゃない。それなのに、ボランティアの方にとてもしんどい思いをさせてしまったことがあります。それ以降、トップの方と話す機会があった時に「何か必要なことはあるか?」と聞かれ「縁の下でずっと支えてくれている方々、ちゃんと主催者を代表してお礼をいって欲しいです」とお願いしたことがあります。その時のトップの方は、その言葉をちゃんと受け止めてくださり、忙しいスケジュールをぬって、毎年ちゃんと直接ボランティアにお礼を言いに来てくださいました。(関係各所や秘書の方には相当ご苦労かけたと思いますし、大変だったと思います)

何が言いたいかと言うと、オリンピック・パラリンピックくらい大きなイベントになっても、やっぱり主催者は全員が一致してボランティアとして参加してくださる方々を軽んじてはいけないし、感謝をしなくてはいけないと思うのです。今回の騒動は直接ボランティアがどうと言うことではありませんでしたが、あの発言によって、その価値観、姿勢など、協力するに値しないとがっかりした人が多数いたんじゃないかと思うのです。

ボランティアを担当してる部署、担当の方々もとても辛かったと想像します。担当の方々はきっと熱い想いを持ってここまで準備をし、作ってこられたと思うからです。

これからボランティアを始めようとする方にもいつも伝えていることがあります。参加しようとしているイベントは主催者のコスト削減だけのための招集なのか?ご自身がイベントの主旨やそれに関わる方々い協力したいと思えるかどうか?そこをちゃんと見てください、と。

コロナやら、色々と問題もたくさんありますが、いい形で素晴らしいイベントになったらいいな、と願うばかりです。


サポートありがとうございます。励みになります♪