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誕生日の散歩

はじめての投稿ではありますが・・・
今日(6月29日)が誕生日なので、自己紹介がわりに
誕生日の散歩経験をエッセイにしてみました。

【誕生日の散歩】

愛用の日傘をさして外に出た。
暑い日ではあるけれど、風を感じられれば苦にはならず、家にいるよりは気分も晴れる。

日陰の青いアジサイ

5分ほどで青いアジサイに出逢う。フェンスの内側で5本ほどの仲間と共に日陰で涼しそうにしている。「多くの仲間は日光に晒されてこんな晴れた日には喉もカラカラなんだ。だが、おれ達はうまくやってるぜ」とでも言いたげである。

次に出逢ったのはガクアジサイ、と思ったが、近寄ってみると額の部分の花びらが多い。「あれ、この花は何だろう」。ガクアジサイの花びらは確か4枚のはず。

八重のガクアジサイ

今は便利な時代になったものだ。分からないことはネットでその場で調べることができる。そうか。八重のガクアジサイというのがあることを初めて知った。数色が混在している。風が吹いてきて、ピンクの花びらに挨拶された。「どうぞお見知りおきを!」

再び歩き出すと、私の眼はアジサイを探している。ここまで来ると、これはもう散策とは呼べない。目的ある散歩に変わっていた。

カシワバアジサイ

角地に円錐状に房をつけた花があった。葉っぱもアジサイとは別のカタチで、柏餅の葉っぱに近い。アジサイとは違うから、と通り過ぎようとした。しかし、気になってこれもネット検索に頼ってみると、なんとカシワバアジサイという、れっきとした仲間であった。まさに葉の形が名前になっていた。この花からは文句を言われた。「あなた、シカトして通り過ぎようとしたでしょ!」

ヒマワリみたいなアジサイ

陽があたる場所で元気に咲いているアジサイがいた。色はほとんど白だが、少し前はピンクであったろうことを想像させる。アジサイの別名は「七変化」とも言うそうなので、ピンクの前は紫だったかもしれない。

しかし、このアジサイは日焼けして色が抜けたのかと思わせる場所に咲いている。最初に逢った日陰に咲く青い連中に言わせれば、喉がカラカラなはずのアジサイなのだ。

アジサイが活き活きと美しく映えるのは雨の日である。だからこそ梅雨の季節に似合う花のはず。けれど、この色抜けしたアジサイはまるでヒマワリのようにスックと立っている。「わたしは場所に負けないの。どんな環境でも最後まで生きてみせるわ」と。

わたしは今日で還暦プラス14歳になった。色抜けしたアジサイは私そのもの。逢うべくして今日という日に逢えた気がしてならない。


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