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おっぱい戦争第二幕。ワンオペ断乳

娘と私の「おっぱい戦争」第一幕は、今から1年以上前。帝王切開で麻酔を差した穴から髄液が漏れ出るという事態に陥り、生まれてすぐに哺乳瓶に慣れてしまった娘は、母乳が飲めなかった。そのままミルクにすればよかったのだけど、母乳は出るし、胸も張って痛かったので、約100日間、戦った。

結果的に、娘は母乳を飲めるようになった。それどころか、もう3食しっかり食べて栄養的に母乳が必要でなくなってからも、添い乳で寝て夜中も何度もおっぱいを求めて起きて、日中も事あるごとにおっぱいに吸い付く「おっぱい星人」と化した。娘にとってのおっぱいは、「精神安定剤」であり「睡眠導入剤」。おっぱいなしの生活は考えられない!という感じだった。

それでも1歳を超えた頃から私は「断乳」を考え始めていた。その理由としては、まず歯が当たって乳首が痛い。次に、授乳中は、薬やカフェイン、お酒は控えなければいけない。緑茶も珈琲もお酒も好きなので、(多少は飲んでいたけれど)そろそろ気にせずがっつり飲みたい! 外出先でも服を捲り上げて人目を憚らずおっぱいに向かってくるもの気になる。さらに、添い乳だと寝かしつけは私がやらなければならず、夫と平等に育児ができない。そもそも、夫もミルクで育っているし、母乳で育てなきゃという思いもない。

年末年始、夫が家にいる間、私は約2年ぶりくらいに友人と飲みに行く予定をいれていたので、それを機に断乳を試みたけれど、あっさり失敗。娘は2時間ほど泣き叫んでいたらしく、一旦は寝たものの、私が帰ってきて目覚めてからは、「乳出せや〜!」と言わんばかりに胸ぐらを掴んで駄々をこねた。その日は飲酒をしていたので、授乳はせずになんとか乗り切ったけれど、翌日、全身全霊で乳を求める娘を前に私の心が折れて、結局授乳を再開してしまった。

「親都合」の理由であるし、そんなに求めてくれるなら、無理にやめる必要はないか。WHOも2歳までは飲ませた方がいいって言っているし。という感じで、断乳の決意は揺らいでいた。

一方、乳なしの夜を経験した娘は、それまで以上におっぱいに執着するように。朝起きたらまずおっぱい、保育園から帰ってきたらおっぱい、お風呂でもおっぱい、夜寝ながらおっぱい、夜中も2回ほど起きておっぱい。夫が強制休暇=育休中だというのに、娘は隙あらばおっぱいに向かってくるので、夫もちょっと寂しそう。私と夫の差はおっぱいがあるかどうかだけなんだよな。やっぱりこの差、早く、埋めたいな。

しかも、以前にも増して乳首が痛い。歯がより丈夫になって、娘も執着しているからか、噛まれて歯型がついている!添い乳をしながら握りこぶしで耐える日々。「痛いー!」と叫んで娘を引き離したこともある。たまに途中で立ち上がったり体をくねらせたりするから、乳首が引っ張られて痛い。薄くて鋭い爪で乳房も引っ掻かれ、我がおっぱいは傷だらけに。私にとって授乳が“苦痛”になり始めてもいた。

そんな中、ある週末、奇跡的に親も子も同級生の4組でお泊まり会をする”大家族ごっこ”をした。Uber eatでタイ料理を頼み、もうみんな断乳or卒乳をしているので、大人はお酒、子どもと私は麦茶で乾杯!(飲みたい…)私は添い乳で、みんなはトントンで子たちを寝かしつけてから、やっと大人たちだけの宴。缶ビールを開けて飲み終えようとした時、娘が目覚めて泣き出し、結局私は宴の間、約10kgの娘を抱っこ紐に入れて揺すり続けていた。

断乳をやめられない理由の一つに、添い乳をやめたらどうやって寝かせればいいの?という不安があった。でも、同級生の子たちは乳なしでトントンで寝て、朝まで起きない。「なければないで、順応していくよ〜」やっぱり、そうだよね。

ちょうどその週明けに、保育園の保護者会があり、親同士の交流の時間に「寝かしつけ」が話題に。11人中、添い乳をしているのは私を含めて3人。絵本を読んだり、歌を歌ったり、親や自分のお腹や耳を触ったり。乳を断ってから、それぞれの「精神安定剤」と「睡眠導入剤」を見出しているよう。先生たちも「牛乳もしっかり飲んでるし、ご飯も食べているし、断乳してもいいと思いますよ」と背中を押してくれた。

