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政策を創るためにも、事業を創るためにも、生活者観察が必要な、時代に。

今日も、通勤電車で、生活者観察していました

 私は、以前大手企業のデジタル・マーケッターでした。2000年頃の私たちの注目は、電車の中で、生活者が見ているメディアの変化でした。2000年くらいには、まだ混雑している電車で新聞を読んでいるサラリーマンが多数いて、その新聞を読むマナーについて、テレビなどで取り上げられたこともありました。

 そして、女性は会社からの帰りには、女性雑誌を広げていたのですが、2000年頃から、その新聞や雑誌を広げている生活者が減り始めたのです。携帯電話を見る人、携帯音楽プレーヤーを聞く人、ポータブルゲーム機を広げる人など、今までと異なる行動が出始めたのです。

 私は、デジタル・マーケッターとして、実は通勤途中に出会う周りの乗客の方の観察をする習慣が、この頃から染みつきました。

 皆さんも、少し周りの乗客の方を観察してみてください。実に、多くの行動が見られるはずです。紙の新聞を開いている方もいます。タブレットでPDF版の新聞を見ている方もいます。スマートフォンで電子版の新聞を見ている人もいます。そして、このひとエリート・サラリーマンではと思う方が、ゲームをしていたり、中には大きな文字の画面で、昨日の会食のお礼を打っている方もいます。

 今の時代は、このように「多様性の時代」です。この「多様性の時代」だからこそ、政策を考えるにしても、新規事業をするにしても、生活者観察が必要なのです。

10月の増税する消費税の「外食」「中食」の区分の混乱

 この記事は、実に良い視点で、生活者の観察を行っている記事です。フードデリバリーで、ホテルで食事を食べたら、「外食」「中食」と聞いているのである。

 きっと、政策を創るときに、生活者観察をあまりしなかったのではないだろうか。

 今年の4月のお花見では、この「ウーバーイーツ(UberEATS)」が、お花見会場にデリバリーをするサービスを行っていた。つまり、お花見をしている公園に届けてもらえたのである。これは、今回の消費税の区分では、「外食」には当たらないのであろう。しかし、このような区分、生活者からするととても分かりにくい。

 もっと、政策を創るときに、多様な国民の生活の観察を行い、議論を行って欲しいと願うばかりである。

同じことは企業にも

 この消費税の混乱に近いことは、企業の事業でも起きている。「多様性の時代」になり、私たちは生活者の行動の理由を捉えにくくなっているのである。

 例えば、この事例で出てくる、フードデリバリーであるが、実は以前の「出前」とは似ていて、異なるサービスである。ということは、単に出前のサービスとして利用している生活者もいれば、別な理由で使っている生活者がいるのである。

 この記事の中でも、「お金の支払いの便利さ」や「きちんとした料理」、「利便性」などさまざまな理由を捉えて書いてある。おそらく、お客様ごとに、フードデリバリー・サービスを頼む理由が異なるのであろう。

 生活者ごとに、ニーズが異なる。これこそが、「多様性の時代」の重要な点であり、企業で事業を考える時には、どのような生活者向けの事業か?そして、そのグループの事業を求めている理由を、明確にするというアプローチが求められているのである。

まずは、観察・体験

 多くの企業が、「第4次産業革命」「Society 5.0」時代でも生き残るために、「イノベーション」を求めている。もちろん、それは重要である。そして、それとともに大事なのは、私たちに起きている変化、つまり生活者の「多様性」の理解である。

 この記事を読んだ後の、電車で周りを観察してみて欲しい。実に多様な行動が目に飛び込むはずだ。そして、そこからヒントが得られるかもしれない。


#COMEMO #NIKKEI

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