消えたたこ。
小学生のころ、
漢字を書くのが大好きで、授業中のノートを取るのが好きだった。
歌詞を書きながら思いを馳せるのが好きで、よく流行りの歌詞を書いていた。
ある日、右手の薬指にたこができた。
たこができたのは、筆圧が強いから。
薬指にできたのは、鉛筆の持ち方が悪いから。
ちょっと硬くて、シャーペンを指しても痛くない。
それなのに、たまに鉛筆を使いすぎると痛くなる。
そんなたこを触ると心が自然と落ち着いた。
小学生の私は年月を重ね、20代。
薬指のたこはもういない。
鉛筆の持ち方を変えた日から、薬指のたこはどんどん柔らかくなった。
今はもうほかの指と変わらない。
「昔のことは忘れたよ。」
そう涼しげに薬指は佇んでいる。
中指のたこの存在を知ってか知らずか。
中指のたこにはこれからもお世話になる。
ずっと。ずっと。
これからもよろしくね。たこ。
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