その夜、お風呂で授乳しながら、その痛みに耐えられなくなった私は突然、断乳を決意。週末に授乳を終えたママ友だちと昼飲みも控えている。夫は出張中で、ベストなタイミングではないが、なぜかやるなら今だ!と思ったのだ。

断乳1日目。「もうこれで、パイとはバイバイだよ」と言い聞かせ、お風呂ではたっぷり授乳。絵本を読んで、手遊びをして、歌を歌って、腹巻を胸に巻き、パジャマのボタンを上までしっかり閉めて、娘と布団に潜り込む。案の定、娘は泣き叫び、トントンどころじゃない。その手を激しく振りほどき、果敢におっぱいに向かってくるので、私は心痛めながらも背を向かざるを得ない。結局2時間ほど、全身をくねらせて、声が枯れるほど泣きわめき、疲れ果てて眠りに落ちた。その間、何度乳を差し出そうと思ったことか。

その後、深夜1時頃に起きて、1時間ほど泣きわめき寝静まったと思ったら、深夜3時頃に再び泣き始めたので、私は起きて、抱っこ紐に入れて娘を寝かしつけた。目覚めてからはすかさずご飯をあげて、着替えさせて、保育園に送り出す。娘は元気に過ごしていたようだけれど、私はほとんど眠れず、おっぱいも張って、なんだかぐったり。

断乳2日目。やっぱり夫の不在中、ワンオペで断乳は無謀だったかも。と心折れそうになったけれど、娘のためにも私のためにも、後戻りはできない(しない)と、強い意志を持って、保育園へお迎えに。帰宅後すぐにおやつをあげて、ご飯を食べさせて、手遊び絵本やYouTubeで大好きなディズニーのパレードを見せて、気を紛らわす。お風呂は絆創膏を貼って挑もうと思ったけれど、結局私は服を着たまま娘を湯船に入れて身体を洗った。いつもより遅い時間まで遊ばせて、娘が目をこすり出したタイミングで、布団へ。その甲斐あってか、娘は30分程激しく泣き叫んで眠りに落ちた。

一方、私の胸はカチカチパンパンに張って熱をおび、硬い円盤が胸にいくつも入っているようで、破裂するんじゃないかと思うほど膨らんでいる。娘が泣き叫んで心が痛むことへの覚悟はあったものの、自分の胸の痛さに対しては全く覚悟がなかった。どの角度で寝ればいいのか、何をすれば痛みが和らぐのか、深夜にネットで「断乳2日目 痛い 対策」と検索。ほんの少しだけ絞って、アイスノンを抱きしめて眠るものの、痛すぎてよく眠れなかった。

そして、翌日目覚めてみると、圧倒的に調子が悪い。相変わらず胸は張って痛く、悪寒がする。熱は7.5度とそれほど高くはないが、つらい。「乳腺炎かもしれないから、早めに病院を受診したほうがいいよ!」というママ仲間のアドバイスを受け、朝から近くのレディースクリニックに駆け込む。幸い乳腺炎ではなかったものの、それに近い症状、一歩手前、ということで、薬を処方してもらう。

胸の痛みは少しずつ和らいできていて、解熱剤を飲んでいるので高熱も出ないけれど、だるさは変わらず、食欲もないし、痰まで出てきて、関節が痛い。これって普通の風邪なのでは? インフルだったらどうしよう?という気持ちが芽生え、夕方に内科を予約。

薬を飲んでいるから断乳はせざるを得ないものの、この体調でワンオペ断乳は無理だ!と思って、千葉に住む従姉妹にヘルプを要請し、仕事が終わる夕方に我が家に来てもらうことに。それでも病院の予約時間に間に合わない。でも、娘を菌が漂う病院に連れていくわけにはいかない。思いきって、同じ保育園に通うママ友に連絡し(同時に近くに住む独身後輩男子にも連絡)、病院を受診する1時間ほど預かってもらうことに。その間、LINEでお友だちと仲良く遊んでいる様子が送られてきて、しかもご飯まで食べさせてくれて(昼は作る気力がなくて、パンとヨーグルトだけだった)、弱った心と身体に神様降臨レベル。

内科で心拍数と血圧の数値を見た先生は「インフルA型の可能性が高いねえ」と一言。ドキッ。その後、鼻の穴に綿棒のようなものを突っ込んで検査をしたところ、陽性反応は出ず。インフルではなかったー!!ホッ。

でも先生は「病院へ来るのが早過ぎたのかもしれない」「免疫力が落ちているので感染しやすいし、潜伏している可能性もある」「今日は高熱が出ると思いますよ」「とにかく安静にしてください」と安心できない言葉をポツポツ投げかけた。

