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優しさと想像力がほしい。書籍出版! #あとがき公開

いよいよ、初の自著『それでも母になる 生理のない私に子どもができて考えた家族のこと』が発売となります! どきどき。どきどき。

「わたしの選択と家族のかたち」をテーマに、私自身の妊娠・出産・子育ての記録をリアルタイムで書き残しながら、身近にいる人たちに話を聞いて書きました。

家族ってなんだろう? 母になるって?
結婚、出産、不妊、生と死、性転換、里親、特別養子縁組……。

そんな、普遍的なテーマの、大きな記号的な言葉の中にある、「たった一人」の小さな物語たちです。

講談社「現代ビジネス」でこの本の「はじめに」が掲載されています!

noteでは、あとがきと目次を公開させていただきますね。

あとがき

 自分が見えている狭い世界の価値観と物差しだけで推し測って、自分を含めた誰かを傷つけない優しさと想像力を持ちたいと願う。でも、どれだけ意識しても、自分のなかの「普通」や「正しさ」が顔を出し、意図せず無意識に優しさの仮面を被せた言葉で誰かを傷つけてしまうことがある。ただ一方的に私の経験や未熟な考えを綴ってきたこの本もそうなってしまっているところがあるかもしれない。まだまだ私には無意識の偏見や固定観念があると思うし、優しさと想像力が足りない。
 
 私たちの時間は限られていて、自分の人生しか生きられないから、どうしても今いる世界にとらわれて、視野が狭くなってしまう。そんな自分が怖いから、私は人に話を聞いて、本を読んで、映画を観て、できるだけ自分の知らない世界を知りたいと思う。

 今回、この本を通じて、「私の人生」と「私の家族」以外の世界を見たくて、自分の身近にいる人たちにじっくり話を聞いた。もちろんどれだけ話を聞いて、考えて、文章にまとめても、彼女たちのすべてを理解はできないし、「わかるよ」なんて言えない。

 それでも、彼女たちの物語は、「どう生きる?」「誰と生きる?」という問いを幾度となく私にくれた。

 仕事、結婚、出産、家事、子育て。何をして、何をしないのか。人生は選択の積み重ねであるけれど、「わたし」の選択肢が無限にあるわけではない。自分の身体や心の事情、周囲の環境や人との関係性。自分の努力や意思だけではどうにもならないことが多々ある。

 人生はままならない。家族もままならない。でも、彼女たちは、〝たまたま〞の巡り合わせや、ままならないことを受け止め、また限られた選択肢のなかから自ら選び、自分の人生や家族との関係性を築いている。
 
 16歳の時に「産めないかもしれない」と言われて選択肢が狭くなったと思ったけれど、結婚して、〝たまたま〞の奇跡が重なって子どもを授かり母になった私は今も、日々ふらふら迷ってぐらぐら揺れて、たゆたいながら選択を重ねている。
 
 この本に書いたことは、現時点の私の視点や思いであって、きっとこれから出会いと思考を重ねる度に更新されていくと思う。まだまだ未熟で、矛盾もはらんでいて、「答え」にはたどり着きそうにない。この本に書いた私、そして彼女たちの人生も家族のかたちも、ずっと現在進行形で、変わっていくのだろう。

 生き方や家族のかたちに「普通」も「正解」もない。だからこそ、私は、「答え」ではなく「問い」を持ち、考え続けたいと思う。
 家族と、自分の人生をよりよく生きるために。

目次

*生まれつき生理と排卵がない ー私ー

Ⅰ あなたは私の特別なひと

16歳で妊娠、高校生で母になる ー美菜子ー
背中を押した父の一言/ 17歳で結婚、母になる/狂ってしまった家族の歯車/再生、新しい家族の始まり/家族がいたから母になれた/あの日、産むことを選んだから

**大切な人の死とともに、歩み続ける ー 翠 ー **
死に直面し、生と向き合う/離婚の子ども、再婚の子ども/人生を変えた、出会いと別れ/ひとつの死がつなぐ、心の家族/私の土台を支えてくれる人

***私の事情を受け止めた人 ー 夫 ー **
産めないかもしれない/泥酔事件が紡いだ結婚/
「子どもが欲しくて結婚するわけじゃない」/思い詰めない不妊治療

Ⅱ 産んでも、産まなくても

**子宮がない、産まない人生を選ぶ ー 洋子さん ー **
お母さんになれない/ふたりの家族を築くまでの永い道のり/家族は一番近くにいる他人だから/私だけの、産まない人生

夫と腎臓をはんぶんこして生きる ー はるかさんー
〝爆弾〞を持って生きている/「それでも結婚してくれる?」/自分の命を守るために、失ったもの/病気があっても、仕事をあきらめない/「僕の腎臓をあげる」/臓器も、命も、はんぶんこ/潔く美しかった母の教え/やっと手に入れた産む選択肢

産めない母と育てられない母 ー直美さんー
5年弱にわたる不妊治療/特別養子縁組という選択/
実母から託された大切な命だから/産まなくても、母になれる

**養子、血のつながらない親の子 ー桜ちゃんー **
「生まれちゃいけない命だったんだ」/産むことを選び、家庭を与えてくれた母/何者でもない自分から始める/家族の課題を乗り越えるための告白/血のつながりは関係ない

*心許ない私の子宮に命を宿した子 ー娘ー
予想外の妊娠発覚/ホルモンの言いなり/完全に安全なお産なんてない/
3178gの女の子、誕生!/産んでも、産まなくても

Ⅲ 家族という居場所をつくる

**女から男へ、本来の性で家族を築く ーナリさんー **
女じゃないのに、女である/自分の幸せを摑み取る決意/「男」「女」の枠を超えて人として好き/「娘」でいてほしい。産み育てた母の思い/性転換、そして家族になる/ちんちんのないお父さん

里親、社会で子どもを育てるお母さん ー綾子さんー
社会の子どもをみんなで育てる/4回の帝王切開でのお産、乳がん/「特別」な「普通」の家族/家庭という居場所/社会に開かれた家族をつくる

***私の居場所をつくる人 ー母ー **
ずっと伴走してくれた母の存在/一人の人間としてお母さんを楽しむ/
両親が与えてくれた拠り所/それでも、家族をつくる

もしも興味を持ってくださる方がいましたら、ぜひ書店店頭やAmazon等でご購入いただけたら、とっっっても嬉しいです…!


読んでくださりありがとうございます。とても嬉しいです。スキのお礼に出てくるのは、私の好きなおやつです。