ママ友宅に娘を迎えに行って、インフルの可能性も考慮して、娘は千葉の従姉妹宅にお泊まりさせてもらうことにして、ママ友との昼飲み予定もリスケして、私はひとり家でゆっくり休んだ。薬を飲んで、オーエスワンを2本飲んで、換気して、加湿して、布団を温め、アイスノンを抱いて、12時間ほど寝ただろうか。一人で12時間もぶっ続けで寝たなんて、娘が生まれて以来初めて、約1年半ぶり。解熱剤を飲んだからか、幸い高熱も出ず、胸の痛みも落ち着いて、体調はだいぶ回復。インフルの可能性もなさそう。

出張帰りの夫に娘を迎えに行ってもらうことにして、目覚めてからも、従姉妹から送られてくる娘の写真や動画を見てニヤニヤしながら、パジャマのまま布団の中でゆっくり過ごした。

一晩離れていただけなのに、なんだか娘が恋しくて、夫と一緒に帰宅し駆け寄ってきた娘を何度もぎゅっとした。その間、娘は何度かおっぱいを求める仕草をした。あれ、まだ忘れてない? まだまだ油断はできないな。

夫と娘がお風呂に入って、私は久しぶりに一人でゆっくりお風呂に入る。寝かしつけも夫に任せようと思っていたのに、出張続きで疲れていたのか、娘が寝る前に、いびきをかいて自分一人で寝てしまい、使い物にならない(笑)。父を布団に残して起き出してきた娘を膝に乗せて絵本を10冊くらい読んで、布団に入ってトントンいちゃいちゃしていたら、なんと、娘、ほとんど泣きもせず、おっぱいを求めることなく、寝落ちした……!これだーー!!求めていたのは。なんだか娘の成長ぶりにちょっと感激。1日寝てばかりだった私も眠りについて、家族みんなで20時就寝。

結果的に、乳腺炎もインフルもなりかけで病院に駆け込みギリギリセーフ、断乳もほぼ完了か? 最近なぜか疲れを感じていたのは、風邪の兆候もあったのかもしれない。私も1日ゆっくり休めて、何かあった時に頼り合える近所のママ友との仲も深まり、娘は従姉妹の家に問題なく泊まれることもわかった。いざという時に頼れる人、場所ができて、なんだかとても心が軽くなった。頼れる時は人に頼って、ゆっくり休もう。

断乳4日目。朝から事前に予約していた桶谷式母乳相談室へ。激痛マッサージに耐え、噴水のようにピューピュー湧き出る乳を眺める。1時間ほど絞り出し続け、パンパンだったおっぱいはふにゃふにゃに。それでも1回では絞りきれず、また1週間後に通うことに。

断乳後1ヶ月は母子ともに免疫が落ちて体調を崩しやすいそうだから要注意。1ヶ月経たずして、その日に体調崩しているし……今も若干ぼーっとするし。気をつけねば。

娘1歳5カ月にして、もうすぐ、我がおっぱい製造工場は完全閉鎖する。私史上最高の、張りのある爆乳だったおっぱいは、元どおり、貧乳へ近づいている。さらに萎むことも覚悟せねば。経験者によると、たとえなくても、ナンのように垂れるというから。恐ろしい。これまで、夢を見させてくれて、ありがとう。

娘と私のおっぱい戦争第二幕は、こうして幕を閉じつつある。なんだかちょっぴりさみしい気もするけれど、これからはおっぱい関係なく、言葉と身体で、愛情を伝えていくよ!


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徳 瑠里香

ライター・編集者。出版社で書籍・WEBメディアの企画・編集・執筆、著者の会社でブランドの編集(PRや店舗運営)などを経て、独立。ウルトラ忙しい夫と1歳の娘と3人家族。著書『それでも、母になる 生理がない私に子どもができて考えた家族のこと』(ポプラ社)

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コメント2件

徳ちゃん!読んでて乳首痛くなった(笑)本当にお疲れさま!!風邪も大変だったね、ゆっくり休んで全快してね!しかし同じ保育園のママさんにこういうときにヘルプ出せるの素晴らしい。。いざというときはしっかり頼らなきゃよね。次はたっぷり気持ちよく飲も〜!
れいちゃん、ありがとうー!涙。乳首痛かったよ笑。れいちゃんが病院進めてくれたおかげで乳腺炎にならずに済んだ!思い切ってママ友に頼んでみて正解だった!距離はあるけどお互い頼り合おう!次回は乾杯からがっつり飲みたい。笑
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